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 第3章 セレスティアーナの秘密

■□■1■□■ 影武者作戦

同じころ。
セレスティアーナのいる屋敷では。

東シャンバラロイヤルガードの姫宮 和希(ひめみや・かずき)が、
セレスティアーナと服の交換をしていた。
「姫さんは帽子を目深に被ってしっかり晒巻いとけよ。
危なくなったら陰に隠れるんだぞ」
「変わった服装だな。だが、なぜ隠れなければいけないのだ?」
学ランとドレスを交換して、セレスティアーナはきょとんとする。
「えーと」
和希は、説明に困った。
セレスティアーナは、自分を中心に事件が発生してしまったことを認識していないのである。
「アレだよ、かくれんぼだ。
隣の部屋にいるソアは味方だから、しっかり隠れてろよ」
「そうか、私はかくれんぼは得意だぞ!」
セレスティアーナは、ウキウキしながら走って行った。

★☆★

部屋には、影武者となった和希が残っている。
(ついててやりたいが、俺が襲われると危険だからな)

「セレスティアーナ、俺達を雇ってくれないか?」
そこに、紫月 唯斗(しづき・ゆいと)と、
エクス・シュペルティア(えくす・しゅぺるてぃあ)
紫月 睡蓮(しづき・すいれん)
プラチナム・アイゼンシルト(ぷらちなむ・あいぜんしると)が現れた。
「報酬は、アンタの笑顔ってな」
「えーと、ありがとな。じゃあ、その辺りに座ってくれよ」
(姫さんのフリ、姫さんのフリ……)
そう言い聞かせる和希だったが、あまりうまくいっていない。
「そういえば、セレスティアーナ、わらわ達は似ているかもしれぬな」
エクスは言う。
「俺、じゃねえ、私と?」
「着替えたらそっくりになれそうだ。唯斗には今度エスコートさせるから、たまには外で遊ぶといい」
「そうとなったら話は決まりですね」
プラチナムも言う。
「じゃあ、私達は外の護衛をします」
アリスの睡蓮は、窓の外で滞空することにする。
「うん、じゃあ、頼むな」
唯斗は行ってしまった。
「え? この状態でさらに着替えるのか?」
「どうしたんですか?」
「いや、なんでもねえよ」
(どうするかな、姫さんならさっきみたいに普通に承諾するかもしれねえし)
プラチナムに顔をのぞきこまれて、なるべく離れるようにしながら和希は思う。

「では、さっそく着替えるとしよう」
エクスは、和希の服を脱がそうとして、胸を見て叫んだ。
「うわー!?」

「どうした!?」
唯斗は、半裸のエクスと和希を見て凍りつく。

「出ていけー!」
エクスは魔法を撃って唯斗をお星様にした。

「あの、どうして、胸に何もつけていないのですか?」
プラチナムに聞かれ、セレスティアーナのふりをして和希は答える。
「んな邪魔なものはしてねーよ」
(さっき晒は姫さんに渡しちまったしな。
ブラなんて邪魔なもんは必要ねーだろ)
「きゃああああ、なんだかすごい勢いの子がー!?」
そこに、睡蓮の悲鳴が上がる。
桐生 円(きりゅう・まどか)が、潜入してきたのだった。
「つけてない!?
つけてないだと!?
痴女か、ひんにゅーかそれが問題だ。
痴女ならば救いようがないが
ひんにゅーなら! ひんにゅーなら!
救いようがある!
ボクの東シャンバラを守って!」
円は、和希のドレスの胸元をはだけさせようと引っ張る。
「みせるセレスティアーナは、いいセレスティアーナだ!
みせないセレスティアーナは訓練されたセレスティアーナだ!」
「おいおい、待てよ」
見られても気にしないものの、女には手を上げられない和希は、逃げようとするが。
「女の子だし、真正面からいっても問題ないよね」
円は、和希の胸しかさっきから見ていないが、ドレスをはだけさせることに成功する。
「やはり、ひんにゅ……」
「って、ノーブラ宣言で固まっていたが、狼藉者がー!」
エクスとプラチナムが、円をぶっ飛ばす。
「セレスティアーナ代王は偉大な人物だった!」
円は、お星様になった。
(俺だって気づいてねえよなアレ。まあ、いっか)
ノーブラ疑惑が一部で確定することになるのだが、和希は深く気にしないことにした。