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リアクション
第十六章:風祭 優斗×亜城 奏×鬼龍 貴仁×
「キメラーメン討伐に参加するとラーメンが貰えるんですか? しかも先払いで? いいでしょう。その討伐に参加しようじゃありませんか!あ、実里みそで」
実里の作るラーメン目当てでキメラーメンの討伐に参加した鬼龍 貴仁(きりゅう・たかひと)は、実里みそのどんぶりを手に舌鼓を打っていた。
「ん? これは……麺は太縮れ麺でスープはこれはベースが魚介系ですね。麺にスープがよく絡みいい感じですが……まだまだ、向上の余地がありそうです」
満足げに食べ終えた貴仁を待っていたかのように、無数の気配が貴仁を取り囲む。
「さて、美味しいものを食べさせていただきましたし働くとしましょうかね……」
貴仁は手を合わせてから、どんぶりと箸を安全な所に置くと、無数の気配――キメラーメンの群れに向き直った。
「まだ食べ足りない気もしますが……」
小さな声で貴仁が呟いたのを合図とするかのように、キメラーメンの群れが麺を放ち、一斉に貴仁へと襲い掛かる。
「わ、私の大好物カレーをおおお! あのドンブリ頭許せない!」
しかし、麺が貴仁を捕らえるよりも早く、響き渡った叫び声とともに全ての麺が切断された。その直後、一人の少女が貴仁とキメラーメンが相対する戦場へと乱入してくる。
乱入してきた少女――亜城 奏(あしろ・かな)はキメラーメンを睨み据えながら武器を構えると、キメラーメンたちは標的を彼女へと変更したのか、無事な麺を彼女に向けて同時に伸ばす。
だが、その麺も標的を捕らえることはなかった。伸びている最中に、どこからか放たれた冷気によって一本残らず凍結させられた麺は、伸びた状態のまま、やがて自重に耐え切れなくなって、ぼきりと折れる。
「僕の麺能力は塩系麺能力『瞬間冷凍保存』。対象食品を一瞬で冷凍保存する能力です」
疑問の念を含む貴仁と奏の視線を感じながら、戦場へと歩いてくる少年――風祭 優斗(かざまつり・ゆうと)は二人へと答える。
そして、優斗は二人の横に並ぶように立つと、再び口を開いた。
「光条兵器の特性――任意に切るものと切らないものをある程度選択できるのを活かし、体内へ吸収された食品へ攻撃、即ち干渉し、冷凍保存を仕掛けます」
二人に語りながら、優斗は光条兵器を構える。
「冷凍保存を行う事で、吸収された食品を保護し且つ吸収されたのは只の氷塊であり食品の旨味を取り込めていない状態にして、食べれば食べるほど巨大化し戦闘力も増していくというキメラーメンの能力をキャンセル――つまりは無効化させ戦闘力を削ぎます」
彼の提案に貴仁と奏は首肯を返すと、彼と同じく武器を構える。三人が共闘の姿勢をとった直後、貴仁が口火を切った。
「えーっと、今のところキメラーメンはカレーの旨みを……って普通にカレーラーメンじゃダメだったのでしょうかね? まぁいいです。『料理』して、いただくとしましょうかね。んで、皆さんにも振舞うとしましょうか。カレーラーメン」
その言葉とともに、三人は動き出した。
そして、数分後、彼ら三人の勝利という形で見事に勝敗は決していた。
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