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リアクション
「まちわびたぞ。とぉっ」
集合場所に到着すると、積み上げた雪の上に両腕を組んで立っていたささき(佐々木)くんが飛び降りてきた。
ずぼっと、足が雪の中に埋もれてしまい、両手を地面についてしまうが、すぐに立ち上がって再び腕を組む。
マントをなびかせ、月を背中に背負ってる気持ちだ。
「おそかったな、のんびりしてると、しょくじのじかんにおくれちゃうぞ!」
ささきくんはヒーローになりきった気持ちで語る。なんだか偉そうだ。……発見されたの2番だけど。
「みんなそろったかー」
「ううん、ひとりたりないよ」
人数を数えたアインくんがそう言い、首をかしげる。
「えっと、あのこがいない……そう、シェイド!」
シェイドくん(シェイド・クレイン(しぇいど・くれいん))は、外見は5歳くらいだったれど、真面目でおとなしくてお行儀がよく、お母さんのように世話を焼いてくれる子だった。
「ひとりぼっちで、きっと不安だとおもう」
自分が感じた不安感を思い出し、アインくんはシェイドくんが心配になって名前を呼んでみる。
だけれど、返事はなかった。
「みんなでさがしにいくぞー」
たけるくん(武)が言い、子供達がうんと声を上げる。
「そういえば……」
ミレイユ・グリシャム(みれいゆ・ぐりしゃむ)のパートナーのシェイドくんは、ログハウスの裏にある小さな用具入れの棚の上にいた。
「ボク、かくれるほうをやったときも、みつからなくていやって、いとこたちにいわれたことがあったんでした」
見つけるのが得意なので、隠れる方になれてよかったと思っていたけれど、隠れる方も得意だったのだ。
「むかしなら、せんだい(先代)が『おまえはかくれるのがうますぎだな』といいながら、みつけてくださいましたが……」
扉の方に目を向けてみるが、開く気配はなかった。
もうずいぶん長い間、シェイドくんはここに隠れていた。
「こまりました……」
足を抱えて、ため息をついた。
でも今更やめるとは言えないので、じっと待つことにする。
(もしみつからなかったばあいは、ボクからそとにでればいいですものね……)
膝に口と鼻を当てて、白い息が漏れないように注意しながら、静かにシェイドくんはお友達を待った。
……その数分後。
「あ、こんなところにそうこある」
「シェイドー! ここにいるか〜」
ばたばたと子供達が近づいて、倉庫の扉を開けた。
「みんな……っ」
思わずシェイドくんは小さく声を上げてしまう。
「みーっけ!」
「さいごのひとり!」
「みーつけた!」
子供達がシェイドくんを指差して、笑顔を向ける。
「……みつかっちゃいましたっ」
見つけられたシェイドくんはちょっときょとんとした後、嬉しそうに微笑みを浮かべる。
「……ふふっ。かくれんぼなのに、みつけてもらえてうれしいないんて、へんですよね……」
「おりろおりろ」
「きをつけて」
たけるくんとアインくんが梯子を使って、シェイドくんが隠れている棚へと上ってきてシェイドくんに手を伸ばした。
「ありがとう、ございます……っ」
シェイドくんはすごくうれしそうに微笑んで、その手をとった。
「おーし、こんどこそみんなそろったな〜。それじゃごはんにいくぞー」
たけるくん達は、シェイドくんを連れて集合場所に戻ってきた。
集合場所には、探索中に見つけたお菓子やおせち料理、雪うさぎなんかも集めてある。
「これどうするのぉ……?」
ネージュちゃんはまだ洗濯物を持たされていた。これも戦利品なんだそうだ。
「たべおわったら、またあそぼーな!」
たけるくんがにやっと笑みを浮かべて皆を見る。
「うん」
「こんどはみつからない」
「もっとはやくみつけてやるぜー!」
明るい笑顔を浮かべた子供達は、とっても元気な返事をして、わーっとログハウスの中に向かっていった。
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