リアクション
第5章 カレーが好きな奴に悪い奴はいない・その5
ここでガネーシャ解放に関する投票の結果をお知らせしたい。
解放【36】
反対【11】
無効【3】
解放圧倒的多数によりガネーシャの解放が決定した。
解放と反対、どちらが正しくてどちらが間違っていると言う話ではない。どちらの考え方もアリなのである。ただ、反対派は人よりリスクに敏感で、解放派は人より真実に関心があった、両者の違いはそれだけの差異に過ぎないのだ。
解錠を担当するのは、先ほどから辺りを調べていたゲー・オルコット。
どうやら牢屋の鍵を探していたようである。
鍵は無事発見することが出来たのだが、いざ解錠しようと言う段になって、ゲーは奇妙な行動に出た。
針金を取り出しピッキング能力で鍵を開け始めたのである。
「なんで鍵を使わないんだ??」
あまりにも当たり前な質問に彼はやれやれと肩をすくめる。
「鍵ってのは針金で開けるもんだ。怪盗としてはそうじゃなきゃ様になんねぇぜ」
人間と言うのは時々理屈に合わないことをする。
ゲー以外全員『何を言ってるかわからねぇと思うが……』と今にも言い出しそうな顔であるが、鍵は針金、これは怪盗として譲れない美学なのだ。鍵を確保したのは他の誰かに見せ場を奪われないようにするためだそうな。
しばらくいじってると、ガチャンと鍵が外れた。
ガネーシャはゆっくり一同を見回す。
「礼を言うぞ」
次の瞬間、鉄格子が見えない力によって切り刻まれ吹き飛んだ。
おそらくサイコキネシスなのだろうが、念の研ぎ澄まされ方が常人の域を超えているように思える。
それから、胡座をかくとレビテートで空中に浮かび上がった。
「なんか質問攻めにされたり、毒を盛られたりしたのはムカつくが、解放してもらったから水に流そう。貴様ら、死後アブディールに来ることがあれば、余の元を訪ねるがいい。偉大なる権限において貴様らの労役は免除してやろう」
死後に思わぬプラス補正が入ったが、しかし、今聞きたいのはそんなことではない。
全員口を揃えて質問した。
『黒幕って誰!?』
「随分とせっかちな連中だな……、まあすこし落ち着け」
そう言うガネーシャに、茅野瀬衿栖とソア・ウェンポスが話しかける。
「あの、私たちからお願いがあるんです」
衿栖はガネーシャの挙動に注意を払いつつ話を続ける。
「環菜校長の救出に力を貸しては貰えませんか。私たちは救出後の後顧の憂いを断ちたいと思ってます。あなたは黒幕に借りを返したいのではありませんか。敵の敵は味方と言いますし、どうでしょう、お互い協力してみるのは」
ソアもそれに賛同する。
「そうですよ。協力すればどんな強大な敵にも立ち向かえます。あ、あと……、もし黒幕がエリュシオン帝国と繋がってた場合は地上に来てくれたりしませんか。共通の敵になりますし、あなたが来てくれたら心強いです」
「手を結ぶか……、くっくっく……」
肩で笑うとカッと眼を開いた。
「なんで余が貴様らの手伝いなんぞせにゃならんのだー!」
強烈な念動力に全員壁際まで吹き飛ばされる。
「余は余の思うままに復讐を果たす、貴様らの協力などいらん。だが、その前にもう一人潰さねばならん奴がおる!」
天井に向かってカクタリズムを飛ばした。
まるで一個一個ブロックが崩されていくように、石組みの天井がみるみるうちに分解されていく。
そして、この恐るべき象の怪物は空洞となった天井に浮遊状態で昇り始めた。
「ちょ、ちょっと待て! 黒幕の名前をおしえてくれる約束じゃないか!」
「余は約束を違うような小物ではない。しばしそこにいろ、所用を片付けたらすぐ貴様らの望みに答えてやる」
それだけ言うと、ガネーシャは憤怒の形相をとなった。
「待っておれ、ガルーダ! 新たな肉体もろとも八つ裂きに刻んでくれるわ!」
続く
マスターの梅村です。
本シナリオに参加して下さった皆さま、公開が遅れてしまいまことに申し訳ありません。
そして、本シナリオに参加して下さった皆さま、ありがとうございました。
投票の結果、ガネーシャは解放となりました。
予告した通り最終回の難易度が上がることになります。
理由は、彼の言動や態度からなんとなーく窺い知れるのではないでしょうか。
また、黒幕の正体ですが、フラグが立ちましたので、次回でちゃんと名前が明かされます。
解放されたのをいいことにダンマリ……と言うことにはならないので、ご安心ください。
もっとも、ここまで出揃った情報で、うすうす正体に気付いてる人もいるかもしれませんね。
戦闘の判定に関してすこしお話しします。
勝利条件の判定基準は、対戦する相手によって微妙に異なりましたが、大体二点に絞られます。
(1)弱点、ないしは効果的な攻撃を行っているか。
(2)それらの攻撃を当てる工夫をしているかどうか。
弱点に関してはある程度第1回で出ているので、皆さんポイントはしっかり押さえられていました。
ただ、第1回で弱点が発覚したと言うことは、奈落人もそれらの攻撃に警戒を強めると言うことです。
そのため、攻撃を命中させるための工夫が重要となってくるわけです。
この『工夫』に重きを置いて、今回は判定をさせて頂きました。
今回、予想外だったことがあります。
実はタクシャカのシーンは当初、まったく書くつもりはありませんでした。
と言うのも、あの場所(マスターページの地図を参照)からスタートして、
ハヌマーンを退けて、ニコニコ労働センター……となると、時間的に環菜移送に間に合わないと思ったのです。
そのため、あえてサンプルアクションにタクシャカ関係のものは用意しませんでした。
ですが、思いのほか環菜救出に向かう人が多かったこと、
ハヌマーンに挑む人がたくさんいたため、戦闘時間短縮も可能だと判断出来ること、
それらの点から、間に合うと言う判定を取った次第です。
あ、あと、ちなみにですが、今回手傷を負った人は次回も治ってません。
せいぜい応急処置をした程度の状態でスタートとなります。
次回シナリオガイド公開日は、まだ未定です。
シナリオが決まり次第、マスターページでご報告しますので、チェックして頂ければ嬉しいです。
それでは、また次回、お会い出来る事を楽しみにしております。