シャンバラ教導団

リアクション

■□■２■□■　ミルザム誘拐、その知られざる現場

一方、時と場所は変わり、パラミタパビリオン。

非不未予異無亡病　近遠（ひふみよいむなや・このとお）は、
パートナーの
ユーリカ・アスゲージ（ゆーりか・あすげーじ）、
イグナ・スプリント（いぐな・すぷりんと）、
アルティア・シールアム（あるてぃあ・しーるあむ）たちと一緒に、
万博を観に来ていた。

「パラミタ中の技術を集めただけあって、
なかなかに興味深い催しが多く開催されていますね」
「あっ、あれは！」
近遠の手をユーリカが引く。

ミルザム・ツァンダ（みるざむ・つぁんだ）が、今まさに誘拐されようとしており、
それをレポートしている卜部　泪（うらべ・るい）がいるのだった。

「お前たちにはミルザムの居場所のヒントを与えてやろう。
一度しか言わんぞ。よく聞くがいい。
それは――」

神条　和麻（しんじょう・かずま）の犯行声明が犯行声明をする中、
近遠が、「初心者講習終了証」を手に、
泪へと近づいていく。
「その節は、お世話になりました……」
あきらかにそんな場合じゃないので、
泪はレポートに集中しており、近遠に気づかない。

次の瞬間。

「なんで私が追われてるのー！？」

ミルザムを抱えて逃げていく伏見　明子（ふしみ・めいこ）が駆け抜けていき、
仮面の神条　和麻（しんじょう・かずま）が、
近遠をはね飛ばして走っていく。

「むぎゃっ」
「ん？　なんかぶつかったか？　それより、待て！」

和麻は、近遠に激突したのには気づかずに走って行った。

「きゃー！？　近遠ちゃん！？」
「しっかりするのだ！」
「早く治療をいたしましょう！」
ユーリカとイグナとアルティアが駆けより、応急手当てを始める。

アルティアがヒールをかけ、
ユーリカがナーシングする。

「う、うーん」
目を回して気絶している近遠は、救急車で病院に運ばれた。

この事故のせいで、
打撲と打ち身により、
１週間程度の入院をすることになった近遠は、
そのため、万博にあまり参加できなくなったりしてしまったのだが、
それはまた別の話である。

「そういえば、卜部先生、
ずいぶんと必死でしたけれど、
手の込んだアトラクションでしたね」
全身に包帯とサポーターを巻かれた近遠は、病院のベッドでそう述べたのであった。