イルミンスール魔法学校へ

シャンバラ教導団

校長室

百合園女学院へ

【2019修学旅行】のぞき部どすえ。

リアクション公開中!

【2019修学旅行】のぞき部どすえ。

リアクション


最終章 リプレイ

『間もなく放送を再開します』

 浴場前の休憩所。
 大画面テレビには、本日のハイライトシーンが流れていて、次々と人が集まってきている。
 「プロジェクトN」の制作陣は、その間も忙しい。
 エメは解析作業の仕上げに入っている。これが終われば、影野陽太が初島伽耶の裸をのぞいたのかどうか、わかるだろう。
 アレクスはネズミを追いかけるのに忙しかった。
「にゃう!」
 ネズミをあきらめたのか、今度はぴょーんと撥ねて、クマの着ぐるみに乗っかった。
 ゆる族のルーセスカ・フォスネリア(るーせすか・ふぉすねりあ)も来ていたのだ。
 それを見て、夏希が驚いている。
「あれ。湯上がり? あなた……いらっしゃったんですか?」
「ルーよくわかんないねぇ。ほいじゃ、マッサージしよっかー」
 正宗がいることに気づいてないのか、その上からマッサージチェアに乗った。
「う……うぐ……」
 着ぐるみと合わせて体重100キロのルーに乗られて……

『伊達藤次郎正宗、戦死』

 大地がカメラを担いで、シーラがマイクを握り、インタビューする相手を探して声をかけた。
「あ。あのぉ。何やってるんですかぁ」
 遙が写真を撮りまくっていた。
 遙は、どんどん集まってくる浴衣姿の女子を見て、興奮しているようだ。
「写真ですよ。やはり、浴衣姿は素敵ですね」
 そこにパートナーのベアトリクス・シュヴァルツバルト(べあとりくす・しゅう゛ぁるつばると)が現れ、遙は思わずパシャ!
「ん? 何を撮ってる」
「なんだ。ベアトリクスか。浴衣美人を撮ってるんですけどね」
「浴衣美人?」
「う。まあ、まあまあの人も撮ってますから……あ。テレビさん。あのですね。着衣のエロス。浴衣姿から漂うそこはかとないエロス! 私はですね、日本人としてそこを大切にしていきたいと思いますよ」
「はぁ。なるほどぉ」
 天然入ってるシーラはピンと来てなかった。それより気になるのは、遙の背中だった。
 浴衣の上の羽織に、浅葱色で『萌』と一文字刺繍されていたのだ。
「こ、これはぁ――」
 と言ったところで、大地に引っ張られて、別の人を探すことになった。

 自動販売機の前で、ピエロが並んで牛乳を飲んでいた。
 ナガン ウェルロッド(ながん・うぇるろっど)クラウン ファストナハト(くらうん・ふぁすとなはと)サイコロ ヘッド(さいころ・へっど)ビスク ドール(びすく・どーる)の4人だ。
 大地は、この旅館で初めて見るナガンたちに驚いていた。
「あれ? ナガンさんいたんですか?」
「ぐびぐびぐび……ん? いたけど?」
 シーラがすかさずインタビューを始める。
「あ。あのぉ……今回ののぞき部はどう思いましたかぁ?」
「別に」
「キリン隊はどうでしたかぁ?」
「知らねえ。見てねえもん」
「あの……でも、風呂上がりのような雰囲気がぁ――」
 クラウンが牛乳を飛び散らかしながら、前に出る。
「じゃじゃじゃ じゃ〜ん!」
 何事かと思ったら、廊下の向こうからキリン隊とパンダ隊の登場だ。
 マイクは焔に向けられた。
「キリン隊隊長の村雨さんですよねぇ」
「ええ……」
「影野さんが、もし初島さんの体をのぞいていたということになるとぉ、やはり隊長としての責任問題に発展すると思われますがぁ、その場合は、隊長の座を降りる覚悟はあるのでしょうかぁ?」
 なんでインタビュアーをシーラにやらせたのだろうか、大地はもうレンズをのぞきながら冷や汗たらたらだ。
「のぞき部撲滅のためなら、それも考える。今はそれしか言えない」
「そうですかぁ。次の質問ですけど、好きな動物は何ですかぁ?」
 隣から理沙が声を張り上げる。
「パンダ! パンダパンダパンダ!」
「パンダ隊隊長に就任された白波理沙さんですねぇ」
「はい。なんでも聞いて!」
「パンダってなんであんなに可愛いんでしょうかぁ?」
「ほんと、なんでだろう。そうそう。パンダ隊のみんなもすっごく可愛いよ!」
 インタビューはメチャクチャだった。

 そして、今度はのぞき部の面々がやってきた。ぞろぞろぞろ……
 ショウはキリン隊と目を合わせないように、総司の背中に隠れようとしていたが、総司は部長である。余計に目立っていた。
 シーラのインタビューが始まる。
「のぞき部部長の弥涼総司さんですよねぇ」
「好きな動物なら、こいつだ」
 肩にフェレットが乗っている。
「え。仔ラリラリ?」
「違う。フェレットの“なつめ”だ。よろしくな」
 なつめは焔を見つけ、小さな声で懸命に吠えた。
「シャーーーーッ!」
 誰が敵かわかっているようだ。
 シーラがインタビューを続ける。
「のぞき部はぁ、ただでさえ悪い部活なのにぃ誰ものぞけなくてぇ、ダメダメですよねぇ?」
「ぐ……まだだ。まだ、うちのエース、陽太が残ってる」
 陽太は未だに脳みそがトコロテンで、みんなに引っ張られてやってきた。
「んぱーんぱー」
 そして、最後に伽耶とアルラミナがやってきた。
「みんな集まってる。これって、なんか楽しいこと……やる?」
「やるかも!」
 テレビのことは知らず、みんなが集まってて楽しそうだから来たようだ。

「じゃじゃじゃ じゃーん!」

 テレビに陽太の顔がアップで写された。
 いよいよリプレイ放送が始まったのだ。
 エメは、テレビ上で丁寧に解説を入れていく。

『のぞき部員の鼻血反応タイムを元に計算すると、今回、次の法則が成り立つ。
 陽太の鼻血噴出 → その“後”に、風呂桶激突 = のぞき成功
 陽太の鼻血噴出 → その“前”に、風呂桶激突 = のぞき失敗』

 そして、陽太の鼻がきれいにアップで写された。
 さあ、どうだ!
 のぞき部のエース誕生か???
 キリン隊隊長の責任問題か???
 唯一目撃していた如月佑也は、ニヤニヤしながらメガネをキュッキュと拭いていた。

 画面では、鼻血はまだ出ていない。
 そして、その鼻に風呂桶がゆっくりと近づいてくる。
 鼻血はまだ出ていない。
 風呂桶があと15センチまで迫る。
 鼻血はまだ。
 14センチ。
 鼻血はまだ。
 13センチ。
 鼻血はまだ。
 12センチ。
 鼻血はまだ。
 11センチ。
 鼻血はまだ。
 10センチ。
 鼻血はまだ。
 9センチ。
 鼻血はまだ。
 8センチ。
 鼻血はまだ。
 7センチ。
 鼻血はまだ。
 6センチ。
 鼻血はまだ。
 5センチ。
 鼻血はまだ。
 4センチ。
 鼻血はまだ。
 3センチ。
 鼻血はまだ。
 2センチ。
 鼻血はまだ。
 1センチ。
 鼻血はまだ。

 と、

 ここでなんと!

 ああ!

 ああああ!

 ああああああああ!!!!!

 これは、なんという演出効果だろうか!
 エメは更なる高等技術をぶち込み、映像はスーパーミラクル超絶スローモーションモードに突入だ!!!

 風呂桶が鼻に直撃するまで、あと0.9センチだ!
 鼻血はまだ出ていない!
 そして、0.8センチ!
 鼻血はまだだ!

 この恐ろしく遅すぎるリプレイに、テレビの前の全生徒はブチギレ寸前!
「早く見せろコラ!」
「エメてめえ、演出はりきってんじゃねえよ!」
「もう我慢できないでござるよ〜」

 0.7センチ。
 鼻血はまだ。
 0.6センチ。
 鼻血はまだ。
 0.5センチ。
 鼻血はまだ。
 0.4センチ。
 鼻血はまだ。
 0.3センチ。
 鼻血はまだ。

 と、そのとき!
 赤い液体が!

 ドバババババッババババババッババーーーーーー!

 画面いっぱいに広がった!
 鼻血を、ついに鼻血を出したのか!
 風呂桶激突前に、つまり初島伽耶の裸体を見たことによって、鼻血を出したのかーーーー!!!!!
 一瞬の沈黙が休憩所を包んで、
 次にテレビから聞こえてきた、その声は……

「トマトジュースは、やっぱりパラモンテが一番!」

 CMだあああ!

「パーラパラパラ。パラモンテ〜♪」
 くしくも伽耶が率いる桃色☆乙女隊がトマトを持って踊っている。
 伽耶とアルラミナはCMディレクターにスカウトされ、出演していたのだ。
 薫はバックダンサーだったが、自分の姿がテレビに流れて赤面。仲間にも内緒にしていたようだ。
「恥ずかしいでござる〜」

 今度は画面が一気に真っ白に。
 と思ったら、これは牛乳。
 パラ印乳業のピエロミルクの宣伝だ。
 さっきから4人並んで牛乳を飲んでいるナガンたちが、どうもビシッとキマッてると思ったら、こういうことだったのか。
 ナガンたちもCMに出演していたのだ。
「出演したけど、何か?」

 そして、画面はドラマスペシャルの告知CMになった。
『牡丹とシャンバラ』からのスピンオフドラマ、『泥棒猫と呼ばれて』だ。
 泥棒猫と呼ばれ続けた半生を綴った大河ドラマである。
 主演には、新人女優の秋葉つかさが大抜擢されていた。つかさもみんなに内緒にしていた。
「私は知りませんっ」

 そして、CMが明ける。
 しかし、少し前に戻って始まるのがテレビ番組というもの。

 風呂桶は陽太の鼻まであと5センチもある。
 もちろん鼻血はまだ出ていない。
 そして、4センチ。
 鼻血はまだ。
 3センチ。
 鼻血はまだ。
 2センチ。
 鼻血はまだ。
 1センチ。
 鼻血はまだ。

 そしてここからスーパーミラクル超絶スローモーションに。

 0.9センチ。
 鼻血はまだ。
 0.8センチ。
 鼻血はまだ。
 0.7センチ。
 鼻血はまだ。
 0.6センチ。
 鼻血はまだ。
 0.5センチ。
 鼻血はまだ。
 0.4センチ。
 鼻血はまだ。
 0.3センチ。
 鼻血はまだ。

 そこで、風呂桶をフリスビーにして遊んでいた伽耶の手首が強化されていたのだろう、一気に球速ならぬ桶速が加速した。

 ガッ。

 風呂桶は鼻血が出る前に、激突したッ!!!!!

「おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!!」

 キリン隊とパンダ隊は胸をなで下ろした。焔はキャラに似合わず理沙とハイタッチなんかしてしまい、照れていた。
 のぞき部は涙を流しながら悔しがった。京都の砂をビニール袋に詰めて持ち帰る者もいた。
 伽耶とアルラミナは、人混みがすごくて最後までテレビが見られなかった。
「何やってたんだろう。まいっか」
 そして、陽太が目を覚ました。
「ん……んぱ。うっ……なんか鼻が痛いなあ。なんでだろう……?」


 こうして、のぞき部とキリン隊・パンダ隊の戦い第2ラウンドは終わり、エメは最後のテロップを流す。

『緊急ドキュメント【プロジェクトN】
 〜のぞき部VSキリン隊、京都戦争・完全生中継!〜 完』



 最後の最後には、アレクスの声で提供が読み上げられた。

「ご覧の番組は、パラモンテ、パラ印乳業、牡丹とシャンバラ、が提供したにゃう!」








◆ おまけ。役職一覧(敬称略。MCのみ)◆


【のぞき部】

部長    弥涼総司
副部長   クライス・クリンプト

幹部(穴あけ担当) 黒脛巾にゃん丸
幹部(ナンパ担当) 鈴木周
幹部(男気担当)  姫宮和希
幹部(ツルピカ担当)椿薫

女子部長  秋葉つかさ
イベンター 坂下鹿次郎
ヤクザ   大草義純
エース   影野陽太

戦闘員   緋桜ケイ
戦闘員   ベア・ヘルロット

新人    赤月速人
新人    トライブ・ロックスター
新人    風祭隼人
新人    マスク・ド・ぢぇらしぃ

新人女子  桐生ひな
新人女子  風森望
新人女子  佐々良縁

パシリ   葉月ショウ


【キリン隊】

隊長    村雨焔
副隊長   橘恭司

特攻隊長  ケンリュウガー
刑事    シャンバラン 

新人    永夷零
新人    風祭優斗
新人    ライ・アインロッド

暫定隊員  佐々木真彦
暫定隊員  如月佑也
暫定隊員  御凪真人
暫定隊員  七枷陣 

暫定魔法少女 城定英希


【パンダ隊】

隊長    白波理沙
副隊長   広瀬ファイリア

ひら    六本木優希

新人    菅野葉月

憲兵    水原ゆかり

暫定隊員  小鳥遊美羽
暫定隊員  御槻沙耶
暫定隊員  桜月舞香

隊長の応援団 リュース・ティアーレ


担当マスターより

▼担当マスター

菜畑りえ

▼マスターコメント

のぞき部もキリン隊もパンダ隊も、みなさんお疲れ様でした。
ただお風呂でのんびりしたかった方も、「プロジェクトN」制作陣もお疲れ様でした。
みなさんの無茶苦茶なアクションのおかげで、私もとても楽しく書くことができました。

一部でトトカルチョが企画されていましたが、残念ながらボツとさせていただきました。
ボツにした主な理由は、参加者が非常に少なかったことと、そもそも当てた人もいなかったことです。
他の理由については、主催者さんに個別でお伝えしておきます。
ということで、トトカルチョを楽しみにしていた方には申し訳ありませんが、ご了承ください。

最後のページに、各組織の人員と役職(一部役職とは言えないが)を、前回と今回の活躍の度合や積極性などを踏まえて整理してみました。
入部・入隊を表明していない協力だけの方も、心情や動機が近ければ暫定部員・隊員として記載しています。
この名簿を今後の掲示板や次回シナリオなどで生かして楽しむもよし、完全に無視して楽しむもよし。皆さんで好きに使ってください。
もし次回のシナリオに反映させたい点があれば、その旨をアクション欄に記入してください。なるべくリアクションでお応えします。
また、そもそも本格的な軍隊シナリオでもなーんでもないので、地位の高低は今後の活躍とは全く関係ありません。(あたりまえ。)あくまでも参考と思ってください。
もしヌケやミスがありましたら、すみません。次回参加時に教えてください。

なお、残念ながらボツになったアクションに関して、なるべく個別コメントで理由(時には言い訳)を説明しています。お節介な助言をしていることもあります。
より蒼空のフロンティアあるいは私のシナリオを楽しんでもらうために送っていますので、参考にしていただければ幸いです。

それでは、次のシナリオでお会いしましょう。


※追記。
マスク・ド・ゲイザーをマスク・ド・「ケ」イザーと誤って表記していました。
また、誤字脱字とそれに近い表現ミスなどを修正しました。特に部長さん、本当にすみませんでした。