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リアクション
恭也たちのいる土産物屋のすぐ隣の店の前では、お茶を買いにきた杜守 柚(ともり・ゆず)が、ナンパされていた。
「キミ、今一人?」
「い、今は一人ですけど……」
柚は前に立っているニ人組の男を困ったように交互に見る。
「誰と一緒に来てるの?」
「えっと、あの、お友達と来てるので……。その、ごめんなさいっ」
ナンパしてきた男を振り切るように、柚は二人分のお茶持ったまま走った。
「あ、ちょっと!」
柚は真っ直ぐ{SNM9998785#高円寺 海}のところに向かった。
「ごめんなさい、遅くなりました」
柚が海のところにいくと、ナンパしてきていた男は諦めたように去って行った。
二人の姿が見えなくなって、ようやく柚はほっと溜め息をついた。
「……ナンパ、されてたのか」
「そう、みたいです」
海も、去って行った男たちの方を見て、それからもう一度柚を見た。
「もう大丈夫だよ。それじゃ行こうか」
海の言葉を聞いて、柚は心がふわっと軽くなったような気がした。
一歩先を歩く海の後ろを、柚は少し駆け足で追って行った。
柚たちは丘を登って、景色の良い場所を見つけてシートを広げた。そして、シートの上に二人分のお弁当を並べる。
おかずは彩り鮮やかに、タコさんウィンナーとカニさんウィンナー、卵焼き、インゲンと人参の煮物。ご飯はチキンライスを小さく丸い形にして、バスケットボールに見えるように、切った海苔を貼ったものがいくつか入っている。
「器用だな。どれも美味そうだ」
柚の作ってきたお弁当の中でも、海はバスケットボール型のチキンライスが目に留まったらしい。
「頂きます!」
「頂きます」
海は真っ先にチキンライスへと手を伸ばした。
「……美味い」
「よかった。ありがとうございます」
海は、柚のお弁当を美味しそうに食べてくれる。それが柚には嬉しかった。
「一緒にこうしてピクニックできて、良かったです」
そう微笑む柚だが、内心不安もあった。柚は、以前海に告白したが、まだ返事をもらえていないのだ。
「うん。……誘ってくれてありがとう」
でも、海は柚のことを拒否しているわけではない。そう思えるから、また海を誘おう、と柚は思えるのだった。
「今日はまだまだ一緒に楽しんで、のんびりしたいです」
二人は顔を見合わせて、綺麗な景色を楽しみながら楽しくランチの時間を過ごしたのだった。
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