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ヒラニプラ南部戦記(最終回)

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ヒラニプラ南部戦記(最終回)

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5-05 飛翔(3)
 
 騎凛セイカは、ばちばちと音を立てながら沈んでいく世界を、急いでとんでいった。
 急がないと。あと、二人まだ私の生徒が残されているわ。
 凄まじい音を立てて世界を飲み込んでいく白い大洪水のなか、静かな黒い火に守られて、ひざを抱えてしゃがみ込む子がいる。
「あれね……」
 騎凛セイカは、そこまで急いで、下り立つ。
「琳さん」
「ジャレイラさん。……あれ、キリン先生?」
「ええ。行きましょう。ここも、もう沈みます。
 私は、もう一人探しにいかないと……」
 騎凛セイカは、琳と一緒に、じっと耳を済ます。「ああ。よかった。琳さんを呼ぶ声が聞こえますね」
「ヒラニィだ」
「これをたどっていけば、戻れます。大丈夫ですね」
「ああ。キリン先生……ジャレイラさんのことを呼んであげて……そうしないと」
「ジャレイラさんとおっしゃるのですか。……大丈夫ですよ。この方でしたら。
 私が……」
 世界がまた一層激しく揺れを増し始めた。
「そうですか。なら、きっと……ああ」
 琳を守っていた黒い火が、消えていく。
「ええ、大丈夫。では」
 キリンは暗くなっていく夢の別の方へまた飛び去っていった。
「ああ。私……戻らないと!」
 


 
 瑠璃は、坂道が暗闇に消える寸でのところに膝をかかえしゃがみ込んでいた。
「瑠璃さん!」
「キリン先生……あれ、ジャレイラ様は、キリン先生のなか?に……」
「戻りましょう」
「そうか。キリン先生は今回シャリンさんでもあったし……どっちがどっちにどうなったんでしたっけ?」
「私はキリンです。シャリンさんは、ちゃんとあちらにいるはずですよ。
 一緒に戻りましょう」
 キリンが瑠璃と飛び立ち、それからすぐに世界は暗い洪水に飲まれて終わった。
 

 
「ああ……画面落ちちゃった……」
 カナリーはパソコンの前でつぶやいた。