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狩るのは果物? モンスター?

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狩るのは果物? モンスター?

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「セレン、反応はあった?」
 前を走るセレンフィリティ・シャーレット(せれんふぃりてぃ・しゃーれっと)セレアナ・ミアキス(せれあな・みあきす)は問い掛けた。
「それらしいのはまだよ。でもこの辺りの筈だわ」
 銃型HC弐式のサーモグラフィ機能を確認しつつ、セレンフィリティは答える。
 2人の実力からすれば、コボルド退治など食事前の腹ごなしにもならない筈だった。
 だが、幾ら追い払おうとも、ボロボロになった肢体を引き摺ってでも、尚も向かって来るコボルドに違和感を覚え始めた頃、アッシュとフィッツ、アルツールの3人が現れ、2人の攻撃を止めさせた。

「子供を攫うなんて……卑劣な!」

 セレンフィリティが言った。
 曰く、 無事に返して欲しければ、果樹園の林檎を見張れ と言う事だそうだ。
 コボルドから情報を得た後に泥棒を捕まえ、子供の居場所を聞くと「快く色々と」教えてくれたそうだ。

「知らなかったとは言え、悪かったわね」

 セレアナは呟いた。
 傷付けてしまったコボルドの治療を3人に任せ、代わりに子供を捜しているのだ。

「ここだわ!」

 セレンフィリティが見付けた場所は、果樹園内とは言え判り辛く、村人も立ち寄らないのでは、と思える程だった。
 その時、洞穴の入口を覆う様に茂る葉を掻き分け、出てくる男と目が合った。

「えいっ」
「ちょっと、セレン! 泥棒じゃなかったらどうするのよ!」

 問答無用でその身を蝕む妄執を使ったセレンフィリティをセレアナが窘める。
「この顔はどう見ても悪人だから大丈夫よ」
「そんな失礼な……」
 セレアナは軽い溜息をつき、先に行ったセレンフィリティに続いた。


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「悪い人、発見ですぅ〜!」
 ヒポグリフ(の頭の上)に乗り、上空から不審者を捜しているルナ・クリスタリア(るな・くりすたりあ)は、佐野 和輝(さの・かずき)へ知らせた。
「こちら和輝。盗人の位置を確認した――」
 それを受け取った和輝はアニス・パラス(あにす・ぱらす)へとテレパシーで伝えた。
「了解だよ〜。そっちに追い込むからね〜」
 ルナの牧神の猟犬と協力し、木の陰を利用しながら、アニスは和輝と不審者の距離を縮めていく。
 だが――

「え? えぇ〜? 何で何で〜?」

「アニス? どうした」

 不審者を追い込む事に集中しすぎたか、又はアニスに対する害意を持っていないからなのか、全く存在に気付かなかったコボルドが突然現れ、不審者の逃走を助ける様な動きをする。

「邪魔しちゃ駄目ですよ〜」

 その様子を上空から見ていたルナは、コボルドへ適者生存を発揮する。
 だが、一瞬怯んだかに見えたものの、動きは変わらなかった。

「こうなったら……え〜い!」

 上空から丸見えの不審者目掛けて、ルナは野性の蹂躙を仕掛けた。

「ルナ、アニス、こちらへ来てくれ」

 和輝は移動しながらテレパシーで2人を呼んだ。
「何か可笑しいとは思っていたが、そう言う事だ。ルナ、頼むぞ」
 果樹園内の誰かから受け取ったテレパシーで事の次第を聞いた和輝は、2人と合流するまでの間に、それをそのまま伝えた。
 3人は傷を負った不審者と、その前に立ちはだかるコボルドの前に居た。
「コボルドさん、聞いて欲しいのですぅ」
 ルナは口を開く。

「お子さんは皆、無事なのです!」

 彼女がそう言った瞬間、コボルドから戦意が消えるのが手に取る様に判った。
「だから、もうこんな事しなくて良いのですぅ」
 ルナがその言葉を言い終わらない内に、不審者は逃げ出した。――が、

「いっけぇーい」

 アニスの放った神威の矢が命中し、そのまま倒れこんだ。
「これで事態はほぼ解決だな。後は果樹園内の泥棒とコボルドを全て外に……」
 和輝は終息に向けて考えを巡らせた。