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「――と、いうわけなんだよ」

 やもりでは、もっくんがその場にいた契約者や騒ぎを聞きつけて集まってきた契約者たちに事情を説明し終えたところだった。
 そんなもっくんは、アリエティのために頭をさげて、皆に協力を願い出る。

「なるほどね、話はわかったわ」

 話を聞き終えた墓守姫がそういった。
 それを聞いて、アリエティは顔を輝かせる。

「おおっ、それでは助けてくれるのじゃな!」
「仕方ないから協力してあげてもいいわ――でもその前に、正座でそこに直りなさい!」
 厳しい顔つきでそう言い放つ墓守姫の迫力に、アリエティはすくみ上がる。

「どうしたの? 早く座りなさい!」
「わっ、わかったのじゃ!」

 アリエティは目に涙を浮かべ、墓守姫の前に正座する。
 そんな彼女を上から厳しい目つきで見つめる墓守姫は、おもむろに口を開いた。

「いいこと。幽霊も怨霊も、元は生きていた人間よ。死してなお忘れられない未練、怒り、哀しみ、恐怖、絶望……そういった負の感情に囚われ、今なお彷徨い続けている。その苦しみがどれ程のものか、あなたには分かるかしら?」
「……」
「やっぱりわからないようね」
「ごっ、ごめんなさいなのじゃ」
「反省しているんなら、言葉だけじゃなくて、態度で示さないとな」

 と、集まっていた人の中からそういったのは大岡 永谷(おおおか・とと)だ。
 彼は実家が神社なので、死んだ人は大切に扱うべきという心を持っている。
 そんな永谷は、怨霊である権兵衛に対しても二礼二拍手一礼というきちんとした作法で挨拶をした。

「あっ、これはご丁寧にどうも」

 それを受けて権兵衛はぺこりと頭をさげる。

「まったく、考えもなしに術を使うからこうなるのじゃ。同じ魔女として恥ずかしい」

 と、今度はレキと共にジュースを買いに来ていたミアがそういった。
 そんな彼女の横にいたレキは、横目でミアを見つめて口を尖らせる。

「……ミアだって、いつもは同じようなことしてるくせに」
「なんじゃレキ? 何か言ったか?」
「別にぃ〜」

 レキはそういうと、買ってもらったジュースのフタを開けて口をつけた。
 小さなため息をついた墓守姫は、再びアリエティを見据えるといった。

「ともかく、あなたは遊び半分でミスター七市を呼んだのよ。これはもう冒涜以外の何物でもないわ。しっかり反省して、彼に謝罪しなさい」
「はぅぅ……」

 アリエティはみんなにお説教をされてしょんぼりと肩を落とす。

「まあまあ、皆さん。あまり叱らないであげてください」

 と、なぜかそこに助け舟を出したのは権兵衛だった。

「呼び出されてホイホイ現れちゃう私もいけないわけですし……それに、ほら、報いというかそういうのは受けてますし、呪い殺されるまではせめて穏便に」
「――おい、権兵衛さんよ。それぜんぜんフォローになってないって」

 もっくんが呆れながらそういう。
 と、権兵衛の前にやってきたアリエティがぺこりと頭をさげた。

「権兵衛、ワタシの勝手な都合で呼び出してすまなかったのじゃ」
「アリエティさん」
「だから、だから――呪い殺すのはやめてくれなのじゃぁ〜!」
「いやー、出来ればそうしてあげたいんですけどねぇ」
「うぅ、権兵衛よ! なにか方法はないのかぁッ!?」
「う〜ん、そうですねぇ」

 腕組みして考える権兵衛は、自分が成仏できればこの呪いもなくなるんじゃないだろうかということを契約者たちに告げる。

「なるほどねぃ。でもさ、他にもいい方法があると思うんだけど、聞く?」

 と、テーブル席にパートナーのアリス・ドロワーズ(ありす・どろわーず)と座り、イカ焼きや焼きそばをはむはむと食べながら話を聞いていたアキラ・セイルーン(あきら・せいるーん)がそういった。

「それはどんな方法でしょうか?」

 権兵衛が目を丸くしてそう聞いた。
 するとアキラは、手にしていたイカ焼きに齧りつくのを止めてしゃべり始める。

「あのさ、よくわかんないんだけど。遊び半分なふざけた理由じゃなくて、呼び出した理由がちゃんとあれば呪いは回避できるんじゃないの?」
「はあ、それはつまりどういうことでしょう?」
「つまり、パートナー契約をするために呼び出しましたって理由なら正当な理由になるんじゃないかってこと」
「ほぅ、確かに。それはいままで考えたこともありませんでしたね。なにせだいたいの方は、怖がって強制的に除霊しようとしてきましたからね、アハハッ」
「――笑い事じゃないだろ」

 もっくんはぽつりとつぶやいた。