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レターズ・オブ・バレンタイン

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レターズ・オブ・バレンタイン
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23)

董 蓮華(ただす・れんげ)の自宅。
招きを受けて、金 鋭峰(じん・るいふぉん)が、護衛とともにやってくる。
教導団員に対しての家庭訪問のようなものでもあった。

「ようこそいらっしゃいました!」
蓮華が、玄関で金団長をお出迎えする。
「うむ。今日は、手料理を振舞ってくれるということだが、
楽しみにしているぞ」
「ありがとうございます!
腕によりをかけて作りますから、楽しみにしていてくださいね!」
蓮華は、頬を紅潮させ、
団長を家の中に招き入れた。

「こちらのソファでお待ちください」
リビングのソファを勧められ、
団長がそこに腰かける。

キッチンで、蓮華は、自分の得意とする北京料理を作る。
(団長が、家庭の味を味わってくださったら)
そう考えて、自分の家に招いたのだ。
(ダメモトだったけど、来てくださってよかった……)
護衛同伴でも、そのことが実現できたのは嬉しく思う。

ふと、料理がひと段落し、蒸し器に五目肉包をセットすると。

リビングで、団長が、蓮華の本棚を見つめていた。
「こんな本を読んでいるのか」
教則本や武器のマニュアルのほか、恋愛小説や料理の本も並んでいる。
「は、はい」
蓮華は、団長が恋愛小説の背表紙を見ているのを見て、
思わず、顔が熱くなるのを感じる。
(登場人物と団長への恋心を重ねているなんて言えない!)

やがて、料理が完成し、
リビングに北京料理が広げられる。
リビングからは、蓮華の育てている家庭菜園も眺めることができる。
「団長はいつもはどんなお食事をされてらっしゃるのですか?」
「うむ。普段は、専属の料理人が食事の支度を行ってくれている。
こういった形式の食事をとるのは新鮮だな。
……あの野菜も、君が作ったのか?」
「はい、この料理にも入ってます」
「そうか。いろいろと細かな気づかいができるようだな。
軍人として頼もしいことだ」
「ありがとうございます!」
小皿に料理を取り分けながら、蓮華は団長の賛辞に心を震わせた。
「どうですか、お口に合うでしょうか」
「うむ。なかなかのものだ」
「よかった、ありがとうございます!」
「こちらこそ、このような歓待を受け、感謝する」
こうして、ゆったりとした時間が流れていく。
それは、蓮華にとって、とても大切な思い出となったのだった。