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エクリプスをつかまえろ!

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エクリプスをつかまえろ!

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 そこにまた、巽とティアが駆け込んでくる。
「図書館で資料を見つけました! 『スターゲイザー』の場所は南の方かもしれません!
「ああ、こちらのデータともそれなら一致します」
 端整な顔立ちの紅 射月が冷静にPCを見ながら、周囲を見渡した。ざわっとする一同。
「どういうことだ、射月」
 射月の友人、虚雲が金色の瞳を輝かせて尋ねる。
「ゲルデラー博士とケテルとともに、天体観測ソフトを改造し、独自の計算方法を使ってみました。そうすると、1週間後、エクリプスはツァンダの南方の丘陵地帯、『クルセオン・サウス』にてベストな状態で見られることが判ったのです。おそらくそこが『スターゲイザー』です
「おお!」
 生徒たちの歓声が沸く。
「『スターゲイザー』は、蒼空学園からは確かにそうは遠くはありません。しかし、実際に行った人間は蒼空学園には居ないはず。実際に現地に行っておかないと、この大人数、まとめるのは難しいですわ」
 物静かで落ち着いた口調の、御堂 緋音が赤い瞳を鋭敏な光で輝かせ、冷静に問題点をつく。
「それはおれらに任せて貰おう」
 パラ実のラルク・クローディス(らるく・くろーでぃす)とドラゴニュートのアイン・ディスガイス(あいん・でぃすがいす)が乗り込んでくる。金色の髪をオールバックで決めたラルクはにやにやと笑っている。
「面白そうな話があるって聞いたもんでね。おれらの足なら、『スターゲイザー』まで行って、あんたらを誘導してやることも簡単だ。蒼空学園のお嬢ちゃんお坊ちゃん方のあんよが痛くならないような、平坦なコースを探してやるよ」
「判ったわ。パラ実さんがご参加ということになると、私たちの持っている高価な機材がどうなるか判らないけど、お手並み拝見といきましょう」
「言うじゃねえか」
 ケテルが二人の提案を受け入れた。
「今から地図を出します。もう2時間もすれば、夜が明けるでしょう。『スターゲイザー』の中でも、キャンプ地設営にベストな場所をパラ実の君たちは探してください。高性能天体望遠鏡の設置はそれからです」
「了解したぜ」
 射月と御堂 緋音(みどう・あかね)が地図の作成とプリントアウトに取りかかると、ラルクとアインは足を机の上に放り出し、来たばかりの天文部にも遠慮無し、と言った風情だった。

 翌朝、ラルクとアインが旅立つと、文献探しを行っていたチームは仮眠をとるために、天文部で雑魚寝をしていた。天文部にはアンティーク調のソファなどがあり、女子はそういったものを使い、男子は適当に椅子や机の上で眠っている。
 その間にも、着々と準備が進められた。
「『クルセオン・サウス』が『スターゲイザー』だということを、御神楽環菜校長に知らせて、業者たちとの連携も図っておかないといけませんね」
 小型飛行艇に機材などを積み込み始めていた朱華、葉月、楠見 陽太郎(くすみ・ようたろう)イブ・チェンバース(いぶ・ちぇんばーす)らの背後から、不意に声がする。
「あなたは?」
「あ、私こういう者です」と言って、エドワード・ショウ(えどわーど・しょう)は名刺を差し出した。
『パラミタ情報誌『空京ウォーカー』特派員 エドワード・ショウ』
「蒼空学園で臨時講師などもやっていますから、ご存知かもしれませんが、ね」
「す、すいません、存じ上げませんでした…」
「ああ、それは残念です。私もまだまだ、修行が足りない。以後、お見知りおきを」
「エライ人なの? 陽太郎? イイ男じゃない?」
『地味に目立たず慎ましく』が座右の銘の陽太郎に対して、男好きのパートナー、イブがすすっとよってくる。
「私はいっかいのジャーナリストにすぎませんよ。美しいお嬢さん」
「きゃ! 美しいお嬢さんだなんて! ねえねえ、あたしの作った日食の観測のサングラス、みてくださる? ガラス板に煤をつけた手作りで…」
「いや、それは危ないですよ、失明しますよ」
「い、イブそんなの危ないよ、俺の日食グラス貸してあげるから」
 慌てるエドワードと陽太郎。
「ええ!? これじゃだめなの!? うっそ!」