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狙われた学園~蒼空学園編~2話/全2話

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狙われた学園~蒼空学園編~2話/全2話

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 ドラゴニュートの赤ちゃんを母親に返すまでの間、夏希が主に赤ちゃんの面倒を見ることとなった。
 もちろん、一人では見切れないため、ルカルカや縁、あゆみ、メイベル・ポーター(めいべる・ぽーたー)たちも交代で赤ちゃんのお世話をする。
 ドラゴニュートはまだ赤ちゃんなので離乳食などを採るには早いらしく、ミルクを温め、それをほ乳瓶で与えることとなった。
 夏希がおくるみで巻いて、ほ乳瓶を片手にだっこしながら軽く揺らしてやると、赤ちゃんはゴキゲンになり、キュウキュウと鳴きながら、ほ乳瓶を両手に抱えミルクをぐいぐい飲んでいく。
「よしよし、食欲もでてきたみたいですね。ああ、そんなに慌てて飲まなくても、ミルクはたんとありますよ」
 その微笑ましい姿をシルバはそっと見つめていた。
「夏希はまるで、ドラゴニュートの赤ちゃんのお母さんみたいだな」

 そこに英虎とユキノがドラゴニュートの赤ちゃんを見にやってくる。
「夏希さん、おかあさんみたいです…」
 小さなユキノは夏希のそんな姿にドキドキしてしまう。
「ふふ、ユキノちゃん、赤ちゃん抱いてみますか?」
「うん!」
「そっとね」
「うわああ、可愛い…」
 ユキノがそっと赤ちゃんを抱く。
「よしよし…」
 英虎はその姿を見ていて急に何を思ったのか、ユキノごと赤ちゃんを抱き締めてしまう。
「可愛いぜ!」
「トラ! なにしてるですか〜!」
「ユキノも赤ちゃんも壮絶に可愛いぜ! 犯罪だぜ! 可愛い!  赤ちゃんにちゅ、チューしていいかな…」
「トラったら!!」
 ユキノは真っ赤になってしまうと、夏希はその光景を見てフフっと微笑んでいる。


☆  ☆  ☆


 ドラゴンの母親にドラゴニュートの赤ちゃんを返す時がやってきた。
 シルバとドラゴニュートたちが前回、シャンバラ教導団の訓練で使用した土地の近くのヒラニプラ郊外のドラゴン棲息地まで赴いた。そして、攫われたドラゴニュートの母親を捜し出し、ドラゴニュートたちが事情を説明し、蒼空学園まで案内してきたのだ。


 メイベルがすっかり元気になった赤ちゃんをだっこしている。メイベルはかいがいしく、赤ちゃんの傷が癒えた頃には、お風呂に入れてやったり、ご飯を食べさせたりしていたのだ。そのせいか、赤ちゃんは救出された頃の怯えはすっかりなくなり、愛嬌を振りまいては生徒たちのアイドルになっていた。
「さよならですぅ、赤ちゃん」
 ドラゴンの母親がくるり、と蒼空学園の上空で旋回すると、気配を察知したドラゴニュートの赤ちゃんがキュウ!とひときわ大きな声を上げる。

 メイベルからドラゴニュートの赤ちゃんは縁に渡され、上空で待機する母親のもとに運ばれる。ダリルもルカルカが縁が運びやすいよう、だっこひもを縁にかけてやると、そこにドラゴニュートの赤ちゃんを皐月がそっと入れてやった。
「いけ、親のところへ」
 ダリルはそっとドラゴニュートの赤ちゃんの頭を撫でると、ルカルカも別離の涙をこらえてほほえみかける。
「さよならだね、元気でね」

「じゃあ、行ってくるねぇ」
 呑気な口調で、縁が飛行艇を発進させる。
「気をつけてね」
 皐月が声をかけると、カルキノスが赤ちゃんに向かって手を振る。
「お母さんと離れるんじゃないぞ」
 すうっと浮かび上がっていく飛行艇から、赤ちゃんは見送りに来た生徒たちの顔を見渡すと、目に涙を浮かべて一声上げた。
「キュウウ!!」
「『ありがとう』だってさ…赤ちゃん…元気でいるんだぜ!」
 ルークのつぶやきに、由香は目尻の涙を拭った。

 縁は、母ドラゴンに飛行艇で近づくと、だっこひもから赤ちゃんを母ドラゴンの背中に預けた。
「さよなら、赤ちゃん…おおきくなってね」
 縁はそっと赤ちゃんの頭を撫でると、そのまま飛行艇を駆ってぐんっと母ドラゴンから離れていく。


 母ドラゴンと赤ちゃんはしばらく蒼空学園の上空に留まっていたが、ぐるっと何回か上空で旋回すると、夕日の向こうに羽ばたいていった。
 生徒たちはその姿が見えなくなってしまうまで、見つめていた。

「さて、ルカルカ。これで『鬼太刀会』事件はとりあえず収束したですぅ。目玉焼きはやっぱりXO醤が一番ですぅ!」
伽羅の言葉に、ルカルカが
「ルカルカは絶対に七味! XO醤なんて邪道!」
 と、目玉焼きの食べ方論争を開始した。
 
 蒼空学園の空は赤く、それはまるでファイヤードラゴンの吐く炎のように美しかった。


担当マスターより

▼担当マスター

杉井幾

▼マスターコメント

「狙われた学園〜蒼空学園編〜2話/全2話」おつきあい下さり、ありがとうございました。
マスターの杉井 幾です。

今回、見せ場見せ場を作ることを意識して書いてみました。いかがでしたでしょうか。私も続き物のシナリオが初めてで、大変緊張しました。その分、皆さんに楽しんでいただけばと思います。

さて、二つの学園を巻き込んだ『鬼太刀会』事件も、これで幕を下ろすことになります。『鬼太刀会』は逃げてしまいましたが、相当のダメージを受けたため、しばらく活動はできないでしょう。葉士官たちも、セキュリティや情報提供者へのケアを万全にしていくことを誓っています。彼も今回のことで、士官として成長することが出来たでしょう。

次にお詫びを。
このシナリオは、シャンバラ教導団の方に負担をかける内容になったかと思います。私もそこは心を痛める部分でもあったのですが、逆に今回参加いただいたシャンバラ教導団のみなさんの活躍に、母校愛をひしひしと感じました。

他の参加者たちの方も、とても面白くて格好いいシナリオの数々、ありがとうございました。また、コメント欄にメッセージ下さった方、お気遣いありがとうございます。

また、この「狙われた学園」はシナリオガイド自体も説明が少なかったため、とりかかりにくかったと思います。申し訳ありません。私の中で試行錯誤してしまった部分があり、みなさんにはご迷惑をおかけしました。それでも私の予想を上回る素晴らしいアクションの数々を出していただき、感謝しております。

後はお願いがいくつか。
「他のマスター様のシナリオを参照して下さい」
こちらのほうはお受けできません。あくまで、シナリオ毎のアクション提出をお願いします。

アクションも「他者に見せる」ことを意識して書いてみて下さい。
第三者が読んで「読みやすい」か、それを頭に置いてみてアクションを作成してみて下さい。
長文がいいとは限りません。
見やすさという点では箇条書きも良いと思います。

このまま、私は「【2019修学旅行】紅葉狩りのはずが鬼と修行?」シナリオ執筆に突入します。その後は、まだ考えてはいないのですが、ラブラブモードのお話を書いてみたいです。…みなさんは、占いとかお好きですか?


それでは。また次のシナリオでお目にかかるのを楽しみにしています。