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第2章 寒い野外にはやっぱり暖かい料理!
-PM12:00-
先にキッチンをセッティングしてもらったナナ・ノルデン(なな・のるでん)は、スポンジケーキ作りにとりかかる。
「うぁ〜かなりの量だなー・・・。でも頑張るよ!」
クレープ用にズィーベン・ズューデン(ずぃーべん・ずゅーでん)がイチゴやリンゴを切り分けていく。
「えーっと分量は・・・常温に戻した卵3個に、お砂糖と薄力粉80g。それと溶かしバターとサラダ油20g・・・合ってるわね」
ナナは失敗しないように材料の分量をきっちり計る。
薄力粉をパタパタとボールの中へ振るい、バターとサラダ油を合わせて湯煎にかけ人肌くらいの温度に温めた。
「次は・・・型にシートを敷いて、オーブンを170度に温めてっと・・・。その後に卵をハシをで割りほぐしてから砂糖を加えすり混ぜる・・・」
作り方を思い出しながらハンドミキサーで混ぜる。
「途中で何か加えるはずだったわよね・・・なんだっけ・・・。塩・・・それとも老酒・・・?なんか違うな・・・」
混ぜる途中で何を加えるのか忘れてしまったナナは悩み込んでしまい、ミキサーを止めてしまう。
「ちょっ・・・塩って・・・。しょっぱいスポンジケーキなんてやだよ!甘くてふわふわなんだよぉお!」
ナナがまったく違う調味料を加え、不気味なデザートを作り上げる前に阻止しようとズィーベンは声を上げる。
「甘い・・・?そっか思い出した、バニラオイルだったわ!」
バニラオイルを少し加え、ミキサーにスイッチを入れて混ぜた。
「よーしこんな感じかな?」
粉やサラダ油、バターを加えて完成させた生地を型に流し込み、温めたオーブンへ入れる。
「クレープの生地は作っておいたから・・・後はズィーベンのアイスね」
完成度を見ようと覗き込むと、材料を順番に鍋へ入れて中火にかけ、しゃもじで混ぜ合わせていた。
「とろみがついてきたかな・・・そしたら生クリームを混ぜるんだっけ。型・・・これでいいや」
混ぜ終えたタネをパウンドケーキの型に流し込む。
「冷やすのに3・4時間もかかっちゃうから、氷術で冷やそうっと・・・」
術のパワーを調節させてアイスを完成させた。
木に寄りかかりながらレーゼマン・グリーンフィール(れーぜまん・ぐりーんふぃーる)は、楽しそうにパーティーを準備している生徒たちの姿を眺めていた。
「我等教導団は戦争ばかりしているが・・・こういうのもいいものだな」
いつもとは違う争いのない平和な光景に微笑む。
「向こうは何をやっているのだろうか?」
レーゼマンが他の方へ視線を移すと、カゴいっぱいに入れた食材を抱えた樽原 明(たるはら・あきら)が会場へ運んでいた。
「材料はこれで全部のはずだから、後はキッチンのセッティングか」
ガスコンロの位置や、まな板を置く折りたたみ式のテーブルをセットしていく。
「―・・・こんなもんだろうか?」
「ではさっそく調理を始めます」
メイドとして自慢の手料理を生徒たちに振舞おうと、宇都宮 祥子(うつのみや・さちこ)はジャガイモの泥をバケツに入っている水で丁寧に落とす。
ピーラーを使い慣れた手つきで野菜の皮むきをする。
「なるほど・・・料理を作っているのか」
レーゼマンがいる方までフライパンで玉ねぎを炒めるいい香がしてきた。
「材料から見てシチューのようだな」
カゴに入っている野菜を見て、何を作っているのか推測する。
「あまり長居はできないから食べられないのが残念だ・・・。おっと・・・もうすぐ雪合戦が始まる時間だな。そろそろ移動するか」
彼は仲間の生徒たちが待っている雪合戦の会場へ向かった。
「ふぅ・・・あとはじっくり煮込むだけですね」
「ほぉ〜いい匂いだー・・・」
明はシチューの香に引き寄せられてしまう。
「つまみ食いしちゃいけませんよ?」
「わ・・・我輩そのようなこと消してしませぬっ!」
勝手に味見しないよう祥子に釘を刺され、変に間を空けたらさらに疑われると思った明は慌てて言う。
「冗談ですよ。出来上がり前に誰か食べてしまわないか見張っててください」
「―・・・あぁ了解した。うーむ・・・我輩からかわれたのであろうか・・・」
両腕を組み、明は悩むように考え込んだ。
「早いな・・・向こうはもう完成したようだね」
祥子の手際の良さに驚きながらも佐々木 弥十郎(ささき・やじゅうろう)は負けていられないと、トマトとタマネギやパプリカなどの野菜、それに手羽先を加えブイヨンでじっくりと煮込む。
「料理は焦らずじっくりだよ」
ポテトの味付け用のカレーを完成させた真名美・西園寺(まなみ・さいおんじ)が揚げ作りにとりかかっていた。
前日から秘伝のタレにつけて置いた鶏肉をキッチンペーパーで水分をとり片栗粉にまぶす。
「こっちを揚げている間に、レンコンをスライス〜」
薄くスライスしたレンコンをカリカリに揚げる。
「大皿に盛り付けてっと・・・」
見た目も綺麗にしようと丁寧に盛りつけた。
「カレーを作る時に切っておいたポテトをもう1つのフライパンで揚げちゃうよ♪」
西園寺は時間を無駄にしない方法で料理を作っていく。
一方、弥十郎の方はチョルバを完成させ、味を調えるためにレモン汁を加え酸味の利いたスープに仕上げた。
「出来たやつからテーブルの方へ持って行きますね」
「うん、頼むよ」
テーブルをセットし終えたルイがチョルバの入った暖かい鍋を持って行く。
「丁度いい味かな」
弥十郎は作ったクラムチャウダーをお玉ですくい、小皿に注いで味見をしてみる。
「くぅ・・・重いな」
重たい銀の鍋の取っ手を掴み、テーブルの上へ持って行った。
「さて私はメイン料理を作ろうか」
本郷 涼介(ほんごう・りょうすけ)は赤身が多い新鮮な和牛肉の塊を、まな板の上に乗せてタコ糸で縛る。
塩とコショウ、ローズマリーを肉に刷り込み、表面をフライパンで焼き固めてトレイの上に乗せた。
スライスしたタマネギや人参にピーマン、セロリとニンニクに加えてパセリ、生姜の香味野菜と共に170度に予熱したオーブンへ入れる。
「そろそろ40分経ったか・・・?」
携帯電話で時間を確認し、オーブンから肉を取り出す。
「いい感じに焼きあがったみたいだな」
焼きあがった肉をアルミホイルに包んで寝かせ、グレービーソース用にオーブン皿に残った肉汁の染みた香味野菜を使う。
「私は美味しいフルーツサラダを作っちゃうよ♪」
包丁を手にしたクレア・ワイズマン(くれあ・わいずまん)は、リンゴやバナナ、キウイなどのフルーツを食べやすい1口サイズに切っていく。
「簡単お手軽ソースで和えて・・・」
ヨーグルトとマヨネーズを混ぜたヨーグルトソースでフルーツを和え、お玉ですくいカップに入れた。
「料理は見た目も大事だよね。ミントを乗せて・・・出来上がり!」
見栄えと香づけのためにミントの葉を添えた。
「やっぱり料理があるなら飲み物も必要じゃな」
アルカリリィ・クリムゾンスピカ(あるかりりぃ・くりむぞんすぴか)はパーティー参加者のためにカクテルを作ろうと、フルーツの入ったカゴに手を入れてどれにしようか選ぶ。
「ブドウとマスカットがあるようじゃのう。他には・・・」
別のカゴへ手を入れると市販のリンゴゼリーがあった。
「これをグラスの底に詰めて、種なしのブドウとマスカットを入れてみようかのう」
角切りにしたゼリーをグラスの底へ詰め、果物の皮を手で向いて中へいれる。
「ふむ・・・これなら炭酸系がいいかのう?」
レモンスカッシュを注ぎ、スライスしたオレンジをグラスの端につけ加えた。
「あの辺りが空いているようじゃな」
空いているテーブルの上に作ったフルーツカクテルジュースを並べていく。
「とりあえずこれだけあればよいかのぅ」
数十分かけて80個作り、アルコールのカクテル作りにとりかかった。
「寒いからのう、暖かいのがいいじゃろうな」
ホットリキュールとチャイを混ぜて味見してみる。
「―・・・以外と合うもんじゃのう」
パーティー参加者の人数分用意し、テーブルの上へ配置した。
「寒い外で食べるんだから温かいデザートも必要だよね♪一応作って来たんだけど・・・足りなさそうだからね」
温かいデザートを生徒たちに振舞おうとシア・メリシャルア(しあ・めりしゃるあ)がダンボールから鍋を取り出す。
コンロの上に置き水洗いしておいた小豆と水を鍋へ流し込む。
「たしか弱火だったよね」
火加減を調節して煮ている間に砂糖と塩をカバンから出した。
「ちょっと甘さ控えめの方が食べやすいかな。持ってきたやつが甘めだからこっちは控えめにしとこう」
砂糖と塩を加え、さらに煮つめる。
「白玉も入れちゃおうっと♪」
ぼちゃぼちゃっとたっぷり白玉を鍋へ入れた。
「よぉし出来た!」
味見をしようとスプーンですくい口に運ぶ。
「―・・・ん、いい感じ♪」
鍋いっぱいにぜんざいを作った鍋をテーブルへ運んだ。
コンソメスープの入った銀の大鍋を重そうに抱え、冬山 小夜子(ふゆやま・さよこ)は氷のテーブルへ運んでいく。
「んん・・・さすがに人数分作ると重いですわ」
壊さないようにゆっくりと置いた。
「えっと次はサンドイッチのパンと、中にはさむ具ですわね」
パンをバスケットから取り出してお皿の上に並べる。
「具はこの辺に置いておきましょう」
小さなカップの中にチーズやハム、ピクルスを別々に入れていく。
「とりあえずこれだけあればいいですわね・・・」
持って来たバスケットを、誰かに踏まれないよう木の傍に置いた。
「あたしも何か作ろうかな」
食材を入れた箱に手を入れ、ミルディア・ディスティン(みるでぃあ・でぃすてぃん)はキャベツを取り出す。
「雪がメインの場なら、料理はさりげない方が、ね♪」
「あぅ・・・寒いですね・・・」
和泉 真奈(いずみ・まな)が寒そうに身震いをする。
「何の料理を作っているんですか?」
「ロールキャベツだよ♪」
キャベツの葉をはがし、沸騰したお湯の中で少し柔らかくなるのを待つ。
「このくらいでいいかな?」
茹でたキャベツをボールへ移し、スプーンで具をすくい葉の上に乗せて巻いていく。
「後は鍋に入れて待つだけね」
鍋に蓋をして椅子に座り、完成を待つことにした。
「やっぱりかまくらとかあったほうがいいのか?」
道明寺 玲(どうみょうじ・れい)は生徒たちが料理を食べるところを作ってあげようと、スコップを手にかまくらを作る。
「かまくらを作っているんですか」
テーブルの準備を終えたフィルが玲の方へ様子を見に来た。
「あぁそうだ」
「一人では大変でしょうから手伝いますね」
「そうしてくれると助かる」
「5人くらい入れる感じにしましょうか」
大きな雪山をスコップで作り上げ、手袋をはめた手でペタペタと形を作っていく。
「これくらいの大きさなら十分だな」
人が入れるように中を掘り、ドーム状にしていきバケツの水と掘り出した雪を混ぜて外側に接着させる。
「あまりしっかり作っていないが、今日一日だから大丈夫なはずだ」
スコップを片付け、お茶の準備にとりかかる。
「そろそろパーティーが始まる時間ね」
アピス・グレイス(あぴす・ぐれいす)は生徒たちが準備している様子を眺めていた。
「あたいはあっちに行って来るね!」
雪合戦の方へ行ってくると言い残し、シリル・クレイド(しりる・くれいど)は森の外へ向かっていった。
ビュッフェスタイルにしようと、生徒たちは手作りのデザートやオードブルなどの料理をテーブルに並べていく。
パーティー開始まで後数分・・・。
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