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学生たちの休日16+

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「こんな所にいたのか」
 姿の見えなかったスープ・ストーンを探していた源鉄心が、休憩所で一人丸くなっているのを見つけて、ひょいとつまみあげました。
 スイカ畑の土壌改良用に何か技術供与できないかと散楽の翁に訊ねたのですが、源鉄心が期待したような銀砂やアストラルミストのような物はもう残っていないということでした。もちろん、ある所にはあるのですが、それを知っていたり気づいている者はほとんどいません。
 仕方ないので、とりあえずスープ・ストーンを見つけだしていじろうという感じです。
「ああっせっしゃの安らぎ空間が……」
「まったく。釣りにでもつきあえ。少しは気分も晴れるだろう」
 いいからさっさと来いと、源鉄心がスープ・ストーンを運んでいきます。
「ああ、せっしゃを、このまま湖に帰すのでござるかな……」
 あくまでも、ネガティブなスープ・ストーンです。どうしたというのでしょうか。
「あ、ブービーコンビうさ〜」
 なんだか虚ろなスープ・ストーンをつまんでいる源鉄心を見つけて、いきなりティー・ティー(てぃー・てぃー)が指をさして笑いました。ミニうさティー軍団と共に、スープ・ストーンを探していたのです。
「黙れ、リタイア娘」
 そう言って、源鉄心がティー・ティーのうさ耳を掴みます。
 ちなみに、前回の新ジェイダス杯で、スープ・ストーンは最下位でゴールし、源鉄心はブービーでした。でも、ティー・ティーは途中でリタイアしましたから、文句の言える立場ではありません。彼らの仲間内では、イコナ・ユア・クックブック(いこな・ゆあくっくぶっく)が八位と一番いい成績を出しています。
「いいか、ブービーというのは某業界では悪魔の代名詞みたいなものなんだ」
 源鉄心が説明していると、その騒ぎを聞きつけたのか、イコナ・ユア・クックブックもミニいこにゃー軍団と共にやってきました。が、スープ・ストーンの姿を見つけると、そっと電信柱の陰に隠れます。
「はぁ……。ねえ、イコナちゃん、やっぱりこのままじゃ可哀相ですようさ」
 それに気づいたティー・ティーが、イコナ・ユア・クックブックを手招きしました。
「だ、だって、わたくしの翠花をとったし……」
 どうも、スープ・ストーンが落ち込んでいる原因は、イコナ・ユア・クックブックのせいのようです。もともとはイコナ・ユア・クックブックが自分がもらったと思い込んでいるフリングホルニ級の翠花を、スープ・ストーンが艦長として操艦したので八つ当たりしたのが発端です。
「し、仕方ないですわね……。わたくしの方がお姉さんなのですし……」
 ティー・ティーや源鉄心にジーッと見つめられて、しぶしぶイコナ・ユア・クックブックが折れました。
「わ、悪かったなあ!」
 大きく胸を張って、上をむきながら謝ります。なんだか、いつの間にか巨乳になっています。
「ふう……。どうせ、せっしゃは腐った蜜柑でござる」
「何をやっている!」
 ますます落ち込むスープ・ストーンを見て、源鉄心がポカリとイコナ・ユア・クックブックの頭を叩きました。
「うう、ごめんなさいですにゃ〜。これあげるから、許してほしいですにゃ〜」
 そう言うと、イコナ・ユア・クックブックが偽胸として詰め込んでいた桃を取り出しました。ぷしゅんと、胸がいつものまな板に戻ります。
「もぐもぐ、まあ、そこまで言うのであれば、許してやらなくもないでござる。これからは、もっと謙虚にしてほしいでござる」
 生暖かい桃にしゃぶりつきながら、スープ・ストーンが言いました。うまくイコナ・ユア・クックブックに謝らせることができたのです。計画どーりでした。