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9.帰り道

 一行は、シイナ達に見送られて野原キャンパスを後にした。
 メールが送られてくる。
 誰だろうと、見ると送信者はナナだった。

『ありがとうございました。
 お陰様でシイナさんも、これで普通の学生に戻れました。
 これもすべて皆様のお陰です。
 今度は遊びにいらして下さいね。
 
 親愛なる皆様に、感謝の気持ちを込めて。 ナナ』

「まあ、ナナちゃんに言われたらしょうがないかな?」
 誰かが行って、一同が笑った。

 ◆ ◆ ◆
 
 その様子を、誰もいなくなったはずの正門からうかがっている影があった。
 ザカコである。
 彼は自分の手元にフワフワと戻ってきた光術の光を、手のひらで消す。
「やれやれ、損な役回りだが仕方がないですね……」
 呟きと共に、肢体は闇に溶けて行く――。
 
 ◆ ◆ ◆

 彼が再び現れたのは、慰霊塔の前だった。
 そこではブリジットの残した携帯コンロと鍋を利用して、【GHP】のメンバー9名と雪華、終夏、澪、梓、薫、総司がなぜか「スッポン鍋」を囲んでいる。
 そこへ、ザカコの体がヌウッと現れた。
 近くにいた薫が目を見張る。
「おわっ! ゆゆゆゆゆ、幽霊殿でござるかっ!?」
「幽霊はあっちだろ?」
 特に慌てもせず、総司が指を差す。
「そうですねー」と、先程の「悪役」ぶりはどこに行ったのか?
 白い物体の「幽霊」、もとい岩波 ハルオはせっせとスッポン鍋を器によそり、一同に配っていた。
「幽霊って料理、上手かったんですね」
 ひたすら感心しているのは【GHP】の朔、ブラッドクロス、エリヌース、スカサハ。
「ひと仕事の後の鍋は格別だわ!」
 唯乃はエラノールに言い。
「これ、ネタにつこうたら、どやっ!」
「イタズラネタでねえー、あはははーっ!」
 雪華と終夏はスッポンの頭を箸でつまんで、何やら意気投合したようだ。
「幽霊とは、触れることは出来ない。だが会話は出来る。料理も出来る。何とも奥ゆかしい生命体ですね」
 ザカコは自身の研究結果を述べつつ、腰を下ろす。
 彼のあくなき探究心の裾野はまたもや広がったようだ
 その隣で。
「幽霊怖い怖い怖い! ……でも、おいしい」
 涙目で箸を加えているのは、美央。
「大丈夫だよ! 美央ちゃん。この幽霊怖くないから!」
「そうだ、赤羽。料理上手に悪い奴はいない」
 ナイト役の紗月とアヤメがガッツきながらフォローする。
「スッポンって、お肌にいいのよねえ」
「うんうん。先生、明日た・の・し・みぃ〜」
 肌を押さえたのは梓と澪。
 ハルオがニコニコと答える。
「ツルツルになれますよ。体にもいいですしね」
「しかし悪いな。助けてもらった上に、御馳走になるなんてよ」
 総司が言う。
 いいんですよー、とハルオは片手を振った。
「皆さんは、僕の恩人なのですから」

 話の顛末はこうである。
 
 楽器倉庫で捕らわれていた【GHP】関係者と、雪華、終夏、それと引き戸の影からのぞいていたザカコ、薫、梓、澪の15名は、そこでハルオと会った。
 つまり、「幽霊らしくチョークで白く変装」しようとして彼が現れたところ、一同に見つかってしまい、協力してもらったのだった。
「僕は、僕の後輩の心が荒廃してしまうのが、哀れでならないんです」
 そう言って項垂れた彼の優しさ(一部は明らかに別の意図から)にうたれた彼らは、この計画に協力したのだった。
「害がないなら、幽霊も人間も別に変わらないでしょう」
 ザカコの一言が決め手となって。
 
 そこになぜ、総司がいるのか?
 
 ハルオが感謝の気持ちで「スッポン鍋」――もとい、「いわなみはるお定食」を振舞うために生簀に行こうとした。
 その途中、行き倒れになっていた総司を偶然発見。回収したのだった。
 そう。生前の彼が考案した定食は、「スッポン鍋定食」。
 稼業が養殖業をしていたため、体力増進にと考案したのだったが、生簀は「宿直室」の近くにある。
「夜中行くと足踏み外して落ちたりするから、危ないんですよねー」
 学園の生徒達は「可哀想だ」という理由で、結局ペットにしてしまっていた。
 その数、実に数百匹!
 飼育費のせいで、キャンパスは貧乏になってしまったのだという。
(むやみやたらと歩き回らなくて良かったぜ……)
 総司はスッポンを箸でつまみながら、「地図も持たずに見知らぬ土地は歩きまわらぬ方が良い」という格言を身をもって思い知ったのであった。

「僕1人では無理だったことですが、今『真の目的』を成し遂げることが出来ました。あなた方こそ、『真の勇者』です!」
 ハルオが全員に頭を下げる。
「では折角ですし、夏の計画でも致しましょうか?」
 そして夜が明けるまで、一同は「次回の幽霊騒ぎ」を計画するのであった。

 めでたし、めでたし……なのか?
 
 

担当マスターより

▼担当マスター

大里 佳呆

▼マスターコメント

 はじめまして、大里佳呆です。
 皆様の素晴らしいアクションのお陰様で、想定していたリアクションよりも面白く仕上がったかと思います。
 また数名の方に称号を送らせて頂いております。
 後程ご確認ください。
 
 以下は初心者向けシナリオのため、該当者様への情報となります。
 参考になれば幸いです。
 
 アイテムに関しては、アイテム化されていないものについてはシナリオではご用意出来ません。
 またアイテム化されているものについては、装備してなければ使用できません。
 ご注意ください。
 またPC1名につき1アクションになります。
 そのため、LCはMCの補助的役割にさせるがよろしいかと思います。
 詳細は以下のページをご覧下さい。
 
 http://souku.jp/manual/manual_11a.html
 
 それではまた、お会いできる日を楽しみにしております。