イルミンスール魔法学校へ

シャンバラ教導団

校長室

百合園女学院へ

ハードコアアンダーグラウンド

リアクション公開中!

ハードコアアンダーグラウンド
ハードコアアンダーグラウンド ハードコアアンダーグラウンド

リアクション



第六章 後日談

――興行が終わり、数週間が経過した。

「……ここに来るのも久々ですね」
 泪は、プロレスリングHCの道場へと足を運んでいた。
 今日の目的は取材。入院していた選手達が漸く退院できた為である。
「失礼しまーす」
 門をくぐると、出迎えたのはスーツ姿の男性。
「ああ、卜部さんですか? お待ちしていました」
 泪を見ると、男性は微笑みながら名刺を差し出す。
「貴方が……社長さんですか?」
「ええ、今回は色々とご迷惑をおかけしました」
 そう言って男性――社長が苦笑して頭を下げる。
「いえいえ、お役に立てたのならよかったです」
「本当にありがとうございました……今日は宜しくお願いします。うちは翼以外にも選手がいる、って事を見ていってください」
 そう言われ、道場を見渡す。前回と違い、男女入り乱れ、選手達がトレーニングに励む光景がそこにあった。
「……あら、そう言えば翼さんは?」
 ふと、泪は翼の姿が見えないことに気付いた。
「まさか……あの怪我が元で入院とか?」
「いえ、そんなことありませんよ? さっきまでいたんだけどな……」
「あ、泪さん!」
 その時、泪に翼が駆け寄ってきた。
「あ、翼さん……その格好は?」
 翼がしていた格好は、ジャージ――ではなく割烹着を着ていた。
「はい、泪さんが来て下さる、という話でしたし、みんなの退院祝いもかねてご飯を作ってました!」
「そう言えばもうお昼ですね」

『な、なにぃぃぃぃぃ!?』

 一瞬にして、泪と翼を除いた全員の表情が強張る。
「あ、大丈夫ですって。みんなの分もちゃーんとありますよー? 今持ってきますねー!」
 そう言うと、翼は何処か浮足立った様子で奥へと引っ込んでいく。
 それとは対照的に、選手たちの様子がおかしい。屈強なアスリート達は、今顔を真っ青にしながらガタガタと震えている。
「……あの、どうしたんですか?」
 ガチガチと歯の根が合わなくなっている社長に、泪が問いかける。
「……我々が食中毒になった原因、何だと思いますか?」
「……えっと、まさか……」
 社長が頷いた。直後、嬉々とした表情で翼が鍋を持って表れる。
「皆さんの為に頑張って作りました!」

 そう言って、翼がテーブルの上に鍋を置くと、蓋を取った。

――そこにあったのは、料理と呼んではいけない、名状しがたい物が存在していた。
――色、形、臭い……それを見ただけで、危険だという事が理解できてしまう。
――何やら呻き声のような物まで聞こえるし、このまま鍋から正体不明の生物が出てきたとしても誰も驚くことは無いだろう。むしろ納得する。

 泪の頬に冷たい汗が伝い、思わず後ずさる。数々の戦場を超えてきた本能が『あれは危険だ』と囁いているのだ。

「さ、どうぞ召し上がれ!」
 そんなこちらの気持ちも露知らず、翼は笑顔で器に『それ』を盛り、勧めてくる。
「……いくぞ、お前ら」
『おう』
 社長に続き、所属選手たちがテーブルに足を進めた。。
「あ、あの!?」
 止めようとする泪を、社長が手で制す。
「止めないでください……俺達は……どんな時でも、目の前の戦いから逃げちゃいけないんです……!」
 その表情は、覚悟を決めた人間の顔であった。

「いくぞてめぇら! 翼の気持ち、真正面から受け止めてやらぁ!」
『おうよ!』

 その言葉を合図に、選手たちが料理(と言ってはいけない物)を口に運び、

『ごふぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!』

一斉に噴き出して、崩れ落ちた。

「あ、あれ? どうしたんですか皆――って、白目剥いてる!? え、何で? 何で!? 今日は塩と砂糖間違えてないんですよ!?
 慌てふためいて皆を揺する翼。多分問題はそこじゃない。
「……次の興行、大丈夫なんでしょうか……あ、病院ですか? 救急車を……はい、複数人いまして……」
 救急車を呼びながら、この団体の未来を憂う泪であった。

担当マスターより

▼担当マスター

高久 高久

▼マスターコメント

ここまでお付き合いいただき誠にありがとうございました。今回担当させていただきました高久高久です。
御参加頂いた皆様、誠にありがとうございました。そしてお待たせして申し訳ございません。
前回過去最大の遅延を起こしておきながら、今回その記録を大幅に上回る遅延を起こしてしまいました。
プロレスシナリオをやりたいなー、と以前ちらっと呟いた時から待っていた方も居たというのに本当に申し訳ございませんでした。

今回はプロレスをテーマにしたシナリオでした。
皆様ガチのアクションばかりで見ていて『早まったか……』と思ったのはここだけの秘密です。
いえ、プロレス好きの方が多いのは喜ばしい限りです、本当に。
皆様のガチなアクションを全て使いたかったのですが、私の力では遠く及ばず色々とカットさせて頂いたり使えなかった技も多くあります。実現できず申し訳ございません。
詳しい事は後程マスターページで書かせていただきます。

毎回アクションを読ませていただき、楽しく読ませていただいてます。
毎回勉強させられる事も多く、自らの未熟さを痛感させられています。
特に今回は反省することだらけになってしまいました。何もかもをお待たせして本当に申し訳ございません。
次回作に関しては未定です。続編? どうなんでしょうか。この団体存続してないかもしれません。

それではまた次の機会、皆様と御一緒できる事を楽しみにしております。