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【第十一話】最終局面へのカウントダウン、【第十二話(最終話)】この蒼空に生きる命のために

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【第十一話】最終局面へのカウントダウン、【第十二話(最終話)】この蒼空に生きる命のために

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 数日後 レティーシア家 客間

「――というわけですわ。スミスは倒され、無事パラミタも守られましたの」
 レティーシア家の客間で沙 鈴(しゃ・りん)はイリーナと相対していた。
 鈴とレティーシア家のおかげで、イリーナはすっかり回復していた。
 
「『偽りの大敵事件』を事実無根として放置すると、都市伝説として疑念を膨らませるだけになります。真相が判明し、一部なりと公になった以上は加筆修正された、公文書を発行する必要があるのです。鏖殺寺院が犯人と誤認していたが、後に裏に別勢力がいたと判明したのであれば、その修正は当然必要ですしね」
 
 そこで一拍置き、鈴は続ける。
 
「戦闘報告を含めて各方面からの資料を一本化して収集、整合性をとらないと。集まった情報の裏づけを捕るために追加調査も必要になるでしょう。わたくしの本業である国家、国軍、各校のロジスティックス面での調査――物資の横流しの有無等動きが必要かもしれませんね」
 
 そこで鈴はイリーナに向き直って問いかけた。
 
「機密文書として公開範囲を絞る必要のある全文と、一般閲覧可とするダイジェストの最低二種類の報告書……即ち公史の作成が必要でしょう。イリーナさんにはあなたの見た視点から公史の作成に一部だけでも協力してもらえればとは思います。お願い、できますか?」
 その問いにイリーナは即座に首肯した。
「夫と息子があんなことになった本当の理由がわかってから、いろいろ考えたわ。その上で、今は私は私にできる償いをしたいと思う」
 そう告げると、イリーナは鈴をしっかりと見つめた。
「そうして、そう思えるようになったのはあなたのおかげよ。ありがとう、鈴」