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伝説の教師の新伝説~ 風雲・パラ実協奏曲【3/3】 ~

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伝説の教師の新伝説~ 風雲・パラ実協奏曲【3/3】 ~

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第三十章:危険な奴らがくる!


 そして、事件は突如動き始めた……!

 謎の人工衛星らしき飛行体が、核と同じ効果を持つ機晶石を搭載して、パラミタの上空を漂っている。その機体は制御を失い、もうじきパラミタへと落ちてくるだろう……。
 そもそも、そんな情報を最初に掴んでいたのは、蒼空学園生の湯上 凶司(ゆがみ・きょうじ)だった。
 彼は、分校で行われた防災訓練と同時期に発生した“Xルート・サーバー”混乱事件の収拾に当たっていたのだが、その際一つの結論にたどり着いていたのだ。
 なぜ特命教師たちは、手の込んだ方法を使ってまで“Xルート・サーバー”を妨害しその隙にロケットを打ち上げる必要があったのか? それは、見つかってはいけない物を積んでいるかもしれないから。
 ここまでは導き出せた。だが、まさか本当に人工衛星が核を積んでいるとは思わなかったのだ。常識で考えてそんな無謀なバカはいない。下手をすると自分も滅びる可能性があるからだ。凶司から話を聞いたスタッフや仲間たちもにわかには信じなかった。
 彼は一抹の不安を抱いたまま通常の学校生活に戻り、蒼学内でも出来うる限りの情報を集めた。そして数日後、悪い予測は現実のものとなったのだった。
「核、だと……?」
 特命教師、真王寺写楽斎の陰謀を期せずして知ってしまった凶司は真っ青になった。写楽斎は凶司が考えているより無謀なバカだったのだ。その分タチがわるい。
 ほどなく、パラミタをはじめ地球の宇宙関連機関からも同様の報告が寄せられており、凶司の予測は十中八九正しいものと証明されていた。全然嬉しくなかったが。
 とにかく。なんとしても爆発は止めなければならない。パラミタが吹っ飛ばれたりしたら困るのだ。片思いの彼女ができたばかりなのだ。陰謀に気付いてしまった以上、戦うしかなかった。
 凶司は、普段の平静さもかなぐり捨てて部屋から駆け出していた。今回の事件の関係者の一人ともいえるルミーナを通じて学園へと情報を送っておく。
 彼女からの返事はすぐに来た。
「うちのサーバーへDos攻撃を仕掛けているのは、あなたですかっ? どういうつもりなんですか!?」
 うむ、と凶司は頷いた。ちょっとパケットを送信しすぎたかもしれない。だが、それくらい慌てていることを分かってほしかった。
「これから極西分校、いえ写楽斎のもとに殴り込みます! ここから電子戦じゃ無理だ!」
「何を言っているのかわからないのですけど。説明していただけますか?」
 ルミーナが気を落ち着けて尋ねてきた。凶司がどうしてそんなに急いでいるのか、訝しげな表情だ。
「時間がないんですよ、これ見てください! じゃっ!」
「え、えええっっ!? ちょっと待っ……?」
 凶司は、これまで集めてきた情報をDos攻撃並みの勢いで送信しておいてから、パートナーたちに連絡を取った。
「パラ実に殴り込みだ! 核を止めに行くぞ! 全力ダッシュで今すぐ来い!」
 ちんたらと陸路で分校へと向かっていたのでは間に合わない気がした。高速飛空艇で一気に飛ぶのが最も早い。そのためにパートナーの三姉妹を呼び寄せる必要があった。
「はいはぁい。そろそろ来ると思ったわよん。……黒幕が登場したんでしょ」
 真っ先に呼びかけに答えたのはセラフ・ネフィリム(せらふ・ねふぃりむ)だった。口調はのんびりだが、反応は機敏だった。
 凶司の連絡を受けた彼女は、打てば響くような準備の良さで用意してあったパワードスーツで即出撃する。じきに合流できるだろう。
「そのシャラクだか、ハクサイだかってのを叩けば、爆弾は止まるんだね。任せといて!」
 エクス・ネフィリム(えくす・ねふぃりむ)もすぐに目的地へと向かうようだ。
 もう一人、ディミーア・ネフィリム(でぃみーあ・ねふぃりむ)もいる。これが凶司のパートナー三姉妹。
 凶司的に見て決して強いメンバーではないので、対イコン兵器で敵に突撃する。目指す相手はもちろん、あの特命教師の真王寺写楽斎だ。悪質な人工衛星をこっそりと打ち上げた張本人。
 事態はほどなく明るみに出て、大勢の知るところとなる。勇敢な契約者たちが事件解決のために人工衛星に向かうことになるだろう。
 だが、凶司は知っている。写楽斎は、人工衛星を爆破させる手段を持っているのだ。ワンコールで起爆できる装置を作動させてはいけない。ネットワークを断ち切るか、写楽斎本人を完全に叩き潰すか……。時間も選択肢も限られている。
 戦うのは主に三姉妹で、彼は援護のために電子戦に挑むことになるだろうか。いじれにしろ、到着次第力任せに敵を打ち倒すしかない。
 
 こうして、契約者たちはそれぞれの作戦に取り掛かることになるのだが、凶司たちの活動は、後程また見てみることにしよう。
 一旦、場面を変える。