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第五章 逮捕

「しっかし、上手くいったぜ」
「ええ、お陰で逃げ切ることが出来ました」
「うむ、そうだのう」
 リーゼントに改造学ランのパラ実生シット・ボグは笑いを堪えられなかった。
「ひゃははは。お前ら、中々良い壊しっぷりだったぜ。なんせ、あんなに派手にぶち壊す奴らは他にいねーよ!お前らとなら更にビジネスが上手くいきそうだ。今回もお前らが派手に暴れたお陰で楽に盗むことが出来たんだからよ」
「へー、そうなんだねー」
「あ?」
 シットが振り返ると、隠れ家の入り口に3人の人影が見えた。
「火村、証拠音声はどうかな?」
「ハイ、ばっちりです!」
 火村 加夜(ひむら・かや)はひらひらと手持ちの音声レコーダーを振る。
「物証と証拠写真は?」
「それもばっちりです!」
 火村はカメラを取り出し、パチッとシットの写真を撮る。
「な、何しやがる?」
 シットはカメラを持つ、火村を睨む。
「それじゃ、ヒーローの登場だね」
 ルカルカ・ルー(るかるか・るー)が堂々と前へ出て行く。
「2人ともご苦労様です!」
「あ、何言って――」
 シットが後ろを見ると、既にエクス達の姿は無かった。
 カルキノス・シュトロエンデ(かるきのす・しゅとろえんで)の後ろにエクス達は隠れている。捕まえようにも屈強なカルキノスの前にどうする事も出来ない。
「手前ら、一体……」
「廃棄した小型飛空挺とはいえ、あれだけエクス達が派手に壊せばキミの御眼鏡に叶うと思ったからね。それに刀真達には悪かったけど、敵を欺くには味方からってね。刀真達なら真剣にやってくれるから、信憑性が上がるよね」
「な、始めから」
「始めから予定されてたんだよね。じゃあ、逮捕しちゃうよ♪」
 悪戯っぽくルーは笑う。
「カルキ!」
「金品の為に、まして弱いゴブリンを利用たぁ人族の風上にもおけねぇな。遠慮なく潰させてもらうわ!」
「く、くそ」
「おせぇんだよ」
 カルキノスの『ドラゴンアーツ』はシットを容赦なく打ち抜く。シットの身体は簡単に吹っ飛び、雑巾の様に転がった。生きてはいるが、完璧に気絶していた。
「火村、これ縛っちまおうぜ」
「はい、これロープです」
 火村の手際良く準備されたロープで、グルグルの簀巻きにシットはされた。
「これで一件落着ですね」
「外もそろそろ片付いているんじゃないかな」
 時間を少し遡る。エクス達を囮にして、現場へ到着したルー達だったが此処はゴブリンが警備する隠れ家だった。
「ここは俺達で片付ける。ルートが空いたら、エクス達の元へ向かってくれ」
 エヴァルト・マルトリッツ(えう゛ぁると・まるとりっつ)は山の少し高めの位置に陣取り、ゴブリンに照準を合わせると引き金を引く。ハイパーガントレットにより、高速でリロードを行い容易く次弾を装填する。
「ふん、鳩撃ちだ」
 次を与えない為に、エヴァルトは確実に頭部を破壊していく。
「良し、紫月達は残りの敵を殲滅してくれ。後はばらけて手間だ。俺は犯人の逃走を警戒する」
 エヴァルトは犯人が乗ってきた小型飛空挺を狙える場所へと移動していく。
 「やるぞ、プラチナ」
 紫月 唯斗(しづき・ゆいと)プラチナム・アイゼンシルト(ぷらちなむ・あいぜんしると)を魔鎧化し装備する。
「白獣纏身、バイフーガ、推参!」
 ゴブリンの真っ只中で紫月は名乗りを上げる。
 そして、『陰形の術』で直ぐに姿を消し、『千里走りの術』で超速移動をする。
「神速超過で片付ける」
 ゴブリンとのすれ違い際に、『ブラインドナイブス』で急所確実に刺突する。あるゴブリンの集団は突然仲間が倒れて行くことに、恐怖を覚え基地から逃げ出していく。
「良い動きです。どんどん数を減らしていきましょう」
 プラチナは魔鎧として紫月の動きをフォローし、紫月の神速の動きを更に完璧な物にしていく。
 源 鉄心(みなもと・てっしん)イコナ・ユア・クックブック(いこな・ゆあくっくぶっく)はワイルドペガサスで上空から急襲を仕掛けていた。
  鉄心は魔道銃でゴブリンの手の届かない位置から銃撃を放つ。ゴブリンは上を見上げるばかりで、手を出せなかった。武器を投げつけるゴブリンも居たが、高度が高くとても届かない。
「イコナ。『シューティングスター☆彡』だ」
 イコナは杖を構え、詠唱をする。
「はい! 『シューティングスター☆彡』」
 天空から光弾が落下し、ゴブリンに直撃をする。
「いいぞ。どんどん決めてやれ。犯人を捕まえる為には数は少ないほうが良い」
 エヴァルト達の活躍により、外の戦いもルー達が出る頃には終息を迎えていた。
 「あとは、こいつを引き渡せば終わりだね。みんな、お疲れ様!」
 その後、シットは護送車に乗せられ逮捕された。

 後日、レティーシアから感謝を込めて、クロカス家にて慰労会が開かれたという。

担当マスターより

▼担当マスター

村野憂規

▼マスターコメント

 はじめまして。村野 憂規と申します。ノーマルシナリオ『インフラ整備も楽じゃない!」に参加して頂き、ありがとうございました。

 私にとって初めてのシナリオで、運営チーム殿からこのお話を戴き、力の限りイメージを膨らませて、緊張をしながら書かせて頂きました。
 キャラクターの動きが考えてたイメージと違うな、もっとこんな活躍が出来たんじゃないの?と感じられる事があると思いますが、御容赦下さい。 

 冒険モノを主に書かせて頂ければと考えています。この人ならまた参加しても良いな、と思って頂けたら幸いです。
 皆様、これからも宜しく御願い致します。
 御参加頂き、ありがとうございました。