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2024年ジューンブライド

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リアクション

 とある神社で、酒杜 陽一(さかもり・よういち)高根沢 理子(たかねざわ・りこ)が模擬結婚式をしていた。
 こうして陽一と理子が模擬結婚式をするのは、これで三回目だ。
 結婚式の要領は、二人とも分かっているところが多いが、それでも毎回新鮮な気持ちで結婚式を行っている。
(これで三度目だけれど……本当に和装が似合うなあ)
 巫女に先導されながら本殿に向かう途中、色打掛を着た理子を見て、陽一はつくづくと思う。
 理子と陽一の関係が毎年少しずつ進んできていたため、その都度新鮮な立場と気持ちで結婚式ができるのだろう。
「どうしたの?」
「いや、その……理子さんの和装、似合うなあと思って……」
 陽一が正直に答えれば、理子は少しだけ照れたように自分の格好を見た。
「本当? ありがとう」
 嬉しそうに微笑む理子を見て、陽一も微笑みを返した。
 今日、この日付は陽一が理子と恋人同士になった記念の日だ。
 そして、様々な問題の解決に向けて、今まで以上に二人で頑張るきっかけになった日でもある。
 今回の模擬結婚式は、今までのことと、これからのことを考え直し、気持ちを新たにする機会でもあった。
『全てが落ち着いたら……』
 昨年、理子はそう言っていた。今の理子には、代王という立場がある。
 でも、確かに、陽一と理子が一緒に過ごせる未来は見えてきている。
 陽一には、そう感じられるのだ。
「本当の結婚式を挙げられる時が一日でも早く来るよう、これからも一緒に頑張ろうね」
「うん、頑張りましょ!」
 理子は、明るく、そしてはっきりと答えた。
「しっかりと全てを終わらせて、シャンバラで一緒に暮らせるように、ね?」
 その言葉を聞いて、陽一は理子の思い描く未来を想像した。
 参列者たちが揃い、模擬結婚式ではお祓いが始まろうとしている。

(全てを落ち着かせられるように……頑張ろう。)
 陽一は、理子との将来を想像し、そして改めて気を引き締める。
 二人で幸せに暮らす未来のため、今、できることを頑張りたいと。