リアクション
エピローグ2
「紅月……癒すべき一番の人は、貴方ですね」
すべての処置を終え、後片付けも終わった救護スペース。
誰もいなくなった救護スペースで一人泣いていた紅月をレオンは抱きしめた。
「うぅ……うぇぇ……」
惨状に心を痛め、一人嗚咽する紅月。
何も言わず、ただ優しく抱きしめるレオンの体温を感じ、紅月は嗚咽混じりの言葉を口にする。
「いっぱい……いっぱい……人が……人が……」
予想を遥かに上回る惨状に傷つき、打ちのめされた紅月の発する言葉は、もはや意味の通る言葉としての体を成していない。
それでも構わずレオンはただ紅月の言葉にならない言葉に頷き続けるだけだ。
ずっと嗚咽を続け、悲しみに沈んでいく紅月を励ますように、レオンは小さな声でそっと囁く。
「大丈夫ですよ――紅月。ずっと私がそばにいますから」
子供のように泣きじゃくる紅月の耳元でそう囁いたレオンは、右手で紅月の髪をそっと撫で、背中を抱きしめている左手で優しく肩を叩き、いつまでも紅月を励ましながら、彼のそばに寄り添い続けるのだった。