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トリック・オア・コントラクト!

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トリック・オア・コントラクト!
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■□■2■□■ 百合園生アイリスの日常

フランケンシュタインの仮装をした
クリストファー・モーガン(くりすとふぁー・もーがん)は、
薔薇学の様子を横目に、アイリス・ブルーエアリアル(あいりす・ぶるーえありある)に接近する。
有翼種ヴァルキリーの仮装で、作り物の羽をつけ、
おもちゃの槍を持ったパートナーのクリスティー・モーガン(くりすてぃー・もーがん)を連れてきた
クリストファーは、アイリスに言う。
「今日はブレーコーってことらしいね。
アイリス、とりっく・おあ・とりーと」
「では、トリートで」
アイリスがお菓子を渡そうとした瞬間、
クリストファーはクリスティーを引っ張って、無理やりアイリスにキスさせようとする。
アイリスは、無駄のない動きでそれをかわす。
「な、な、なんてことをするんだよ!
皇女様、申し訳ありません! 二人とも死刑でいいです!」
平謝りしてクリストファーにも頭を下げさせているクリスティーに、
アイリスは笑う。
「気にしなくていいよ。今日はハロウィンパーティーだし」
それを聞いて安堵するクリスティーは、
自分がファーストキスを失わなくてよかった、とも思うのであった。
(だって、ボクは静香校長と……)

クリストファーは、反省した様子はなく、リコリス菓子をアイリスに渡して、言う。
「誰だって、人に言えない秘密の一つや二つは持っているものさ。
そして、それが公になれば奇異の目で見られてもしかたない。
気にしないのは無理でも、
「よくある事」「野次馬根性が旺盛なのは人類のサガ」くらいに
思っておけばいいんじゃないのかな」
その様子を見て、クリスティーは思う。
(抱えてるモノの大きさが違うのに、わかった気になるのはどうかと思うね。
でも、ボクの経験で言えるのは、隠し事があったってパートナーとの絆は揺らがないよ)
アイリスは、クリストファーに答える。
「その通りだと思うよ。
だけど、世の中には噂話だけでは済ます気がない人間がいるんだよ」
「……余計なお世話だったかな」
「いや。気遣ってくれてありがとう。……このお菓子、独創的な味だね」
リコリス菓子を食べて、アイリスは言う。

★☆★

「アイリスさーん!
トリック・オア・トリート!」
魔法少女のコスプレをした七瀬 歩(ななせ・あゆむ)がやってきて、
アイリスにあいさつする。
「歩もこのお菓子、食べてみる?」
クリストファーのリコリス菓子を食べて、歩は複雑な表情になる。
「えっと、なんだかとっても独創的な味だね?」
「同感だよ」
歩は、しかし、そんなアイリスの様子を見て、少し安心していた。
最近のいろいろな情勢から、
アイリスがエリュシオン本国からの
無茶な要求から庇ってくれたりしているのでは、と考えていたのだ。
「アイリスさん、無茶しちゃダメですよー。
もし、倒れたら皆でお見舞い行っちゃいますからね!」
「ありがとう。歩はいつも優しくて、気遣いもよくできて……。
だから僕は歩も百合園のことも大好きだよ」
アイリスは、歩の髪をそっと撫でた。