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リアクション
ドールズマスター/アトゥム
暗雲立ち込めるヘリオポリスの様子がおかしくなる。
これまで抵抗してきたドールズの動きが止まり、彼らは一斉に一箇所に集まり始めた。
「おいおい、何をおっぱじめる気だ――」
フィーニクスのモニターで天空寺 鬼羅(てんくうじ・きら)がその様子を確認する。
ドールズは自ら機体を一斉に分解し、何かを再構築する。いや、このヘリオポリスの象徴たるオベリスクに取り付いて、その形を変えていく。
そしてオベリスクが折れ、中から覗くマザーコンピューターにあらゆる機械が集結し形をなした。
それは巨大なロボット。イコンやバーデュナミスより遥かに大きい巨人だった。
「なな、なんやこれぇー!」
あまりにも巨大な敵の出現にリョーシカ・マト(りょーしか・まと)の口が塞がらない。
「あれが、ドールズマスターか」
と、エヴァルト・マルトリッツ(えう゛ぁると・まるとりっつ)が呟く。
〈あはは、みんなまるでアリみたい! このままオリュンズまで行こうかな? これならドールズを使うまでもなく簡単に『最終兵器』を開放できそう! でもその前に――〉
黒い靄が近場のフィーニクス、ドールズの残骸を取り巻く。
そして、外形をそのままに、ドールズマスターが体に取り込んだ。取り込んだ箇所全てが、武器となる。
「うわー! な、なんだよあれ! ボクあんなのと戦うの嫌なんだけど……」
ロートラウト・エッカート(ろーとらうと・えっかーと)が弱腰に成る。
“すべこべ言わずに倒すわよ!”
と、ジヴァ・アカーシ(じう゛ぁ・あかーし)が叱咤する。
“こいつを何が何でも倒すんだ! 行くぞ、龍心機 ドラゴランダー(りゅうじんき・どらごらんだー)! 龍心合体!”
“ガオオオオオオオオオオオン!”
コア・ハーティオン(こあ・はーてぃおん)がドラゴンダーと合体し、龍心合体ドラゴ・ハーティオンと成る。
“行くぞ! みんな!”
コアの掛け声と共に、全機総攻撃が開始される。
「遠距離砲撃開始するわ!」
イーリャ・アカーシ(いーりゃ・あかーし)はビームアサルトライフルで敵を撃つ。敵は巨体で鈍重なため、簡単に攻撃を当てられる。が、あたった箇所が直ぐに再生してしまう。
「ちょっとなんなのよこれ! イーリャまともに利いてないじゃない!」
〈邪魔ですよ。そこ〉
取り込んだフィーニクスのレーザーライフルがシヴァたちに向く。死角なしの一斉掃射。
「わわわ! これじゃアルヴィトルで近づけないよ!」
とミネシア・スィンセラフィ(みねしあ・すぃんせらふぃ)が慌てる。
「なら武器となる箇所を叩くまでです! 一度壊せば武器までも完全再現なんてできないはハズ!」
シフ・リンクスクロウ(しふ・りんくすくろう)がそう判断し、武装部分を狙っての攻撃を開始する。【サイコビームキャンオン】で武器を撃ちぬくと、その箇所は再生はするものの、次点の攻撃はしなくなった。
“みなはん、敵の武装箇所を狙ってくだはらんかえ!”
綾小路 風花(あやのこうじ・ふうか)が通達する。
“俺らが、建御雷で撹乱する! ”
御剣 紫音(みつるぎ・しおん)が建御雷の機動力を生かし、射線誘導。
「どこを見てやがる俺はここだ!」
“今中将が完成した『ハルパー』を持って向かっておる! こいつがナノマシンで構成されているなら、『ハルパー』で一撃なはずじゃ!”
“それまで持たせればいいんですね! 白”
“ならフルスロットルで行くわよ! 真人”
アストレアがトリニティ・システムを解放する。ナパームランチャーで広範囲爆撃し、装甲を削る。
「俺達も行くぞロートラウト!」
「翔龍のサポート大変なんだけどなぁ!」
ソニックブラスターとミサイルによる波状攻撃を開始する。接近戦に持ち込みたいところだが、まずは敵の武装を剥がすのが先決だとエヴァルトは判断した。
「機械なら、雷は有効なはずだ! ヴェルリア!」
「BMI起動します!」
柊 真司(ひいらぎ・しんじ)、ヴェルリア・アルカトル(う゛ぇるりあ・あるかとる)はバイヴ・カハのBMIを高めのシンクロ率で発動させる。《ミラージュ》を発動させて、攻撃を回避し遊撃する。
〈ちょこまかと! あんたたちも取り込んであげるわ!〉
黒い靄が、襲いかかる。