リアクション
五章 狩り、料理、そして宴
新年会は大いに盛り上がっていた。
机の上に並ぶ沢山の料理。
「わ、このステーキおいしいね!」
「キュキュィー♪」
「頑張ったかいがあったネ」
リアトリス達は自分達で手に入れた暴れ大牛のステーキを食べていた。
食材を取りに行った他の者達も、今は皆楽しそうに食事をしている。
「んぐんぐ、これ美味しいにゃー。あ、そっちのお肉も頂くのにゃー!」
「おいおいクマラ、ちょっと落ち着けって……」
目に付いた物を次々と口に放り込んでいくクマラ。
エースの制止も聞かず隣の料理に手を出し、
「んぐっ!?」
一気に食べ過ぎたせいで、喉に詰まらせた。
「ほらお水! まったく、だから落ち着けって言ったのに……」
「うまいうまい、なななは料理本当に上手だなー」
「えへへ、ありがと〜」
なななの作った料理を幸せそうに食べるシャウラ。食べながらも料理と、それを作ったなななを褒め続ける。
「まったく……もっと静かに食べれないんです?」
「なななの手料理最高ー!」
呆れた顔のユーシス。
「サンダース三世さん、これ、黄金兎の足で作ったストラップです。普通の兎のより効果あるかなーと思って作ったんですが、よろしければどうぞ」
「え、貰っていいの? ありがとう!」
貴仁が雅羅に黄金兎の足をプレゼントする。
幸運グッズとされる兎の足。災難体質の彼女だが、これで少しは緩和されるだろうか。
「これ……本当に食べられるの?」
ルゥの顔が引きつった。目の前には、結和が作ったグロテスクな料理が置いてある。
「みみ、見た目はこんなになっちゃったけど味は大丈夫なんですぅー」
「黒蓮が食べてみるニャ!」
勇気を出して口に運ぶ黒蓮。見守る仲間たち。
「あ、意外と美味しいニャ」
「マジですか」
ルースにソフィア、ルゥは興味を引かれ共に食べ始める。
「あれで美味しいって……ほんと謎だな」
「料理中の突然変異といい、もしかして呪いでもかかってるんじゃないかしら……」
隣で見ていた紅月と理沙が、理解できないとばかりに呟く。
「グダグダ言ってねぇで、男は黙って食えばいいんだよ」
そう言う虎徹は先程から一人黙々と結和の料理を食べていた。
「ふむ、やはりやりようによっては美味くなるものだ」
「うんうん、美味しいね! あ、そうだこれこれ」
ワイバーン肉の料理を食べていたルカルカが、ダリルとコードに小さな鱗を手渡した。
「これは……ワイバーンの鱗か」
「うん。今日の記念に。それと竜の魂に感謝を、ね。後でキロスにも渡してくるよ」
一方、そのキロスはというと……
「あ、あの、キロスさん!」
「あ〜?」
香菜や雅羅と食事をしていたキロスの下へ、アルテミスが駆け寄った。
「あの、食材集め、お疲れ様でしたっ! その、私不器用で、料理なんて初めて作ったんですが、よかったら、私の作った料理を食べて下さい……」
そう言って持っていた皿を差し出すアルテミス。
「お、おう……」
皿には黒く禍々しい元が何だか分からない物体が乗っていた。
しかしアルテミスの包丁で切り傷だらけの指を目にしては、断ることなどできるはずもなく。
覚悟を決め、一口。
「ごふっ」
案の定、キロスが椅子から転げ落ちた。
「ちょ、キロス!? 大丈夫!?」
丁度キロスの下に向かっていたルカルカが叫び、駆け寄る。
「キロス君! 待っててください、今治療します!」
柚が駆け寄り、気を失ったキロスに治癒術をかける。
「そんな……」
悲しそうな顔をするアルテミス。その肩に、優しく手が置かれた。
「私と一緒に練習しましょう? 私も失敗してしまって、兄さんに美味しい料理を食べさせて上げられなかったから」
「うぅ、はい……」
咲耶に励まされ、涙を拭うアルテミス。
やがて、新年会が終わり、帰路につく参加者達。
「食器の片付け終わりましたよー」
「ありがとう。後は私達だけで大丈夫よ。お疲れ様!」
片づけを手伝っていた歌菜が羽純と共に学園を後にする。
「お疲れ様。新年会、楽しかったな。あのデザート、今度家でも作ってくれないか?」
「卵手に入れるのが難しいかもしれないけど……頑張ってみる!」
会場に残ったのは香菜、雅羅、ななな。そして未だ口元を押さえて蹲るキロスの四人である。
「キロス……あなた、本当に大丈夫?」
「うぅぅ、喉が焼けるぜ……」
先程の料理(?)によるダメージが余程大きいようである。
「これは私のせい……じゃないわよね?」
「多分、違うんじゃないかな〜」
自身の体質を思い、少しだけ不安になる雅羅であった。
これにて。新年会、終了である。
こんにちは、ゲームマスターのREDです。
ご参加頂いたプレイヤーの皆さん、真にありがとうございます!
『珍味を求めて三千里?』、いかがだったでしょうか?
食材集めに料理にと、楽しく執筆させていただきました。
料理のシーンは執筆しながらお腹が減るもので、空腹との戦いでもありましたが……。
それでは、また機会がありましたらよろしくお願いいたします。