シャンバラ教導団

リアクション

●●●　エピローグ　……ａｎｄ　ｔｈｅ　ＨｏｌｙＧｒａｉｌ

「……これでおしまい、というわけにはいかないかしら？
　結構きれいにまとまったと思うんだけど」
珠代の言葉を聞いても、瓜生　コウ（うりゅう・こう）は納得しなかった。

コウは以前にも、“世界軸”で行われた“祭り”で、珠代を見たことがある。
偶然とは思えなかった。

「ダメだな、納得がいかない。あんたは他に、なにか目的があったんだ。
　そして多分、そいつをやり遂げた。ほとんど誰も気づかないうちにだ。
　そいつを聞かせてもらおうか」

「つまり……これのことかな？」
珠代は懐から小さな黄金の杯を取り出し、自慢気にコウの眼前で振ってみせた。

「なんだ、この薄汚い杯は？」
ベイバロンの金杯を思わせるそれは、コウにとってなお一層恐ろしく感じられる。

「これでも世界で一番の至宝なのよ？
　なんていうのかなー、昨日はちょっと派手な誕生日パーティーだったのよ」

そういって珠代はいたずらっぽく笑った。

珠代が手にした金杯。
それこそ、ジーザス・クライスト（じーざす・くらいすと）が口をつけた聖杯であった……