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節分に鬼っ娘退治!?

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節分に鬼っ娘退治!?

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思惑
 

 シリウス・バイナリスタ(しりうす・ばいなりすた)リーブラ・オルタナティヴ(りーぶら・おるたなてぃぶ)と百合園学園で、アテナからの連絡を受けた。

「はぁ?? 美緒のヤツ…一度お祓いでもしてもらった方がいいんじゃねーか?」

とかく言いつつも、急ぎ福豆を大量に買い込む。袋をいちいち開けずにすむよう、いくつもの風呂敷に豆をまとめて包んでゆく。

「シリウス! 手遅れになる前に急ぎましょう!」

2人は風呂敷包みを背負って、遺跡に急いだ。その姿は、季節はずれのサンタクロースか、古式ゆかしい泥棒のようだったが……。

 朱宮 満夜(あけみや・まよ)ミハエル・ローゼンブルグ(みはえる・ろーぜんぶるぐ)は、ちょうど遺跡で訓練をしていたが、目の前をただならぬ様子で駆け抜けるシリウスとリーブラに気付き、声をかけた。

ミハエルが首を傾げて言う。

「良くはわからんが、牛頭鬼と馬頭鬼から彼女らを解放するには豆が必要なのだな?」
「何かできるかもしれないし、行きましょう」

満夜も応じた。

「ご依頼、お受けした。すぐに向かおうぞ」

辿楼院 刹那(てんろういん・せつな)はアテナからの依頼を受け、アルミナ・シンフォーニル(あるみな・しんふぉーにる)を伴い遺跡に向かった。以前依頼の関係でアテナと対峙したことがあったが、それはあくまでも仕事の上のことだ。

「せっちゃん、お仕事なんだね?」
「うむ、そうじゃ」

「きゃあ〜! 何これ、鬼がいっぱい!!」

 アルミナが悲鳴のような声を上げた。牛頭、馬頭と対峙するシズルらとの間に、カーペットのように無数の小鬼がひしめいているのだ。満夜が言う。

「こいつらは憑依しているわけではないですから、遠慮なく攻撃しても問題ないですね。何しろ数が多い。私は氷術で行きましょう。足止めにはこれで十分でしょうから」
「もちろん我輩も協力しよう」

ミハエルもうなずく。そこに刹那らが追いついた。

「わらわも小鬼どものお相手をいたす」
「うんうん、せっちゃんに任せれば大丈夫! ……ちょっと怖いけど、ボクもがんばるよ」
 
 近くにいた小鬼が、見るからに弱そうと見て取ったのだろう、アルミナに飛び掛ってきた。すばやく刹那がダガーナイフでなぎ払うと、小鬼は土煙を上げてはじけ飛んだ。
シリウスの目が輝いた。

「そうか、そうだな。こんなときにはだな!」

背負っていた豆の袋を、行動をきっちり予期していたリーブラにどさりと手渡す。

「お預かりしますわ……」
「変身ッ! 魔法少女ッ、シリウスッ!」

梓弓の鳴弦を抱え、魔法少女コスチュームに変身した。

「オレの子守歌を聞けぇ!」 
 
 おもむろに子守歌を熱唱しだす。一瞬あっけにとられていた刹那、アルミナ、満夜、ミハエルだったが、すぐさま我に返った。

「ボクは怒りの歌を歌うよ!」

後方に下がったアルミナが、住んだ透明な歌声を響かせる。満夜が子守唄で鈍った小鬼数匹ずつに氷術を放ち、ダメージを与え、さらに動きを鈍らせる。ミハエルも氷術を放つと、満夜に言った。

「満夜、氷術というものは、こう使うものだ」

刹那は隠れ身を使い、小鬼に向かってリターニングダガーを投げ、一匹ずつ確実に止めを刺してゆく。

「グワツ! ギャッ!」

致命傷を受けた小鬼は悲鳴を上げ、はじけて土煙と化す。

「行くぜー!!」

叫んだシリウスが、サンダーストームを放つ。弱りきった小鬼が次々とはじけ飛んでゆく。

「よしよし、その調子じゃな」

刹那はつぶやき、鬼神のごとくダガーを投げ続ける。