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【ですわ!】パラミタ内海に浮かぶ霧の古城

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【ですわ!】パラミタ内海に浮かぶ霧の古城
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「颯爽登場! 魔法少女アマテラス☆♪」
 馬に乗った赤城 花音(あかぎ・かのん)は森の中を駆け抜け、すれ違いざまに【ヒロイックアサルト】で再現した雷公鞭を魔法使いへ叩きつける。
 迸る電流を食らった魔法使いは、痙攣しながら気を失った。
 魔法使いの警護をしていた狩人達は、背後からの強襲に不意を突かれる形となった。
 慌てて弓を構えるが、今度は正面から騎乗したリュート・アコーディア(りゅーと・あこーでぃあ)が向かってきた。
「壬生の狼……リュート! 押して参ります!」
 リュートは槍で狩人を切り裂き、花音の後を追いかけた。
 残った狩人達が弓を放つが、木々の陰に縫うように進む彼らを捕えることはできない。
「リュート兄、このまま敵をかく乱するよ」
「了解です」
 魔法少女アマテラスの花音と序盤から限定解除で飛ばすリュート。
 二人は生徒達が楽に塔を目指せるように、前に出てヒット・アンド・ウェイを繰り返し、敵の分断と注意を逸らす役目を果たしていた。
 魔法少女アウストラリス(アイリ・ファンブロウ(あいり・ふぁんぶろう))と一緒に進んでいたシリウス・バイナリスタ(しりうす・ばいなりすた)達は、おかげで森の中を戦闘を少なくして進むことが出来ていた。
「オラオラ、調伏だ、調伏!」
 魔法少女シリウス・ストライクコスチュームにより白兵戦に特化したシリウス。
 細身の太刀に変化した妖精鳴弦ライラプスを手に、アイリ達の前に立って戦っていた。
 すると、シリウスの背後を護るように、サビク・オルタナティヴ(さびく・おるたなてぃぶ)が銃弾を飛ばしてくる。
「シリウス、あまり無理はしない方がいいよ。だって、まだ塔が見つかってないんだし」
「そんなこと、わかってるぜ……」
 シリウスが悔しそうに歯ぎしりする。
 彼女たちは懸命に4つ目の塔を探していたが、なかなかその所在が掴めないでいた。
 情報ではこの近辺にあるらしいのだが、それらしい物は見当たらない。
 他の塔制圧の連絡が、さらに生徒達を焦らせた。
 
「それ! このまま一気に――」
「ストップ!」
 敵を撃破して森を駆けていた花音を、リュートが制止させる。
 慌てて馬を止めた花音の目の前に、パラミタの海が広がる。
 数歩進んでいたら、落下していた所だ。
「うわっ、危なかった!?」
「この先は入江みたいですね」
 横に並んだリュートが眼前を指さす。
 すぐ傍に岩を切り崩して作った階段。その先には大きな水たまりを三日月状の陸地で囲んだような、こぢんまりとした空間があった。
「ここからだと底が見えませんね……」
 濃い霧のせいで水面の状況はわからない。当然ながら、遥か向こうにある港町など影さえ見ることができない。見上げても、届く日の光は僅かだ。
「早く取り戻そうね♪」
 屈託のない笑顔を見せてくれる花音に、リュートはそれこそ太陽に照らされたように暖かい気持ちになれた。
 遠くに生徒達が戦う音が聞こえる。
「少し離れすぎました。戻りましょう」
「うん」