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リアクション
雅羅と共に、空賊船へと乗り込んだ学生たちも、船内を移動しながら、立ちはだかる空賊と武器を交えていく。
「通らせてもらうわよ!」
細い通路を塞ぐように立つ空賊2人に向かって、瑠兎子が手にしたランスを振るう。
「っ!」
刃先に貫かれぬよう、空賊が1歩下がったところを夢悠が放つ氷のつぶてが襲い、腕から先を凍らせて、動きを鈍らせる。
「雅羅さん、今だ!」
「ええ」
その空賊の手元を狙って雅羅が手にしたバントラインスペシャルから一撃、銃弾を放つ。
手にした短剣を取り落とした空賊の脚を更に、夢悠が凍らせて、動けなくさせると、一行は通路を先へと進んでいった。
「あの角を曲がった先、何か居ます」
通路を進みながら、柚が雅羅たちへと声を掛ける。
「慎重に行かないとね。戦いに慣れた相手なら尚更……」
三月もレビテートの効果でやや宙に浮いた状態で歩を進めた。
「おらぁっ!」
一行が角を曲がるなり、武器を振り上げて来る空賊に向かって、柚の放った電雷が襲う。
「うぐ……っ」
身体を駆け巡る激しい痺れに空賊はその場にうずくまった。
「よくも仲間を……!」
声を上げて、柱の影から出て来た空賊が雅羅に向かって、長剣を振るった。
「っ!」
咄嗟のことで避けることの出来なかった彼女は、袖越しに腕を斬られ、軽いながらも怪我を負ってしまう。
「雅羅ちゃんに怪我させたらだめですよ! 大切なお友達ですから!」
柚が声を上げ、氷のつぶてを空賊に向かって放った。更に、空賊の注意を逸らそうと、三月は通路の先に詰まれた木箱を念力で移動させ、崩す。
「な、何だ……うわっ!?」
空賊の注意がそちらへと向いたところへ、爆炎を放つと、炎に包まれ驚いた空賊は水を求めて逃げていく。
「オレが先頭に立つ。グリム、お前は雅羅と一緒に取りこぼしを潰せ。『無茶』はするなよ、いいな」
急いでいるからか先行しがちの雅羅を見かねて、大助が念を押すように告げて、前に出た。
「分かったわ」
グリムゲーテが頷き、雅羅の隣に立つ。
「そうそう。私がフロント、あなたバックス。得意な獲物で役割分担しましょ?」
やや不服そうな雅羅の様子に、祥子も頷きながら、そう諭した。
更に通路を進んでいくと、飛行船から運んできたのか、樽を抱えた空賊に出くわした。
「よくもまあ、こんなところまで……だが、お前らの反撃もここまでだ!」
空賊は樽を通路の脇に置き、腰に佩いていた太刀を抜く。
斬りかかってくる相手の一撃をレプリカ・ビックディッパーで流しながら、祥子は抜け様に腹部へと一撃入れた。
「な、んのっ!」
踏み止まった空賊が、身を反転させ、祥子の背へと斬りかかる。
「何の備えもなく、敵に背を見せると思って?」
笑む祥子の手元が光る。光源は光精の指輪だ。それから発せられた光の輝きは、空賊に向かって魔法の痛みを与えた。
雅羅と共に乗り込んできた黒崎 竜斗(くろさき・りゅうと)たちの前に立ちはだかるのは、エッツェル・アザトース(えっつぇる・あざとーす)と、彼のパートナーのネームレス・ミスト(ねーむれす・みすと)だ。
「誰が相手でも容赦はせん!!」
ミリーネ・セレスティア(みりーね・せれすてぃあ)が竜斗に纏い、暗赤色の甲冑になる。
「やはり『美緒さん』を取り戻そうと、乗り込んでくる者たちが多いですね……」
ぽつと呟き、エッツェルは奇剣「オールドワン」を振るう。
「くっ!」
咄嗟に、竜斗は甲冑を纏った腕で防ぐけれど、それ以上にエッツェルの一撃は重く、痛みを負う。
「我も……共に……お手伝い……します……よ? ククク……」
ネームレスもまた呟いて、瘴気の大虎を消しかける。大虎は竜斗を襲い、更なる痛みを与える。
ライトブレードと女王のソードブレイカーを手に、竜斗はエッツェル、ネームレスの2人に向けて、剣圧を纏った斬撃を繰り出した。
ネームレスの周りには風が巻き起こり、その一撃の重みはあまり届かない。また、エッツェルは痛覚を鈍らせており、あまり痛みを感じていないように見えた。
「私でもお役に立てるんでしょうか……?」
スキルを駆使する以外に得意な戦法といえば狙撃と答えるであろうユリナ・エメリー(ゆりな・えめりー)は、さすがに広くなく、見通せるようなところのない通路の構造に呟く。
まずはスキルを駆使しようと、相手を眠らせるための技を繰り出した。
けれども、エッツェルたちの抵抗は強く、早々眠りには落ちない。
「悪いことしちゃいけないんだよ!」
告げるリゼルヴィア・アーネスト(りぜるゔぃあ・あーねすと)が、両の手に構えた碧血のカーマインの銃弾を機関銃のようにばら撒いて、エッツェルたちを攻撃する。
ネームレスへの攻撃はそのほとんどが風の防壁に阻まれ、痛覚の鈍っているエッツェルには大きな痛みを与えることが出来ないけれど、少しずつながら痛みを与えていく。
「ああもう! 賊はとっとと帰れ!」
ルクセン・レアム(るくせん・れあむ)が声を上げながら、甲板直前で駆けつけて来た。
飛行船内に押し寄せた空賊たちを片付けてから、雅羅たちを追いかけてきたようだ。
後方からアーミーショットガンを構えると、狙い澄ませて、空賊を撃ち抜き、闘気を削いでいく。
「そこ、退いてもらうよ!」
通路に立ち塞がる空賊の脚をルクセンが放った一撃が貫く。
痛みを受けて脚を押さえながら、通路を転げまわる空賊をよそ目に、雅羅たちは甲板へと足を踏み入れた。
そこへ何処からともなく、ダガーが放たれ、雅羅を狙う。
「危ない!」
寸でのところでシオンが雅羅とダガーとの間に入り、雅刀を振るって叩き落した。
「何処から!?」
雅羅やルクセンが辺りを窺う。
落としたダガーに注目していたシオンは、そのダガーが柱の影へと戻っていくのを確認する。
「そこだ!」
ダガーを追いかけ、シオンが雅刀を振るい、一撃二撃と攻撃を繰り出す。
「っ……気付かれたようじゃのう」
柱の影に現れたのは、辿楼院 刹那(てんろういん・せつな)だ。
シオンからの攻撃を避けるように数歩下がった後、彼女は手近な荷の影に隠れた。
「また!?」
刹那の姿を見失ったシオンたちが辺りを探っていると、再び、ダガーが雅羅を襲う。
彼女は避けきれず、シオンの刀も間に合わない。
ダガーによる一撃は、死角からの攻撃ということもあって、雅羅に大きな痛みを与えた。
「今度はそこよ!」
再び帰っていくダガーを追い、ルクセンがアーミーショットガンを構える。
狙い澄ました一撃が、刹那の腕を貫いた。
「っ!」
痛みに顔を歪めながらも刹那は姿を隠し、ダガーを放つ。
雅羅たちは避けることもあれば、間に合わず痛みを受けながら、ダガーの戻る場所を確認し、刹那へと与える痛みを重ねていった。
「いい加減、観念なさい!」
雅羅の構えたバントラインスペシャルから放たれた一撃が、刹那の脚へと痛みを与える。
「逃がすか!」
更に、シオンが放った目映い閃光で、目が眩む。
隠れようとしていた刹那だが、脚を撃ち抜かれたことにより、歩くこともままならず、立ち眩んだかのように視界が悪く、よろめいて倒れる。
「さて、たっぷりと情報、吐いてもらうよ」
ルクセンが刹那を見下ろしながら、告げた。
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