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【メルメルがんばる!】老夫婦の小さな店を守ろう!

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【メルメルがんばる!】老夫婦の小さな店を守ろう!

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「ふふふ!出来たあ!」
 ビキニ姿のセレンフィリティ・シャーレット(せれんふぃりてぃ・しゃーれっと)はツインテールの先が汗にまみれた白い肌に張り付いたのを気にも留めず、パートナーのセレアナ・ミアキス(せれあな・みあきす)にピースサインを送っている。
「私たちバリケードの強化を申し出たのよね?」
「そうよぉ!薄々のバリケードじゃ破られちゃうでしょ?……ほら!そこも薄い!」
 ピースサインの矛先をバリケードに向ける。
「うん。だから私、こうしてせっせと土嚢運びを繰り返してるんだけど」
 セレアナのレオタードはもはや泥だらけである。
「私が、肉体労働こなしてる隙にセレンはなにしてたわけ?」
「よくぞ聞いてくれたわ!もしも、もしもよ。強化したこのバリケードが破られるような事があったら、ピンチでしょ。だからあたしは考えたの。バリケードの周囲及びバリケードそのものにトラップを仕掛けるようって。具体的な物として、バリケードの周囲には心理効果を 狙った地雷を設置。その他に落とし穴などを設置して敵の接近を退ける。それでも罠を突破してバリケードに張り付く奴らも現れるだろうから、バリケードには表面に電流を流して取り付けなくし、また、別な場所には胡椒や唐辛子粉などを詰めた風船爆弾仕掛け、 必要に応じてこれを破裂させて眼つぶしする……どう?」
 意気揚々と語り続けるセレンフィリティの瞳は爛々と輝いていた。
「うん。素晴らしい構想だと思う……でも」
「でね!でね!これをぜーんぶ一人で成し遂げちゃったわけよ!」
 セレナの目には先ほどの念入りに仕組まれたトラップの数々を一目で理解することが出来た。
「出来てるよね」
「完成!」
 トリプルピースを掲げ満面の笑みである。
「1/20のサイズで……」
 セレナが、ぼそりと呟いた。一目で理解出来たのは、セレンフィリティの作成したトラップが、1/20のジオラマサイズだったからである。
「馬鹿かあああああああ!」
 セレナは咆哮する。
「あんた、トラップ作りに夢中になった挙句、肝心なサイズの事を忘れてんのよ!アイディアが洪水のように押し寄せてそれを全部形にしちゃったのはある意味すごいけど、こんな小さな箱庭に誰が迷い込むか!ある意味で!たった一つの意味で!このアホんだらああああ!」
 そう、吠え終えると、肩でゼーゼーと息をしながら、セレンフィリティを睨みつける。
「泣くの?泣くの?」
 セレンフィリティを見上げるように腰をおろす。
「さっき、小さいサイズの奴を見つけたから、これで実験を……」
 セレンティリティの手には小さな生物が握られている。首根っこを掴まれ、のーのー。と鳴いているのはハムスターゆる族のキャロ・スウェット(きゃろ・すうぇっと)である。
「ほれ。あたしのトラップを見事回避できるかしら?」
 ジオラマの中にキャロを放り込むセレンフィリティ。
「鬼か!」
 セレナはすぐさまキャロを抱え上げる。
「もう一つあるもん!」
 セレンフィアはビキニパンツから、にゃーにゃーと鳴くちび あさにゃん(ちび・あさにゃん)を取り出した。
「何処に入れてた?!」
「にゃー!にゃー!」
ちびあさにゃんは、目を回している。
「ほうれ」
 ちびあさにゃんを、ジオラマに放り込むセレンフィア。
「あんたが、蛮族だよ!」
 セレナはキャロを左わきき抱えたまま、ちびあさにゃんを抱き上げる。
「失礼ね。あたしは迷子になっていたこの子たちが淋しくないように、一緒に遊んであげようと」
「遊び方が過激すぎるわ!……セレンもしかして、お人形さんごっことかしたこと……ない?」
「あたしが、お人形さんみたいだったからね」
 ツインテールをなびかせて、ポーズを決めるセレンフィリティ。意識を取り戻したちびあさにゃんが、セレンフィリティをマジマジと見つめている。
「もう大丈夫よ。だいじょうぶ。彼女は蛮族ではないから」
 と、セレナが説明し終える前に
「にゃー!」
 とポイポイカプセルをふりかぶって、セレンフィリティの顔面に投げつけた。人形だからってなめるな!この蛮族が!という怒りの気持ちのこもりまくったカプセルはツインテールの少女の額にめり込んだ。
「おが!」
「いい薬だよ」
 セレナは冷たく言い放った。
「のーのーのー」
 キャロはセレナから飛び降り、ツインテールの少女にめり込んだカプセルを引きはがした。そして
「のー!」
 と腹から息を吸い込み、小さな吹き屋を少女の額に打ち込んだ。
 サク。
 「おがあああ!……こんのぉおお!せっかく保護してあげたのに、なんたる仕打ち……わかったわよぉ一緒に遊んであげる!」
「あんたが蛮族か!」
 幻槍モノケロスでツインテールのてっぺんを小尽いたのはセレナである。
「のー!」
「にゃー!」
 二人のミニサイズの戦士達?は大きく?吠えた。
「ひゃはははああああ!女とチビしかいねーぞ!こっちだ野郎ども!」
 バリケードの天辺に立った太いもみあげを生やした蛮族が仲間を呼んでいる。
「姉ちゃんたち、ちょっと楽しませてくれよぉ」
 もみあげは、バリケードから降り立った場所には、例のジオラマがあった。
 グシャ!
 見るも無残にジオラマは崩れ去る。
「ぁぁ……」
 セレンフィリティが悲鳴を上げる。
「いい声あげやがるぜ、この姉ちゃん。野郎ども!こっち」
 セレンフィリティの飛び膝蹴りがもみあげの言葉を切り、もみあげは左ほほを真っ赤に染め上げて崩れ落ちた。数人の蛮族達は後に続けとばかりにバリケードを越えてくる。
「[女王の加護]!」
 セレナは声をあげ、キャロとちびあさにゃんをプロテクトする。
「守ってあげる……蛮族から、そして!……セレンフィリティから」
「にゃー!」
「のー!」
 

「コハクのヤツ、ちゃんとリボン見つけられたかな?」
バリケードの高みに立って蛮族をお出迎え仕様としていたのはコハク・ソーロッド(こはく・そーろっど)のパートナー小鳥遊 美羽(たかなし・みわ)である。風にたなびくミニスカートの中身は風とスカート生地の絶妙なハーモニーによって見えることはない。
「おーい。そんなこところに居たら狙い撃ちされちゃいますよぉお」
 リボルバー拳銃を振りあげて、大声を出しているのは吉村 慶司(よしむら・けいし)である。シルバーのロザリオが太陽を反射し、小鳥遊のまつ毛を指す。
「あなた敵?」
 小鳥遊は、積み上げられた土嚢を踏みしめ、大きくジャンプしながら吉村の目の前に着地する。ミニサイズのスカートは自ら磁場を発しているかのように、はだけることもなく、太ももの奥の光景を守っていた。
「いや。さっき会いましたでしょう?」
 吉村はリボルバーの柄で頭を掻きながら確認をした。それを聞くと小鳥遊は再び、
「よっこらしょっ」
 といいながら、バリケードの山をよじ登っていく。時折、緑色のツインテールに結ばれた黄色のリボンの位置を指で修正する余裕も持っている。
「だから、そこに立っちゃ危ないですってば」
「主様」
 ルディア・ローライキャネル(るでぃあ・ろーらいきゃねる)が吉村の隣に姿を現す。
「行きましょう。こんなところに居ると主様まで変人だと思われてしまいます」
「……今の台詞、聞き捨てならないわね!」
 小鳥遊はバリケードの天辺に登り切った途端に空中に体を投げ出し、ムーンサルトを決めながら着地した。例によってパンツは特殊CG加工によって見えない。
「今日はツインテールの女性と相性が悪いみたいですの。キャロももしかしたら、ツインテールの女性に悪さをされているのかもしれません」
「え?」
「いえ、そんな予感がするだけですが」
 その頃キャロはいわゆるツインテールのビキニ女にジオラマに放り込まれていた。
(のー!)
「そこのツインテール!おい、おまえだおまえ!」
 小鳥遊は緑のツインテール少女ルディアに喰ってかかる。
「二人ともツインテールでしょ」
 と吉村はツッコミを入れたくなった。二人ともに緑色のツインテールである。今回、ツインテールが変人の役どころだとするならば、二人とも変人ではないかと思うが、「主様」と自らを慕う緑色のツインテール……ルディアの方……にそんなツッコミは入れられない。
仮に濃い緑をルディア。薄い緑を小鳥遊としておこう。と吉村は勝手におもうことにした。
「変人とはなんなのよ」
「先ほどから、ジャンプを繰り返しているようですが、それは何のためでございますか?」
「恰好をつけるため!」
 言い切った!と吉村はこれはこれで気持ちがいい返答であると認め、頷いた。
「私、ジャンプシーンにかけてるから!」
 シンプルだ!と吉村はこれはこれですこぶる気持ちがいいと、大きく頷いた。
「何度ジャンプしてもスカートの中身が見えないのは一体どういう了見ですの?」
 かんけーねー!とキャラ崩壊気味の吉村は、丸見え描写は出来ないのだと、大人の都合を大人らしく解説したかったが、今はそういうタイミングではない。
「見えそうで見えないのが乙女の魅力」
「こうしてしまえば、完全に変人ですわ」
 ピ!ッと手の甲で小鳥遊のスカートをめくりあげた。
「きゃ!」
 顔を真っ赤にして舞いあがったスカートを両手で押さえる小鳥遊。吉村は視線を外すことも出来ずに目の前に光り輝く光景を拝見した。
「そっちのツインテールの方が変人じゃないの!」
「減るもんじゃありませんし」
 変態をめぐる議論で白熱している場合ではないと、吉村は割ってはいった!
「濃い方も薄い方もやめなさい」
「は?」
 思いっきり間違えた。
「いや、濃くても薄くてもどっちだっていいのですが」
 もはや吉村が一番の変態になりかかっている。
「私ちゃんとパンツはいてるもん!」
「いや、パンツの中身の話ではなくて」
 その一言で、二人のツインテールはすすすーっとバリケードの天辺まで引いて行った。冷たい目で聖職者姿の吉村を見下す。
「いや、だから、濃いとか薄いっていうのは毛の話で!」
 やってしまいました。もはや誰にいいわけしようとも、この流れは変えることが出来ないと吉村は引きつったように半笑った。
「捕まえた!」
 と、二人のツインテールの背後から、赤銅色の太い腕が二人の華奢な首に巻き付いき、バリケードの外へ引きずりこんだ。
「油断しました」
「ジャンプするつもりだったのに!」
バリケードの外から、二人のツインテールの声がする。助けずともルディアであれば自力で敵を倒せるだろうけれど、助けに行くべきであるし、実際に助けに行きたいのだが、変態の烙印を押されてしまった自分がどの面下げて、どのように……ぐるぐると巡る思いを断ち切るように吉村は決め台詞を口に出す。
「これも神が与えた試練とあれば……引く訳にはいかねぇな!」