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リアクション
その研究者は40階の廊下を歩いていた。
名前は適当にストレンジラブ子としましょう。心にLiliumの咲いている女性の研究者です。ただの男には興味が無さそうだ。
ラブ子はアイザック博士の部下。趣味は女性の解剖。
今日は二人も新しい素体が入ってウキウキ気分。早く二人のシンデレラの服を切って、皮を剥いで肉を裂いて骨を割って内蔵を開いてサンプルに細胞を削って削って削って……早く女の能力者がどんな中身をしているのか見てみたい! そうすることを思い焦がれていた。
けれど、今日はまだお預け。ガラスの靴を持たない王子様が帰るまでお預け。
でもバレなければいい。ベッドに括りつけた眠り姫の体を堪能しましょう。
ラブ子が廊下の先を曲がった瞬間。伸びた腕がラブ子の口は塞ぎ引きずり込む。女子トイレの中へ。
月詠 司(つくよみ・つかさ)が暴れるラブ子に《ヒプノシス》を掛け半睡眠状態にする。
ディメンションサイトでの情報を頼りに、社員をポイントシフトで忍び寄り拉致。
「シオンくんお願いします」
シオン・エヴァンジェリウス(しおん・えう゛ぁんじぇりうす)に朦朧とするラブ子を任せる。
「さてと、いろいろと頼みますよ」
【使役のペン】の光をカチカチと点滅させ、相手の意志権限を奪う。所謂催眠術だ。
「さってと、システム制御室へ案内してくれるかな……」
彼らの目的は上層階のシステム制御室で監視システム及び認証システムの破壊。
メルクーリオ・エクリプセ・チェイサ(めるくーりお・えくりぷせちぇいさ)のドジせい――お陰でこの40階に入り込めたのが幸い。
それもこれも誰かの過剰トラップが爆破したせいで、最上階への階段が三階分できたおかげなのだが。
ラブ子が虚ろな目をして答える。
「……わかりました……ついてきてください」
ふらふらと歩き始める彼女の襟首をシオンが掴んで、後をついて行く。
メルクーリオが司を蹴り、
「ほら行きますわ。グズグズしないの女装趣味」
潜入のため女装した司を罵る。司は渋々立ち上がり、シオンの後を追う。
ラブ子は生体反応のセキュリティゲートをくぐり、自動認証が通る。後方に引率する人間も通過許可が降りる。
ゲートの先、一番奥の部屋が上層階のシステム制御室だ。ラブ子が入力制パスワードとカードキー認証を済ませて中へと入る。中には勿論、管理人が何人か勤務している。
「博士何かごよう――」
管理人が言い終える前に司が《ポイントシフト》でラブ子の背後から管理人の目の前に移動する。《ディメンションサイト》で内部の人間の数と位置は把握済みだ。素早く一人ずつ無力化する。
警笛を鳴らす前に三人が意識を失う。
司:上層階の制御室についた。どうすればいい?
和輝:今下層でダリルがシステムハッキングをしている。システム回線を下層の制御室と繋いでくれ
司:分かった、やってみる