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ホワイトバレンタイン

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「よし、こんなものかな」
 掃除の終わった部屋を見て、カルナス・レインフォード(かるなす・れいんふぉーど)はそう呟いた。
 本当は日中からアデーレ・バルフェット(あでーれ・ばるふぇっと)をデートに誘いたかったのだが。
「昼間はちょっと忙しいから、夕方に部屋で待っててね」
 と断られてしまったのだ。
「寂しくはあったが……、ま、おかげで部屋が綺麗になったからいいか」
 カルナスは目を横に向け、積まれた本を見た。
 日々お世話(?)になっている本だが、アデーレに見られるのはまずい。
「この際だから処分しておくか」
 ちょっと名残惜しい気もしたが、カルナスはその本も処分し、自らも買い物に出た。

 そして、夕方。
 ちょっと大きめの荷物を持ったアデーレがカルナスの部屋にやってきた。
「ごめんね、待たせちゃって」
「いやいや、大丈夫だよ」
 カルナスは笑顔でアデーレを迎えた。
 今日のアデーレは、なんだかいっそう可愛く見えた。
「何か荷物が大きいけど、何が入ってるの?」
「あ、ちょ、ちょっとね」
 アデーレは照れながら、適当にごまかした。
 実はこの中には、お泊りセットが入っているのだ。
 でも、準備をしてきたと思われるのが恥ずかしくて、アデーレはごまかしたのだった。
「あのね、カルナス。はい」
 アデーレはバッグからチョコレートを出し、カルナスに差し出した。
 愛情たっぷりの手作りチョコレートだ。
「お、ありがとう。うれしいよ」
 カルナスは笑顔でチョコレートを受け取り、じっとアデーレを見た。
「夏にお祭りに行ってから……結構日が経ったよな」
「うん、そうだね。たくさん楽しい時間を過ごしてきたね」
 アデーレがカルナスの青の瞳を見つめ返す。
 カルナスはアデーレの首にハート型のペンダントをかけてやり、優しく囁いた。
「アデーレ愛してる、キミともっと触れ合いたい」
「……カルナス」
 抱きしめるカルナスの腕にもたれながら、アデーレは緊張しながら小さな声で言った。
「今夜だけボクをカルナスの好きにしていいよ」
 その一言でカルナスに火がついた。
 カルナスはアデーレに口付け、アデーレの背に手を添えながらゆっくりと倒し……。
 二人はその夜に結ばれたのだった。