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リアクション
■ 幼馴染みと恋バナを ■
セシリア・モランのパラミタ化手術が成功したとの報告を受け、シャーロット・モリアーティ(しゃーろっと・もりあーてぃ)はロンドンへと帰省した。
シャーロットは犯罪王の後継として。セシリアはその右腕となるように育てられてきた
今のところ、シャーロットは犯罪王ではなく私立探偵として活動しているが、その活動拠点は地球ではなくパラミタだ。契約者でないセシリアはそれに着いて行くことが出来なかった。
なのでセシリアは強化人間となることを決心し、その手術を受けたのだった。
契約が成るかどうかは相性の問題もある。
強化人間となれば契約せずともパラミタでの活動は可能になるが、出来ることならパートナー契約を結びたい。
表向きは犯罪王での片腕のメイドとして、犯罪者たちとシャーロットの間をつないでくれているセシリアはシャーロットにとって、幼馴染みであり、親友であり、そして共犯者だった。
セシリアに会い、叶うならば契約をと、シャーロットはロンドンにやって来た。
久しぶりに直接顔を合わせたセシリアから、シャーロットは現在のロンドンでの犯罪者たちの動向を確認し、できれば契約を果たす……のが目的のはずだったのだけれど。
会うなりセシリアがしてきた質問はと言えば。
「聞きましたよ、シャーロット。セイニィにプロポーズしたんですって?」
「どうしてそれをセシリアが知ってるの?」
パラミタでの出来事をずばりとセシリアに指摘され、シャーロットは焦った。
「それはもう、方々から情報を得ていますから。それで、何て言ってプロポーズしたんですか?」
「ええっと……」
シャーロットはちょっと思い出すように間を取ったが、それは忘れようもなくシャーロットの脳裏に焼き付いている。
――セイニィ、あなたに会うまで、私は愛と幸せの意味を知りませんでした。
私を幸せにできるのも、泣かせられるのも、あなたしかいません。
私は、あなたを心の底から深く愛しています。これからの私の人生に、あなたの微笑みをください――
そしてセイニィに答えてもらった言葉もまた、シャーロットの胸の中にある。
――あたしのこと、そこまで想ってくれてありがとう。
……ただ、返事は少し待ってくれないかな。
今は、ほら、あたしの事よりシャンバラや女王様を救う方が優先しなきゃいけない時だから――
セイニィの意思を尊重したいから、シャーロットは返事をせかすことなく待っている。
模擬結婚式をしたときのセイニィは柑子色のドレスが似合っていてとても綺麗だった。
いつか模擬ではなく、本物の結婚式を挙げられる日が来てくれると良い。
「私もお2人の結婚式を見たかったです。写真はないんですか?」
「ありますけど……見ます?」
ちょっと照れながらシャーロットが見せた写真に、セシリアはわぁと小さく歓声をあげて見入るのだった。