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【第三話】始動! 迅竜

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【第三話】始動! 迅竜

リアクション

 同時刻 葦原島 戦域上空 生体要塞ル・リエー内部
 
「我が偶々この近くにいたことがどうやら幸いしたようだな……」
 要塞の中枢部にて、マネキは戦況をモニタリングしていた。
 新たな情報が入る度、即座に新たな指示を出すマネキ。
 そしてマネキは指示を出す傍ら、モニター越しに見えるテロリストたちの機体を睨み据えた。
「我がアワビ要塞の力をテロリスト共に思い知らせてくれる……」
 即座に立てたとは思えないほど綿密な計画を則り、ル・リエーは地理的進路的に有利な位置にて防衛にあたっていた。
 テロリストたちが奇襲をかけてきたばかりだというのに、既にこれほどの計画を練れているあたり、マネキの能力の高さが伺える。
 戦況の変化に合わせて要塞の位置を調整しながら、マネキは更に指示を飛ばす。
「味方イコンへの援護射撃や敵への牽制は絶やすな……我々は、勝つことが目的ではない……救援まで持ちこたえることにあるのだ……」
 モニターの中では友軍機の二機と敵軍の十五機が双方から大地を疾走し、真正面からぶつかり合おうとしていた。
「迂闊に近づくイコンは、触手で捕え我がアワビ要塞の栄養分となるといい……」
 そのままモニターを注視していたマネキはふと高機動タイプの機体が戦域上空を飛行しているのに目を留める。
「ほう…柔軟性に富む超高速機もいるのか…しかし…その機動性こそが仇となるのだよ…緑色の織り手で誘導または阻害し、近付けるな……」
 すかさず指示を出すマネキ。
「ん……出番? 敵……?」
 すると中枢部の更に中心、まさに真の意味でこの要塞の中枢部といえる場所から眠そうな声が返ってくる。
 声の主はもちろん、生体要塞ル・リエーのコントロールキーとなる者――粘土板原本 ルルイエ異本(ねんどばんげんぼん・るるいえいほん)だ。
 眠そうな声で問いかけてくる彼女に対し、マネキは落ち着き払った声で応えた。
「うむ。出来る限り、時間を稼ぎやつらを消耗させるのだ……」