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リアクション
第1章 嗜好 ―酒―
「飲める飲める〜酒がのめるよ〜♪ ぬ?」
嬉しそうにはしゃぐ廿日 千結(はつか・ちゆ)だったが、まったくお酒を飲まない無限 大吾(むげん・だいご)に気がつくと怪訝そうに見た。
「飲まないの〜?」
「あ、ああ。俺下戸だから」
「飲まないの〜?」
唐突にワイン風呂から東條 カガチ(とうじょう・かがち)が同じように頭だけをだして言った。
「俺、下戸――」
繰り返し断ろうとすると、大吾の天地はひっくり返った。
そして、大吾はワインの風呂の中に頭から浸かっていた。
「これでよしっと」
大吾を突き落とさせたフラワシを収めながら、東條 葵(とうじょう・あおい)はすぐ近くのテーブルを見た。
瀬島 壮太(せじま・そうた)がホットワインというものをいろんな人に振る舞っているところだった。
「ほお、こいつぁうめえ。何か混ぜたか?」
「えーっと、ワインとシナモン、蜜柑の皮に砂糖を混ぜてみたんだぜ」
原田 左之助(はらだ・さのすけ)が壮太のホットワインを飲みながら絶賛し壮太がそれに解説を付け加えていた。
ワイン風呂が見えていたはずの壮太の視界は突然天井に変わった。
いや、正しくは宙を浮いていた。
ざぶーんっ。
浮いていたと思えば綺麗に斜め45度、頭からワイン風呂へと突っ込んでいた。。
「くくっ、綺麗に風呂につっこんでいったな」
葵が笑いながらその姿に満足をしていた。
すべては葵と葵のフラワシによる仕業だった。
「は〜っはっは〜、冷酒もいいもんだ!!」
と笑っていたのは、先ほど壮太と同じようにワイン風呂にダイブした大吾だ。
大吾はすでにワイン風呂のお酒を十二分に飲んでしまっていた。
「景気が良いね〜ほらほら、まだまだウィスキーもあるよ〜!」
いつの間にか握られた大吾のグラスに休む暇無しと千結がウィスキーを注ぐ。
ワイン風呂に浮いた壮太を見つけるなり、近づくと頬をビンタしてみた。
おぼれた壮太の意識はなかなか戻ってこなかった。
「流石にやばいんじゃないんかな〜?」
「僕に任せるんだ」
と、現れたのは葵だった。葵のフラワシが壮太を抱えると……
「おお〜!? サブミッション・ホールド!!」
しまいにはウィスキーボトルをラッパ飲みしていた大吾は壮太の姿をみて感動していた。
「ぐぐっ、ぎ、ぎぶ……ひゃひゃっ」
「お?」
壮太はどうにかフラワシの腕をふりほどくと、床に転がった。
「ひゃっはっはー、鬼のほうの東條めやってくれるぜ! さあ、あいつはどこいったぜ〜!!」
ふらふらしながらもたちあがり葵の姿を探す。
その姿を見て、つい叫ぶ。
「アルゼンチン・バックブリーカー!!」
葵は椎名 真(しいな・まこと)の肩に抱え上げられ、そのままワイン風呂へ音を立てて沈められた。
「おおつまみなんてどおーですー?」
先ほどまで葵を抱え上げて多のが嘘かのように笑顔で、真はさきいかを取り出した。
その足取りはふらふらだった。
「おおーもらうのだよ〜。どうだお兄さんも一杯」
千結は23度の日本酒をなみなみにそそいだグラスを、真に手渡した。
大吾と葵にもお酒を飲ませようとおもった千結だったが、酔いつぶれたのかすでに二人とも床に伏せていた。
「ふにゃぁああっ〜まことく〜ん、そのつまみちょだい」
お風呂につかりながら、佐々良 縁(ささら・よすが)が声を上げる。
「はい」
持っていたつまみをすべて縁に投げ渡した。
「あ〜りがとぉ〜。ほらほら、真くんものんで〜」
へべれけになりながらも縁は真にお酒を促す。
真は次々と飲んでいく。
「わーはっはっはー、飲ぉーんでるなぁ〜!」
そういって、真と縁の背後に壮太が笑いながら立ち上がった。
と、同時に真の背中を掴むと、一緒にワイン風呂へと突っ込んでいった。
「にゃあああ、ふたりでランデブ〜?」
違います。
真はふらふらになりながらもワイン風呂で体勢を立て直すと笑った。
「は〜はっはっはっは!! ワインだワインをどんどんを持ってこい」
「ひ〜っく、おーいおい、真の奴もうかなりできあがってんじゃねえか」
ウイスキー瓶を片手にワイン風呂の端っこでゆっくりとお酒を飲んでいた。
「お〜い、まことーその辺でやめといたほうがいいぜ!」
「おー、まだのめるんだよー」
千結と縁達に進められ、ワイン、ウイスキー、日本酒をどんどん飲んでいく。
「ふにゃ? そういえばせじまんは〜?」
「さっきワイン風呂にダイブした人なら、自滅したみたいだよ〜♪」
縁に千結が床に転がった壮太を指さしながら答えた。
すでに壮太は熟睡に入っているようだった。
「ふにゃあ〜お酒いっしょにのみょーとおもってたのに〜」
「ははは〜瀬島は瀬島だねぇ〜」
「ふぁ、かがっちゃん!? ずっと、お風呂にもぐってたの?」
カガチは頭だけをお風呂から出して笑っていた。
「いやあ〜みんななんだか楽しそうだったからね〜ははは〜」
可愛らしく笑いながら、カガチは再びお風呂を泳いで離れていった。
「って、あにゃ?」
突然、周りが静かになったことに縁は気がついた。
周りを見渡すと、真も床に転がってた。
「ふにゃあ、みんなお酒よわすぎるんだよーふにゃぁあああっ」
突然襲いかかる眠気に縁は腕を空に伸ばした。
「よーっこいしょ。ふにゃあよい枕だにゃ〜」
縁は横たわる壮太の膝に頭を乗せるとそのまま眠りこけてしまった。
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