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【ぷりかる】蘇るシボラ英雄伝説

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【ぷりかる】蘇るシボラ英雄伝説

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第一章 村の探索

「イコン戦となりゃオレの出番だぜ。別行動は寂しいけど……シェヘラザード、また会おうぜ?」
「ええ、シリウスも気をつけて。敵はシボラ最強の悪竜よ。無茶して死んだりしたら呪うわよ?」
「……そりゃ怖ぇな」

 シリウス・バイナリスタ(しりうす・ばいなりすた)は、シェヘラザードとそう言って笑いあう。
 シェヘラザード・ラクシー。
 今は幼馴染であり、次代のドニアザードであるドニアザード・アズラーンの身体を借りている少女である。

「お前達も、悪いわね。そのつもりだったとはいえ、予想よりも大きい問題に巻き込んでしまったわ」
「蘇った悪竜に、それを使役する狂った大英雄……ですか。放って置けば、後々……大変な事になるでしょうね」

 非不未予異無亡病 近遠(ひふみよいむなや・このとお)は、そう呟く。
 確かに、大きな問題だが……放っておけば、それ以上に大きくなる問題だ。
 もはや、これはシボラだけに留まる話では無くなってきているのだ。

「ったく、また面倒な事になってやがるな」

 紫月 唯斗(しづき・ゆいと)もまた、そう言って溜息をつく。
 女王器に、イコン数機級と想定される戦力を持つスケルトンドラゴン。
 世界的に見ても一つの勢力と成りつつあるそれらが狂っているとなれば、疑いようも無く世界の危機だ。
 此処で止めなければ混乱は拡大し、それに乗ずる何かがあれば、文字通りの世界の危機が訪れる可能性すら秘めている。
 文字通りに面倒な状況ではあるが、此処で止めなければならないのだ。

「まぁいい。ほら、さっさと行きな、あの骨はこっちで何とかするから早く終わらせて来い」
「こういう時、何もできないのが悔やまれますわ……」

 唯斗の言葉に、リーブラ・オルタナティヴ(りーぶら・おるたなてぃぶ)はそう呟く。
 そう、此処にいるメンバーは、イコンを使って上空のフェイターンを足止めする役をかってでた者達だ。
 すでにシリウス達のイコンは出撃準備を整えているが、そのイコン戦では無力であるが故のリーブラの呟き。

「後をサビクさんに任せて、英雄の墓の前で待たせてもらいますわ。もし中や村から何か連絡が入ればシリウス達に伝える伝令役ということで」

 だが、それでも、と。
 リーブラはシェヘラザードに1つの質問を投げかける。

「それと……この周辺の地図はありませんか? シリウス達のことですから……もしもの時、安全にフェイターンやイコンを落とせる場所がないか、調べておきたいのです」
「あるわ。この辺りの家なら、何処にでもあるものよ」

 そうシェヘラザードが答える横で、シリウスはサビク・オルタナティヴ(さびく・おるたなてぃぶ)との通信を完了する。

「それじゃ、いってくる。シェヘラザード……百合園でまた会おうぜ? 絶対だぞ」
「ええ、約束よシリウス。ニンジャもロン毛も、頼んだわよ」
「……唯斗だ。覚えとけ」
「非不未予異無亡病 近遠です。それでは、そちらの事は頼みました」

「唯斗、挨拶は済んだか? ならば、征こう。あちらもそろそろ待ちきれんようだ」
「こっちの準備も出来ているのですわ!」

 黒い武者のような姿の機体……魂剛から姿を見せたのは、エクス・シュペルティア(えくす・しゅぺるてぃあ)だ。
 その隣に佇むイコン、シュヴェルト13から顔を出すのはユーリカ・アスゲージ(ゆーりか・あすげーじ)
 エクスの言葉に全員が空を見上げると、そこには金切り声にも似た咆哮をあげるフェイターンの姿があった。

「ああ、今行く……さあ、出撃だ」

 唯斗が、そう言ってイコンへと向かって進み出る。
 伝説の悪竜、フェイターンのアンデッド……死骨竜フェイターン。
 それに挑むのは、三機のイコン。

 白を基調とした美しいイコン、シュヴェルト13。
 それを駆るはシリウスとサビク。

 黒い武者のような姿のイコン、魂剛。
 それを駆るは唯斗とエクス。

 無骨なシルエットを持つイコン、E.L.A.E.N.A.I. 。
 それを駆るは近遠、ユーリカ、イグナ・スプリント(いぐな・すぷりんと)アルティア・シールアム(あるてぃあ・しーるあむ)

 三機のイコンは空へと舞い上がり、悪竜の元へと向かっていく。

「……そうね。決着をつけなきゃ。その為に、あたしは戻ってきたんだから」

 シェヘラザードは、そう言って呟く。

「ここはお願いね、リーブラ」
「ええ、お気をつけて」

 そう言って、ドニアザードは地上で戦う仲間達の下へと向かっていく。
 そう、全ては此処で始まり……そして、此処で終わるのだ。

「……こいつは驚いた。まさかあれ程の骨龍を呼び出すとはな」

 そんなシェヘラザード達からは気付かれない位置で、柊 恭也(ひいらぎ・きょうや)は呟く。
 見上げているのは死骨竜フェイターン。

「最初からドニアザードに素質があったのか、水晶骨格が凄いのか。まぁ、いい。後で調べれば分かるさ」

 そう言って、恭也は静かにその場を立ち去る。
 この場に居ても、長たるドニアザードには会えない。
 向かうべきは……地下。大英雄の墓だ。