イルミンスール魔法学校へ

シャンバラ教導団

校長室

百合園女学院へ

先生、保健室に行っていいですか?

リアクション公開中!

先生、保健室に行っていいですか?
先生、保健室に行っていいですか? 先生、保健室に行っていいですか?

リアクション


CASE9 天柱御学院の場合

 最後に天柱御学院の保健室をのぞいてみることにする。
 ここには専属校医という者はいまだに着任しておらず、医術に長けている者に任せているという状況だ。
 臨時校医としては典韋 オ來(てんい・おらい)が、ローザマリア・クライツァール(ろーざまりあ・くらいつぁーる)が彼女の助手ということになっている。
 典韋が校医ということもあってか保健室は煙草と漢方、中国茶の匂いが充満した不思議空間となっている。
 そして口調が荒いので、何だか保健室なのに近寄りがたい雰囲気を醸し出す事になっていた。
 一方のローザは助手という名目上のサボりを満喫しており、時折典韋を観察などしているが基本何もしない。
 そんな異空間保健室へとある生徒が訪れた。
「し、失礼しま、す……」
「んぅ?何だその珍獣観察するみてぇな態勢は?用があるなら入りやがれ」
「は、はい。あの、擦りむいたので消毒をしてほしいのですが……」
「んだよめんどくせぇなぁ、たかだか小さい怪我にピーピー喚きやがって。根性見せやがれ!」
 ビクビクしながら入ってきた女学生を見て典韋はイラつきを見せるものの、的確に治療していく。
 女学生も最初は恐怖で一杯一杯だったが、素早く完璧な治療を見て感嘆する。
 噂以上にすごい人なんだなぁと感じていたが、そんな表情を見て典韋が食って掛かった。
「何だその眼は?どうせくっだらなねぇ噂耳にしてんだろ?」
「え、いやそんなことは……」
「よし、じゃあさっきの態度を許してやるからどんな噂が流れているのか教えな」
「そ、それは……」
「嫌なのか?だったらその体に直接聞くまでだな?」
「へ?い、いやぁ!?」
 典韋の要求に答えなかった女学生は彼女に襲われてしまう。
 このままでは危ない道に走ってしまうと、少女の中で警鐘が鳴り響いた。
 ところが服を掴まれていた感触が消えたので何事かと思い、閉じていた目を開けてみる。
「ぐえぇぇっ!?大姐、ギブギブ!!」
「典姑?校医というものは生徒に心の安らぎを与える素晴らしい職業なのよ?それが生徒を襲おうとするなんて何事ですか?」
「待ってくれ!落ちちまう、落ちるからもう勘弁……!」
「ごめんなさいね、さぁ治療はもう終わったから早く授業に戻るといいわ」
 目を開けた先には典韋の首をスリーパーホールドで決めているローザの姿という何ともシュールな絵があった。
 相当強いのか、典韋の顔は徐々に青紫色に変色していくが、ローザは止めようとしない。
 今のうちに授業に戻りなさい、そう言われて女学生は走り去った。
 彼女の中で、思った。
 本当に怖いのは典韋ではなく、そのパートナーなのではと思うのだった。
 この日から、ローザマリア最強伝説が一部生徒の間で広がるのだった。

 その日の放課後、殺人未遂事件が起きた現場の保健室。
 そこへ一人の教師が訪れる。
 アルテッツァ・ゾディアック(あるてっつぁ・ぞでぃあっく)、知的な顔立ちと風貌は生徒たちから人気を博している、
 彼は今日保健室を訪れた生徒のカルテの集計、備品の在庫チェックなどをするために来た。
 手に持つ帳簿に事細かに今日一日の結果を記していく。
「さて、本日は欠席した人数が3人。うち二人は発熱で、一人は風邪か……。二人は超能力科と強化人間、まぁ仕方がないか。ヴェル、そっちはどうですか?」
 事細かな情報までまとめていき、アルテッツァはパートナーに声を掛ける。
 ヴェルディー作曲 レクイエム(う゛ぇるでぃさっきょく・れくいえむ)、何だか長い名前だが魔導書なんてこんなもんさと、誰かが言いそうだが留めておく。
「はいはい、えっとね……擦過傷は10人、打撲は13人ってなっているわ。この程度ならベッドを使用してる人間はいないってことになっているけど、多少の乱れがあるわね。まぁ、変な染みがないから良いかしら?」
 床にモップを掛けながらその日の保健室の利用状況を述べるヴェルディ―。
 一部報告は誰かさんが、占拠していたために出来たのだが事実は闇の中。
「そうですか、それでは明日の朝も打ち合わせで校医とも打ち合わせをしましょう」
「分かったわ。それにしても、ハイテク機材が山ほどあるっていうのに、どうしてこういった事務関係は手書きなのかしら?やっぱり削っているんでしょうね……」
「確かに状況を考えれば時代錯誤的かもしれないが、こういうのは紙で残しておいた方が安全、ていうこともあるんですよ」
「データ改竄防止策、ってやつ?」
 話しているうちにお互いがお互いの仕事を終わらせていく。
 先に終わったアルテッツァはヴェルディ―に進歩状況を尋ねた。
「終わりましたか?」
「ええ、問題ないわ」
「それでは、学長にこの帳簿を提出して本日は終了です。帰りに食事でもしていきますか?」
「良いわね、最近おいしいお店見つけたからそこへ行きましょう」
 退勤時間ぴったりとなったので帳簿を提出するために二人は保健室を後にする。
 放課後の生徒がいなくなった教師だけの、知られざる時間は幕を閉じるのであった。
 

 以上九つの学院の保健室模様を見てみた。
 時代は動いても、保健室というものはいつになってもそのスタイルは変わらない。
 明日もまた保健室は開室する。
 次はどんなストーリーがあるのだろうか、それは誰も知らない……。

担当マスターより

▼担当マスター

凪社奏真

▼マスターコメント

 初めまして、このシナリオから新しくゲームマスターとして活動させていただきます凪社 奏真と申します。 
 今回、参加して下さった皆様まことにありがとうございます。このような若輩者のシナリオに大勢参加して下さったこと、大変うれしく思っております。
 皆さまのリアクションをきちんと表現できているか不安ではありますが、読んでいただけると幸いでございます。
 今回の保健室に行ってもいいですか? ネタは非常に構成に時間を要しました。人数も多かったので、所属する学校でのシナリオ構成とさせていただきました。
 面白く表現できているか、非常に不安ではありますが楽しく読んでいただけたらなと思います。
 それではまた次回、お会いできたらと思います。ありがとうございました。