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リアクション
第3章 卑しき者
「ラビアンが病棟に来ているらしいけど、どこにいるのかしら・・・。触手で絞殺してこようとするゴーストと戦った影響で、SPも残り少ないから気をつけないと・・・」
生者の命を狙うゴーストたちが徘徊している病棟の中で、探索している彼女をアリア・セレスティ(ありあ・せれすてぃ)はエリアB内で探し歩いている。
「あの子、もしかしたら・・・・・・。ううん・・・そんなはずないわよね」
最悪の状況を想像してしまい、忘れようと左右にフルフルと首を振った。
「はぁ・・・私ったらなんてこと考えちゃったんだろう。あの子、ゴーストに追われてあんなに怯えていたじゃない。それを偽っているなんて・・・」
彼女を疑ってしまった自分に腹を立て、顔を顰めて前へ向き直ると、廊下をウロついてる4人の生徒が眼についた。
アリアの姿に気づいた生徒たちが駆け寄ってくる。
「やっぱり蒼学の生徒だったか。暗くてよく見えなかったが、ひょっとしたらと思ってな」
ゴーストたちから逃げ回っていたレアル・アランダスター(れある・あらんだすたー)は、ようやく他校生に出会いほっとする。
「この人数だし・・・オラたちだけじゃあ、朝まで耐久するのはちとキツかったからな」
ガオ・ゲオ(がお・げお)は疲れたようにため息をつき、壁に寄りかかって項垂れた。
「もしよろしければ、一緒に行動してくれると心強いのですが。恐ろしい悪霊に追われたり・・・ゴーストに殺されかけたり・・・、気が狂ってしまいそうです」
涙目になりながらティム・プレンティス(てぃむ・ぷれんてぃす)は丁寧にお願いする。
「このままだと4人とも亡者の仲間入りしてしまいそうなのでな・・・」
「えぇ、いいわよ」
子安 祐(こやす・ゆう)にも頼まれてしまい、亡者から生徒たちを守ってあげようとアリアは微笑みかけた。
廊下を進もうとした瞬間、ガシャァアンッと天井から金網が落ちてきた。
アリアは錆ついた金網の上に立ち恐る恐る見上げる。
「あ゛っ、ぐうぅ!!」
その通気口から細長い手が現れ、首を掴まれてしまう。
気を失いそうになりながらも諸葛弩の弦を引き、震える手で通気口に向かって矢を放つ。
ゴーストの脳天に直撃し、飛散した脳漿がアリアの顔にかかった。
「―・・・っ!」
首から亡者の手が離れ、ドスンッと床に転げ落ちる。
「まだあの奥に潜んでいるかもしれないわ・・・急いでここを離れるわよ」
痛む身体を無理やり起き上がらせ、血肉を制服の袖で拭いレアルたちを連れて避難しようとする。
戦い続きで弱りきった少女の姿に彼らは、互いに視線を送り合いニヤリと笑う。
「あ・・・あなたたち、何するの!?」
レアルとガオにドラゴンアーツのパワーで押し倒されたアリアは、なんとか逃れようと手足をばたつかせる。
「何って、されてからのお楽しみだな」
いやらしい眼つきでレアルたちはアリアの胸や太ももを眺めてニヤつく。
「―・・・い・・・いやっ・・・」
力を使い果たした少女に抵抗する手段はない。
守ろうとした生徒たちに裏切られ襲われてしまった少女は、絶望と疲労の影響で意識を保てなくなり、その場に気を失ってしまった。
アリアの服を引き千切ろうとレアルが手をかけたその時、コツン・・・コツンッと靴音が近づいてきた。
黒いフードを被った人物がアリアを見下ろす。
「もしかして・・・あなたがゴーストたちを作り出した人ですか・・・?」
ティムは相手の気分を害さないよう、慎重に声をかける。
静かにコクリと頷く相手に、彼は満面の笑みを浮かべた。
「是非貴方に弟子入りしたい!この女を捧げますから、どうか私にお力を!」
「―・・・その言葉に後悔はない?」
ゆっくりと口を開き言葉を返すその者にティムは何度も頷く。
「それじゃあ・・・余計なのには消えてもらうか」
クスッと笑いレアルとガオの方へ片手を向け、手の平から紅の炎を放つ。
火術によって燃やされた服の火を慌てて両手で消し、彼らはギャァギャァと悲鳴を上げながら逃げ去った。
「そこまでしなくても・・・」
知り合いが火術で酷い目に遭わされた光景を目にした彼は、驚きと恐怖のあまり頬に冷や汗を流す。
「ちょっと脅かしただけじゃない」
「へたしたら焼死してしまうではないか」
「何・・・?逆らうわけ?」
「いっ・・・いや・・・」
冷酷な人物にティムと祐は口を閉ざしてしまう。
「そう、じゃあさっさとソレ連れてついてきなさい。これから実験結果を試すのだから。フフフッ・・・」
ゴーストの創造主と共にティムと祐はアリアを担いで、生命を冒涜する闇の実験場へと向かった。
看護師にラビアンの居所を聞こうと、 小鳥遊 美羽(たかなし・みわ)とベアトリーチェ・アイブリンガー(べあとりーちぇ・あいぶりんがー)ナースステーションに来ていた。
「ねぇ・・・看護師さん、ラビアンがどこにいるかしらない?」
「―・・・ラビアン・・・?」
美羽の問いかけに看護師の霊は首を左右に振り、知らないと答える。
「そう・・・じゃあ・・・」
カードキーのありかを聞こうとするが、霊は突然苦しそうにうずくまった。
「どうしたの!?」
「わ・・・私・・・は・・・・・・もうすぐ消えてしまう・・・」
「えっどういうこと!」
それだけ言い残すと霊は姿を消してしまった。
「もしかして彼女の身に何かあったのでしょうか?」
「霊体の彼女が苦しむことって・・・」
「嫌な予感がします・・・一刻も早くカードキーを探しましょう!」
ベアトリーチェたちはカードキーを探そうと、再び病棟内を歩き始めた。
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