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節分に鬼っ娘退治!?

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節分に鬼っ娘退治!?

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 淳二が薄い笑みを浮かべ、

「ならば俺は牛頭に真っ向からパワー勝負と行こう」

と言った。
 そこへ燃えるような赤毛の美少女、霧雨 透乃(きりさめ・とうの)が姿を現した。霧雨は、連絡を受けたときちょうど遺跡内で一人、訓練に励んでいたいたのだった。

「体をのっとられるとか、たるんでるんじゃないの? まあ、訓練にも飽きてきてたし、ちょうどいい機会、か。力勝負……面白そうだ。牛頭相手なら不足はない」
『なあ〜んだと? たかだか人間風情がこの牛頭鬼様を力勝負で抑えこむだと〜モォ〜〜。笑わせるなモーッ』

淳二と透乃がにやりと笑った。

「やってみねばわかるまい?」

淳二が力任せに振り下ろされた牛頭の剣を妖刀村雨丸で受け止める。鍛えられた金属がぶつかり合うギイィィーン!というすさまじい音とともに、火花が散った。ザザッと淳二が衝撃で後退する。

「くっ! なんて馬鹿力だ」

その瞬間透乃が牛頭のわき腹を狙ってすばやい突きを入れる。

「はっ!」

しかし魔鎧に守られた美緒の体には、さほどのダメージはないようだ。

『小石か何かぶつかったかモォ〜ン』

「やはり豆を待つしかないのか」

淳二が呟く。

「的にしやすいように多少なりとも弱らせ引きとめたらいい」

透乃が言い、再びすばやく突きを入れた」

「そうだな。馬鹿力はあるが、こいつ、動きは鈍そうだ」

 忍が夢野に声をかけた。

「馬頭はちょこまかしそうだ。俺も手を貸そう」
「おお、頼んだぜ」

 夢野はつかつかと近くの馬頭に向かって声を張り上げた。

「おい、馬頭鬼っつたか、お前素早いんだってな? 俺に攻撃を当てられるもんなら当てて見やがれ!」
『ヒヒーン! なんだとテメー。やる気かよ?! ア〜?』」
 
 短気な馬頭が、まんまと挑発に乗った。瑛菜の金色に変った目が細められ、頭を振りたてた。すさまじい速さで手にした鞭が飛ぶ。夢野がその攻撃をわざと受け、すかさず鞭を掴もうとした。馬頭がすばやく武器を引く。

『ヒヒーン、おっとぉ。そうはいくかい』

 わはは、と笑う馬頭。が、そこへ正視できないほどの光を放つ大剣を握った忍が、鞭の柄を狙ってすばやくなぎ払う、馬頭の手にすさまじい衝撃を与えて鞭が弾き飛ばされる。最初の攻撃をかわした、心のすきを突かれたのだ。

「……なかなかやるじゃねえか」

そう言って夢野がにやりと笑う。忍が薄く笑みを浮かべる。

「まあな」
『武器なんぞなくてもお前らの相手なんぞ出来るわ!ヒヒヒーン』

馬頭が、痛む右腕を掴んで喚いた。
 つばめが剣を構えつつ、馬頭に言う。

「君、だいたいこんなところに何しにきたの?」
『そ、それはその……う、うるさいヒヒヒーーーン!!』

 つばめからそらした馬頭の目が、忍の背後に佇んでいた信長に留まった。金色の目がギラリと光る。

『……そこの赤毛。お前は!! ヒヒーン!! いつぞやはひどい目にあわせてくれたなぁぁ!!』

「私のことを知っておる貴様は何者じゃ!」

『この馬頭鬼様忘れたとは言わせねえぞ。ヒヒーン! ここで会ったが……何年目だろう』

「何のことだ? ……知らぬぞ」

信長が冷ややかに応じた。

「ん? こいつを知ってるのか?」

忍が信長に問い返す。
信長はぼそりと言った。

「……いや、まっこと覚えがない……まあ、ナラカにおったときにでも 見かけたのやも知れぬな」

それを聞いた馬頭がいきりたった。

『ヒヒヒヒヒーン!!! な、なんだと!! 忘れてるのか!! ……ええーい!……まあいい。出でよ小鬼ども!!! ヒヒヒヒーン!!』
 
 いきなり周辺一体に小鬼がわらわらと無数に現れた。人間の子どもほどの大きさだが、光る目と鋭い爪、牙を持ち、小型の鬼とも悪魔ともつかないような姿をしている。