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リアクション
第1章 混乱と悲鳴のショッピングモール
たった1つの放送と爆弾で、日頃は楽しげなショッピングモールも一変し地獄絵図となっていた。
放送から10分あまり。ふたたびどこかで爆発音が鳴り響く。
客達の混乱と恐怖はさらに上り詰め、出口を求め駆け走っていた。
一刻も早く大きな爆弾を見つけ出そうと、ペーパ・ドクの助手}が歩き出そうとしたときだった。
「どういうこと?」
「聞かれてしまいましたか……」
助手の行く手を塞ぐように立ち、声を掛けてきたのは水原 ゆかり(みずはら・ゆかり)だった。
その横ではマリエッタ・シュヴァール(まりえった・しゅばーる)が、何故か恨めしそうに助手を見る。
助手は2人に状況の説明をし始める。
§
「何か慌ただしいような……あ! これ、レアものじゃないですかっ!!」
一方そのころ、佐々布 牡丹(さそう・ぼたん)は爆弾騒ぎなぞ知らず、ジャンクショップの処分セールに夢中になっていた。
「安く買えるときに買っておかないとねー」
カートに次々と激安パーツを詰め込んでいく。
さて会計にと牡丹が出口へと向かったときだった。
「ひぃいいいっ!!」
「……何?」
男が大声を上げて走り抜けていく。
ようやくそこで周りのざわつきに気がついた牡丹は男の走ってきた方向へと歩いて行く。
そこには助手とゆかり達の姿。そして二人の足下に白い紙袋が置いてあった。
「まさかこれがその粉々にするくらいの爆弾なの?」
「いえ、これはただの小型爆弾です。この程度なら壁を壊すくらいにしか威力はありません」
「あぁ、周りの騒々しさはこの為ですか」
牡丹の言葉にゆかりと助手は牡丹を見た。
「あなたは……」
「あ、それに触ったらダメ!」
ゆかりの制止を聞く間も無く、牡丹は白い紙袋の中から小さな箱を取り出す。
同時に強く主張するような時計の音があたりへ響き始める。
すぐに牡丹は”機晶技術”で後型時限爆弾は解体を始める。
「爆弾まで残り3秒」
助手がカウントを読み上げた時だった、カチリという音が箱から響いた。
牡丹の解体していた小さな爆弾は沈黙した。
「あっという間に解除してしまった……」
ゆかりは呆気にはとられたものの、手捌きのよかった牡丹に感心もする。
「さて、助手さん。ペーパ・ドク博士の連絡先を教えてもらえませんか?」
「連絡先、ですか?」
歯切れ悪そうに助手は牡丹を見た。そして「すみません」と助手は頭を下げた。
「あの博士、超絶な引きこもりなので無線通信の類いは持っていません……」
牡丹だけではなくゆかりまでがぽかんとした表情で助手を見る。
しばらくして、牡丹は小さくため息をついた。
「わかりました。まあ、そんなことじゃないかなあとは思ってたんだけどね〜。それにしても
客達と一緒に爆弾を閉じ込めるなんて、自分も爆弾から逃げられないことは理解しているんでしょうかね〜?」
牡丹の言葉にゆかりは深く考えた。
だが、そのからくりは考えてみてもすぐには思いつかない。
「さっさと大型爆弾を見つけて、さっさと終わらせる!」
始終やりとりを見守っていた、マリエッタはしかめっ面で言う。見るからに不機嫌そうだった。
買い物後に限定パフェ食べる計画が壊され、少々苛ついているせいだ。
アンドロイドである助手も「そうですね」と肯定する。
「急ぎましょう、時間はありません」
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