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リアクション

 
 

材料集め

 
 
「では、海岸で待っている。食いっぱぐれないうちに到着しろよ」
 ジェイス・銀霞さんを始めとするガイドさんたちが、神戸紗千さんの痛飛空艇で、先に海岸へと出発していきました。
 さあ、川下りの開始です。
「よし、いい物を作るよぉ。丸太を縛る蔓は、マティエに任せたよぉ」
「任せてください」
 マティエ・エニュール(まてぃえ・えにゅーる)さんが、教導団男子公式水着姿の曖浜 瑠樹(あいはま・りゅうき)くんに元気よく答えました。パーカーを着たマティエ・エニュールさんの着ぐるみの下はせくすぃな教導団女子公式水着姿なのですが、着ぐるみの上からでは見ることはできません。残念。
 どうやら、二人は丸太の筏を作るようです。耐久力重視と言うことでしょうか。
「さて、このへんがいいですかねえ」
 森の中をさ迷って手頃な立木を見つけると、曖浜瑠樹くんがすっと身構えました。どうやら、我は射す光の閃刃を使うようです。
 その手から、三日月型の光のカッターがいくつも放たれました。
 そう、いくつもです。
 こういうときは範囲攻撃を使ってはいけません。ピンポイントを狙いにくいので、大変なことになります。結果、立木は短い輪切りになってしまいました。森の木々が、ちょっと怯えるようにざわざわと梢をゆらします。
「こ、これは……。どうしましよう……」
 困ったと思う曖浜瑠樹くんでした。
 
    ★    ★    ★
 
 同様に、小鳥遊 美羽(たかなし・みわ)さんも困っていました。
うそでしょ、ごめん……
「微塵切りだね」
 我は射す光の閃刃で輪切りになった丸太を見下ろして、コハク・ソーロッド(こはく・そーろっど)くんが言いました。二人とも、男女それぞれの蒼空学園公式水着を着ています。
 なかなか、筏の材料の丸太集めも難しいようです。
 
    ★    ★    ★
 
 さて、そのころ、丸太を縛る蔓草を集めに行ったマティエ・エニュールさんの方も苦戦していました。こちらも我は射す光の閃刃を使って蔓草を根元から切ろうとしていたのですが、範囲攻撃ではピンポイントで切りたいところを狙えません。立木同様、蔓草も絡んでいる立木諸共微塵切りでした。
「どうしましょう。ひとまず、りゅーきの所に戻るしかないですね」
 方法を相談すべく、マティエ・エニュールさんは曖浜瑠樹くんの所へと戻り始めました。
 
    ★    ★    ★
 
「おっ、いい物を持っているではないか。そのお弁当の笹を、分けてはくれぬか?」
 水竿に使う竹を探していた白いスクール水着姿のフォン・ユンツト著 『無銘祭祀書』(ゆんつとちょ・むめいさいししょ)さんが、竹をかかえた雪国 ベア(ゆきぐに・べあ)くんに言いました。
「ちょっと待て、俺様はパンダじゃないぞ!」
 かかえている竹は関係ないと、雪国ベアくんが言いました。
「面白い、その挑戦受けようぞ」
「ええい、時間がもったいないぜ、さっさと持ってけ」
 ここでもめていては、舟を作る時間がなくなってしまいます。面倒だとばかりに、雪国ベアくんが、持っていた竹を一本、フォン・ユンツト著『無銘祭祀書』さんに投げ渡しました。
「すまんな。クトゥグァ、イタクァ、戻るぞ」
 使い魔の猫たちに声をかけると、フォン・ユンツト著『無銘祭祀書』さんが嬉々として去って行きました。
「まったく。ええっと、御主人はどこだ?」
 さっさと川辺に戻ろうと、雪国ベアくんがソア・ウェンボリス(そあ・うぇんぼりす)さんを探しました。このあたりで落ち合う約束だったのですが……。おや、近くで、呪文を詠唱する声が聞こえます。
炎よ、彼の者をつつみ込め!
 木材を集めようと森に分け入ったソア・ウェンボリスさんが、火術で木の根元だけを燃やそうとしました。ところが、細めの木はあっという間に火が燃え広がって、全体を炎がつつみました。このままでは消し炭です。
えっと……なんかえらいことになってますぅ!? 氷の嵐よ、吹きすさべ!
 あわや森林火災になると、スクール水着の上にパーカーを羽織ったソア・ウェンボリスさんが、今度はブリザードを放ちました。なんとか、火が消えますが、立木も凍ってかちんこちんです。
「何をやってるんだよ、御主人」
 駆けつけた雪国ベアくんがちょっと呆れます。彼も、とっても個性的な水着を着ていますが、ゆる族なので着ぐるみの上からでは見えません。残念?
「こういうことは、俺様に任せておけって」
 竹の束をかかえていた雪国ベアくんが、そのうちの一本を手に持ちました。
おらー!ぶっ飛びやがれ!
 持っていた竹を剣に見立てて、羅刹の武術で立木を薙ぎ倒します。
「凄いです、ベア」
「いやあ、それほどでも」
 ソア・ウェンボリスさんにパチパチと拍手されて、調子に乗った雪国ベアくんが、照れ隠しするように次々と立木をぶった切っていきます。環境破壊です。
「も、もう充分です。早く持っていきましょう」
「おう」
 ソア・ウェンボリスさんに止められて、雪国ベアくんが切り倒した立木の枝を落とすと、必要な分を担いで持っていきました。
 
    ★    ★    ★
 
 他の場所では、順調に筏の材料は集められていったようです。
「やっぱり、水に濡れる船体は紙じゃなくて木だよね。ほあったたたたたた……!!」
 同じく羅刹の武術を使って、オレンジチェックのビキニ姿芦原 郁乃(あはら・いくの)さんが、大きな木を一気に倒します。
「よおし、これを使ってカヌーを作るよー」
 人が乗れるほどの太さの木と、細いいくつかの木を集めると、芦原郁乃さんはそれを持っていきました。
 
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「ふむ、このへんが手頃かな」
 筏の材料となる手頃な立木を見つけて、ジュレール・リーヴェンディ(じゅれーる・りーべんでぃ)さんが身構えました。イルミンスール魔法学校女子公式水着を着ていて、ちょっとひらひらが気になるようです。でも、イコンに乗るときのパイロットスーツよりはずっとましだと思っています。
「はっ!」
 さっと振った手から真空波を放つと、ジュレール・リーヴェンディさんが立木を根元から切り倒しました。休むことなく、真空波で枝を切り落としていきます。
「さて、急いで運ぶとするか」
 小柄な身体で、できあがった丸太をかかえると、ジュレール・リーヴェンディさんは急ぎました。