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リアクション
4
「なんか、随分騒ぎが大きくなってるわ」
「本物のロビン・フッドが現れたんでしょうね」
「あー、出遅れたなあ」
美術館の敷地は庭園の外周に森とも呼べるような木立が広がっているせいで、いやに広大だ。
ロビン・フッドの行動ルートを全て把握することもできずセレンフィリティとセレアナの二人は辟易していた。
「……ん、ちょっと待って」
セレンがHCを眺めて声を上げた。
「誰か近付いてる。二人」
「これがラストチャンスよ。これがロビン・フッドじゃないならもう諦めるしか――」
セレアナが目を細めて顔を上げる。
と、事実、二人組の姿が確認できた。
こんなに近付いていたのに気が付かなかったなんて――呟きながら、その姿を観察する。
猫耳――獣人族と思しき容貌の少女は、
「……額縁」
を持っていた。
「ビンゴ」
セレンがニヤリと笑ってロビン・フッドに相対する。
「怪我、してるの?」
少女の片方はもう一人の肩に寄りかかり、脚を引きずっている。
「ああ、何もあなた達を捕まえようとは思っていないから。事情を聞かせてもらえるなら、傷の手当て位なら手伝うわよ」
負傷している状態で遭遇するとは思いもしなかったから、どこまでロビン・フッドに加担すればいいのか、その判断が鈍る。
なんにせよ――こうなれば話を聞きだすことに集中した方がいいだろう。
セレンが改めて口を開く。
「その額縁を狙う理由を話してくれれば、見逃してあげるのも悪くないかもしれない」
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