リアクション
桐生 円(きりゅう・まどか)は、パッフェル・シャウラ(ぱっふぇる・しゃうら)を誘って模擬結婚式をすることにした。
ジューンブライドのイベントを色々な種類の会場でしていることを知り、いくつもの種類の結婚式を体験することにしたのだ。
「専門の式場、高級ホテル、神社、教会があるらしいよ! パッフェルはどれがいいー?」
パンフレットや雑誌を見比べている円に訊ねられたパッフェルは、円の手元の雑誌を覗き込んだ。
「……教会と神社、は行ってみたい。雰囲気の違い……とか、比べてみたい」
「うん! ボクも、ドレスも白無垢も試着してみたいな」
ひとまず方向性を決めた円とパッフェルは、早速式場に向かうことにした。
まず、神社を訪れた円たちは、白無垢に着替えて神前結婚式の体験をした。
「後で写真とってもらおう! 写真! 白無垢って、なかなか着る機会ないんだよー! 中々出来ない体験だし、楽しいよねー」
「……思い出、になる」
パッフェルも少し頬を緩めて了承した。
次に、円たちは教会での結婚式を体験しにきた。
「なんか神秘的な雰囲気!」
ウェディングドレスを着た円たちは神父の前で、誓いの言葉を交わし合った。
「係員さん! 写真とって! 写真!」
円はすっかりはしゃいで、パッフェルとの写真を撮ってもらったのだった。
「今日は楽しかったねー」
「……楽しかった」
円たちは一通り結婚式を体験し終えると、休憩しながら二人で話していた。
「普段出来ないことが沢山できたよー、気に入った場所とかあった?」
「どれも、……良かった」
パッフェルの言葉に、円は嬉しそうに笑い返した。
結婚したら今以上に幸せなのかな、と円は内心で思う。案外、そんなに変わらないかもしれない。けれど、幸せの質が違うのかもしれない。その時のお楽しみって事にしておこう、と円は思う。
「ずっと、おばあちゃんになっても、二人で一緒に居るのが当たり前。そんな関係で居たいな。些細な事で喧嘩しても、すれ違っても、最終的には、仲直りして、隣に居るような、そんなのもいいかなーって」
円とパッフェルは、模擬式を挙げる他のカップルたちを見ながら、将来に想いを馳せていたのだった。