シャンバラ教導団

リアクション

　学生達は見事砂漠で水を掘り当てることに成功した。
　モグ三は最後まで「モグはデコ水が気に入ったモグ」と言っていたが、よれよれネクタイ氏が「まだ生きていたいですよ、副長！」と必死に頼み込んでその案を却下したそうだ。
　水のボトルには、ドリルをイメージした螺旋野溝を掘った透明なものが採用された。ペットボトルではなくパラミタトウモロコシから作った土に分解されやすい透明な容器を使うそうだ。
　商品名は結局パラミタウォーターに落ち着いたそうだ。パラミタウォーターが十分に認知されてから、それ以外の商品名のものをリリースしていくらしい。
　水質は、微発泡性の軟水だそうだ。うまさは、水質調査も澄まないうちに我慢できず水を飲んだ男子生徒Ｓくん（仮名）によって証明済みとのこと。お肌に付けると、乙女の頃のような卵肌になるそうで、化粧品としての販売も考えているらしい。
　流通は、しばらくはパラミタ大陸内のみにするとのことだ。パラミタの外に輸出するには、関税やら採掘場の視察やらさまざまな手続きが必要らしい。
　蒼空学園の御神楽　環菜はもちろんそのあたりの処理の煩雑さはあらかじめ知っていて、よれよれネクタイ氏のネクタイがさらにくしゃくしゃになるのを密かに楽しんでいたらしい。
　なにはともかく、パラミタウォーター、来年中にはパラミタのコンビニエンスストア、各量販店に並ぶ予定。
　そうそう、砂漠の蛮族たちは、虹の向こう側にはたどり着けずにしょんぼりしてかえってきた模様。またドージェ・カイラスを迎えるために砂漠に不思議な文様を描く作業に戻ったようです。蛮族と水の採取、相互に邪魔をしないという不干渉条約が結ばれたらしい。なんでもモグ三氏が色々手を尽くしたらしい。
　ドリルについては、今回収集したデータを解析している段階だそうだ。来年中には何か形にしたいとモグ三氏が言っていた。
　それにしても、砂漠の下にコウが眠っているなんて伝承、そこに水脈があることを知っていたように感じられる。
　あるいは、コウがそこにいたから水脈が引き寄せられた？
　いやいや、コウはよれよれネクタイ氏が言っていたとおり自然現象を神格化したものにすぎないはずだ。
　あの日以来、雨が降ったわけでもないのに、砂漠に虹の架かる日があるというけれど、さてはて。

　コウ、あなたは今、どこにいるのだろう？