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レターズ・オブ・バレンタイン

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レターズ・オブ・バレンタイン
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21)

【恐竜騎士団中隊長】如月 和馬(きさらぎ・かずま)は、
丘の上の桜の木の下に、
アイリス・ブルーエアリアル(あいりす・ぶるーえありある)を呼び出していた。
2月なので、まだ桜は満開ではないが、早咲きの桜が、少しだけ咲いている。

「待っていたぞ。アイリス。
また、手合せを願いたい」
和馬は、アイリスの顔を見るなり、率直に言った。
百合園女学院の忘年会でもアイリスに手合せを申し出て、和馬は敗れている。
それでも、もう一度、アイリスと勝負をしたかったのだ、

「いいだろう」
アイリスは、小さくうなずくと、剣を抜いた。
「さあ、来るがいい」

「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおっ!!」
和馬が、大きく剣を振りかぶり、アイリスに向かって行く。
そこには、何の迷いもなく、躊躇もなかった。
「遅い!」
次の瞬間、和馬は剣を弾き飛ばされる。
「くっ、まだだ!」
すぐに剣を拾い、和馬はアイリスにまたも立ち向かう。
しかし、今度は、身体ごと、弾き飛ばされてしまう。

「勢いはなかなかだが……。
やはり、まだ洗練されていないようだね」
「くっ!!」
和馬は、さらに、アイリスに立ち向かっていく。
そして、すぐに打ち据えられてしまう。
泥だらけになりながら、
和馬は、それでもアイリスに勝負を挑み続けた。

やがて、何度も、アイリスに打ち据えられ、地面に転がるうちに。
和馬は、奇妙な感覚を抱いていた。
(なんだこの感情は……これが、恋!?)
しかし、実際には、
マゾヒスティックな欲望が呼び覚まされているだけである。
和馬は、自分でも無自覚なうちに、
「アイリスにご褒美をもらって」いたのだ。

やがて立ち上がれなくなり、地面に伏せた和馬に、アイリスが告げる。
「そこまで向かってくるとは、なかなかだね。
だけど、それだけではダメだ」

和馬は、必死に思いを巡らせ、
自分に足りないものは何か考える。
(オレに足りないものを得るためには……!
そのためにはもっとアイリスと戦わなければならない!)
自分に目覚めた欲望のもと、そう決意する和馬であった。