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リアクション
「また、この季節よね」
また、ジューンブライドの時期が巡ってきた。リネン・エルフト(りねん・えるふと)は、フリューネをデートに誘い、一緒にジューンブライドのイベントをしている街中を歩いていた。
「気持ち、まだ決まらない?」
控えめに、リネンはフリューネに訊ねる。以前告白した時、まだ返事は保留ということになっていた。
「リネンは、どう?」
「私は変わらないわよ。フリューネが好き、一緒になりたい、気持ちが決まるまでいつまでも待つ……って、何度も言わせないでよ! 思い出しても恥ずかしんだから!」
リネンの言葉に、フリューネが少しだけ思案顔になった。
「気持ちが決まるまで--か」
フリューネは、リネンの方に向き直った。
「……私ね、今までずっと、リネンやレンとの関係が好きだったの。関係というか、ちょうど良い、居心地のいい距離感っていうのかな」
「距離感……」
「こうして遊びに出かけたりして楽しく毎日を過ごせる、そんな関係が好きだったのよ。--でも、そろそろ答えを決めなくてはいけないな、と今は思ってる」
フリューネの表情を見て、リネンは「うん」と小さく相槌を打った。
「もう、気持ちを決めようと思うの。だから--今日は、今までの相棒以上の関係としてデートしたいわ」
そう話している時、リネンとフリューネはジューンブライドのイベントを行っている式場の前を通りかかった。
「ねえ、フリューネ。花嫁衣裳試してみる?」
「花嫁衣装?」
「フリューネの花嫁衣装見てみたいなって……」
リネンは、フリューネの祖先にあたるユーフォリアの悲恋の話を聞いて以来、心の中で「一度はフリューネに花嫁衣装を着せてあげたい」という思いが膨らんできていたのだ。
「じゃあ、一緒に着てみない?」
フリューネの提案で、リネンたちはウェディングドレスの試着をすることにした。
式場内で、二人は思い思いに好きなドレスを選んで、見立てる。
「これ、やっぱり動きにくいわね」
試着した裾の長いウェディングドレスの裾を持ち上げるフリューネ。
「この格好で戦うわけじゃないけど、動きやすい方が合ってるかもしれないわね。じゃあ、こっちのドレスはどう?」
そんな会話をしながら、リネンたちはお互いの花嫁衣装を選び合っていた。
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