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ハロウィン・コスチューム・パニック!

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ハロウィン・コスチューム・パニック!
ハロウィン・コスチューム・パニック! ハロウィン・コスチューム・パニック!

リアクション

白を基調とした衣装の、ウォーロックの姿に変身した、
非不未予異無亡病 近遠(ひふみよいむなや・このとお)と、
白魔女の姿に変身した、ユーリカ・アスゲージ(ゆーりか・あすげーじ)
そして、家令の姿に変身したイグナ・スプリント(いぐな・すぷりんと)だったが。
3人は、ニルヴァーナ創世学園の校長である、
空京 たいむちゃん(くうきょう・たいむちゃん)こと、ラクシュミ・ディーヴァを、
イルミンスールで案内するつもりであった。
「イルミンスールへようこそ。
なんだか、大変なことになっていますが、
ボクたちがいますので、大丈夫です」
近遠は、変身の効果か、
普段よりも堂々とした、
歴戦の魔術師然とした様子で言った。
「ありがとう。
なんだか、イルミンスールらしいね」
ラクシュミが、パーティー会場を見回して言う。

そうしていると、向こうから、騒ぎの声が聞こえてきた。

男装していたネージュ・フロゥ(ねーじゅ・ふろう)は、
変身の効果で、本物の男の子になってしまっていた。
「なんだか、落ち着かないなあ」
そんなことをつぶやくネージュに、
パートナーの常葉樹 紫蘭(ときわぎ・しらん)が、よだれを垂らしながら言う。
「ショタっ子コスプレのねじゅちゃんが、
まさか本当のショタっ子になるなんて……むふ……むふふっ」
「って、紫蘭さん、なにその視線! どこ見てるの!!」
半ズボンの下半身に目が釘付けになっている紫蘭は、鼻血を流していた。
「『据え膳食わねば淑女の恥』と言いますわ」
「全然、淑女じゃないと思うよ!?」
「あら、いやですわ。
【変態という名の淑女】ですわよ。
トリックとトリック、ねじゅちゃんはどっちがいいですか?」
「きゃあああああああああああああ!?」
貞操の危機を迎えていたネージュだが。

そこに、カンガンガニのハサミを構えた、
アルバ・フレスカ(あるば・ふれすか)が現れた。
「ボ、ボクが、女の子になってしまうなんて……」
そう、本人がつぶやいているとおり、
アルバ・フレスカの胸がふくらんでいる。

「宦官であり、男の娘であるこのボクが、
女の子になってしまうなんて!
これは一生の恥!
かくなる上は、新しい男の娘を宦官にしなければいけませんね!」
そう叫んだアルバ・フレスカと、ネージュの目が合う。

「え、まさか、アルバさん!?」
「ネージュさん、女性の身体のあなたには興味がありませんが、
ショタ化した今なら別です!」
「ねじゅちゃんの(ぱおーん)を(ちょっきん)するつもりですわねっ!
そうは問屋が卸しませんわ!
護りますわよっ!!」
紫蘭が、アルバ・フレスカの前に立ちふさがる。
「あ、あと、言いにくいんだけど、お手洗いも行きたいなって……」
「まあ、お手洗い、ですって!?」
「紫蘭さん、なんで鼻血が出てるの!?」
「今すぐ参りましょう、ねじゅちゃん!
うふふふふ、お手洗いで抱っこして手伝ってさしあげますわー!」
「あ、待て、逃がしませんよ!」

ネージュを抱き上げた紫蘭は、
すごい勢いで走って行ってしまう。
それを追いかけるアルバ・フレスカだが、
会場内で見失ってしまう。


「あの、すみません、
このあたりで、ピンクの髪の毛の、
宦官になるのにピッタリなショタっ子を見ませんでしたか?」
カンガンガニのハサミを振りかぶるアルバ・フレスカに、
ラクシュミをかばうように、
近遠が進み出る。
「そんな物騒なことをしてはダメですよ。
ここはパーティー会場なんですから」
そう言って、アルバ・フレスカをいさめる、近遠だが。
「ボクは女の子になってしまったんですよ!
エリート宦官集団『十嬢侍(じゅうじょうじ)』のリーダーである、このボクが!
こんなひどいことがありますか!」
そう叫んで、アルバ・フレスカは、泣きながら走って行ってしまった。

「い、いろんな人がいるんだね?」
呆然と、その様子を見送る、ラクシュミだったが。
「まあ、落ち着いて、パーティーを楽しみましょう」
近遠が言った。
「そうですわね。
いろいろとお料理もあるようですし、一緒に食べましょう」
「皆様、ではこちらへ」
ユーリカが言い、家令のイグナが、一行をテーブルへと案内する。


一方、
下川 忍(しもかわ・しのぶ)は。
846プロのアイドルとして女装してパーティーにやってきていたが、
本当に女の子になってしまっていた。
「うわああ、なんで胸が!」
悲鳴を上げるも、声も完全に女の子である。
もともと、中性的な、性別不詳な感じの声の忍ではあるが、
現在は、完全に女の子であった。

「くっ。女装は仕方ないが、女体化なんて冗談じゃない!」
忍は、なんとかして、元に戻る方法を探ろうと、
パーティー会場を走り出した。

……が。

「きゃああああ!?」
忍は、床に転がっていたものにつまづいて転んでしまった。
「って、女の子みたいな悲鳴あげちゃったじゃないか!」
床に転がっていたのは、
【垂ぱんだ】と化した、朝霧 垂(あさぎり・しづり)であった。
パンダの着ぐるみを着て、パーティーに参加していた垂だが、
「何もしないだらだらモード」の【垂ぱんだ】になってしまったのである。
「んー?
せっかくだから、楽しくのーーーーーーーーーーーんびりすればいいんじゃねえのー?」
「って、床に転がってたら邪魔じゃないか!」
忍が、垂をべしべしする。
しかし、【垂ぱんだ】の着ぐるみにより、ノーダメージの上、無抵抗であった。
「はー、酒がうまいわー」
垂は、ひたすら酒を飲んでいる。
これは、普段と変わらない部分かもしれない。

「パンダさんですか?
せっかくですから、笹団子をあげてみましょう」
ユーリカが、垂に笹団子をあげてみる。
「うまー。
酒のつまみにちょうどいいわー。
はー、ありがとなー」
垂は喜んで食べている。

「これって……七夕と間違えたのでしょうか?」
「……七夕とパンダは関係ないと思うのだよ」
近遠とイグナがそんな会話をしている。
「あー?
ハロウィンといえば、骸骨とか、ミイラとか、黒猫とか、
だいたい、白黒だろー?
でも、もう、そんなことどうでもいいじゃねーかー」
垂が、ごろごろしながら言った。


一方、そのころ。

ネージュは、紫蘭とともに男子トイレに行っていたが。
「やっと見つけましたよ!」
アルバ・フレスカに見つかっていた。
「ねじゅちゃんの(ぱおーん)を執拗に狙い続けるなんて、
なんていやらしい方!」
「誤解を招く表現をしないでください!
ボクは、美しい男の娘はすべて宦官になるべきと考えているだけです!」
「って、(ぱおーん)を切りたいだけなんでしょう!?」
「違います、っていうか、連呼しないでください!」
「うふふふ、ねじゅちゃんの(ぱおーん)に近づけるわたくしがうらやましいのですわね」
「あの、紫蘭さん、あたし、だいぶ恥ずかしいんだけど……」

そんな会話をしつつ、
紫蘭は、アルバ・フレスカに宣言した。
「そもそも、ここは男子トイレですわ!
女の子になったあなたは入れないはず!」
「た、たしかに!?」
慌てて、引き下がり、男子トイレから出ていく、アルバ・フレスカだが。
「って、あなたも女性なのに男子トイレに入っているじゃないですか!」
そう叫び、カンガンガニのハサミを振り回してすぐに戻ってきた。
「きゃあああああ!」
ネージュは、悲鳴を上げて逃げだした。


一方、吉木 詩歌(よしき・しいか)は、
森の妖精のような衣装の女の子の姿に変身していた。
普段は、性別不詳の詩歌であるが、
今回、完全に女の子の姿になったことで、
ちょっとしたいたずら心が芽生えていた。
(胸が大きくなってる!
って、ことは、男の子を誘惑したりとかできちゃうかも!)

詩歌は、
パートナーのセリティア クリューネル(せりてぃあ・くりゅーねる)と、
ラクシュミを2人きりにするため、
気を回していたので、
一人でパーティー会場で暇していたこともあり、
前からやってみたかったことを試すことにした。

向こうから走ってくる、男の子の姿のネージュを認めると、
詩歌は、ちょっと色っぽい感じのしぐさをして、
胸を強調しながら話しかける。
「ねえ、よかったら、私と一緒に、楽しいことしない?」
「い、今、それどころじゃないよ!」
ネージュが、慌てたように言う。
「え、何それ、ひどい。
私のことを無視するわけ?」
「そ、そういうわけじゃなくて!」
そんな会話をしていると。

「ねじゅちゃんの(ぱおーん)は、
わたくしのものですわーっ!」
「放してくださいっ!」
紫蘭と激しく争いながら、アルバ・フレスカが走ってくる。

「こ、このままじゃ、本当に!
かくなる上は!」
ネージュは、近くにあったテーブルの激辛お菓子を、口に入れた。

「かれええええええええええええええええええええ!?」
オーバーキル火炎放射により、
ネージュの口から火柱が上がる。

「きゃああああああああああああああああああああ!?」
「うわああああああああああああああああああああ!?」

紫蘭ごと、アルバ・フレスカはぶっ飛ばされた。

「こ、これで、一応、貞操は守られ……ぐふっ」
ネージュは口から黒煙を吐きながら、自滅した。

「い、いったい……」
その様子を見つめながら、詩歌は呆然とするのであった。