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リアクション
「ね、神山、世界の終わりだって! ドラゴンアーツ打とうよ!」
「何でだよ!」
「終末が吹っ飛ぶかもしれないじゃない」
ひとしきり勢いのある会話をつづけてから、各務 竜花(かがみ・りゅうか)は楽しげに笑う。
そして会話の相手、斗羽 神山(とば・かみやま)をちらりと見る。
(神山は、怖くないのかな? ……多分、怖いよね)
竜花の心に、恐怖はなかった。
世界の終りでも、神山は神山だから。
神山がいるから、怖くない。
「ね、神山、世界の終わりってどんな感じなんだろうね」
「知るかよ」
「ばーっと来るのかな、それともどどどっと?」
「知るかよ、お前実ははしゃいでるだろ。台風とか来るとテンション上がるタイプだろ」
やたらと元気な竜花と話しながら、神山は呆れたように彼女を見る。
(怖くないといったら、嘘になるのかもしれない)
しかし、目の前の彼女がはしゃいでいるのを見ていると、なんだか全てが馬鹿らしくなってくる。
終るものは終る。それでいいじゃねえか、と。
そしてやがてその時は来る。
「……神山、消えるんだね」
「俺一人が消えるわけじゃねぇ、世界が終るんだ」
「うん、そうだね…そうだよね…… ね、手を繋いでいようよ」
「何でだよ」
「パートナーじゃない。ケチ」
「わかったわかった、ほら、手ェ出せ」
たまには望みを聞いてやろうと、竜花の手を握る。
(――神山がいない世界は、寂しいなぁ)
(――後悔は、ない)
2人の視線が交差した。
――そして、目が覚めた。
「――え?」
「――あ?」
2人は手を握り視線を合わせたまま、いましがたの出来事が夢だったことに気付いたのだった。
「……はぁ」
ため息をついている竜花を、神山が小突く。
「お前な、そんながっかりしなくても、いずれ最後の時は来るだろ」
「がっかり……してるのかな?」
肩を落としている竜花の手を、神山は再び握って告げた。
「――生きてりゃ、いいことだって沢山あるだろ。――生きろ」
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