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燃えよマナミン!(第2回/全3回)

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燃えよマナミン!(第2回/全3回)

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【4】おれたちのポリスストーリー……1


 ズンズンダンダン♪ ズンズンズンダンダン♪
 ズンズンダンダン♪ ズンズンズンダンダン♪ ズンズンダンダン♪
 空京警察の署長室に横ノリ全開の曲が流れていた。
 永遠の一日署長M.C.バンフーは、立派なデスクに足を放り出し、ナイスなビートを全身で刻んでいた。
 彼が署長になってから大分、署の荒廃は進んでいた。
 廊下にガムを吐き捨てるわ、アートと称して壁に落書きするわ、婦警をナンパするわ、やりたい放題である。
「……すみません、よろしいですか、署長! 失礼します!」
メーン!
 HipでHopに返事をすると、バンフーの前にブルタ・バルチャ(ぶるた・ばるちゃ)が引きずられてきた。
 続いてステンノーラ・グライアイ(すてんのーら・ぐらいあい)も両脇を抱えられ連行されてきた。
「不審者です。署内を許可なくうろうろしているところを確保しました」
「し、失敬だな。ボクは親切にも署長にアドバイスしに来たんだ。それを不審者だなんてヒドイじゃないか」
 ブルタは警官を振り払った。
「だったらアポをとりなさいアポを」
「HEY! まぁいいじゃねぇか、せっかく来てくれたんだ、ここはラフに行こうぜメーン!」
「は、はぁ署長がそうおっしゃるなら」
「……で、俺になんのYOがあるんだ?」
「グフフ、実はボク、キミの正体を知ってるんだ。黒楼館の五大人だろ……全部知ってるよ」
HEY、POLICE MEN、コイツを牢屋にぶちこんどけメーン!
「ちょ、ちょっと待っておくれよ! 別に脅迫しようってんじゃないんだ! むしろボクはファンなんだよ!」
「メーン?」
「表の顔は空京警察の署長で裏の顔はマフィア幹部……なんて、特別驚くようなことでもないでしょう」
 ステンノーラは言った。
「警察と暴力団がズブズブなんてもはや常識。秩序など双方の妥協、バランスの上に成り立っているものですわ」
「そうだからボクらは敵じゃないんだ。むしろキミの地位を確固たるものにするため、耳寄りな話を持って来たんだ」
「ほう?」
「それはズバリ、キミをヒーローにすることさ!」
 ブルタは言い放った。
「ボクはかねがねキミこそ警官に相応しいと思っていたんだ。だってそうだろ。悪のことがわかるのは悪だけさ。それに空京警察にはキミほどクールな奴はいないからね。だから答えは簡単、ほんとに警官になってしまえばいいんだよ」
「警察の不正の証拠を掴めば、名実ともに空京警察のトップになれるかと」
「それに警察の不正を暴くために内偵していたことにすれば万勇拳の連中も手を出しづらくなるんじゃないかな」
「そりゃなかなかおもしれぇじゃねぇか」
「そして、トップに立ったあかつきには是非、空京警察の婦警制服を超ミニスカにしてほしいんだ!」
「GOOD! しみったれた警察署も華やかになるってもんだZE!」
 とは言え、問題はどうやってその証拠(まぁあればの話だが)を探すかなのだ。
 するとステンノーラは不可思議な籠を取り出した。探し物を紙に書いて入れておくとヒントが得られる不思議道具だ。
「答えはすぐそこに見つかりますわ」
 彼女は「空京警察の裏金の証拠は?」と書いて中に入れた。
 ナイスなビートに身を預けながら時を待ち、しばらくして籠を開けるとアラ不思議、紙にヒントがあらわれた。
 そのヒントは簡潔に『42』と書いてあった。
「……42」
「……どういうことだ?」
「え、ええと……な、なにかな? グフ、裏金が42ゴルダ……? 42人の警官が不正に関わってるのかな……?」
「ファーック! なんだこのファッキンボックス! ヒントが出てきてもわからねぇじゃねぇかYO!」
「そんなこと言われても……」
「HEY! やっぱりコイツらは牢屋にぶちこんどけメーン!
「ま……待っておくれよ!」
「HO! このファッキンヒントがわかるまで檻の中で考えてろ! わかったら出してやるメーン!」
 二人はまた警官に引きずられ、署長室をあとにした。
 それからバンフーはふと思い立ち、どこぞに電話をかけた。
「YO! 署長命令だHO! 今日から女子は全員超ミニスカで決めちゃいなYO!
 よくよく考えれば別に確固たる地位を築くまでもなく、現時点でも警察はバンフーの思いどおりに出来るのだった。