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溜池キャンパスの困った先生達~洞窟探索編~

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溜池キャンパスの困った先生達~洞窟探索編~

リアクション

「よーし、先生の汚名挽回、名誉返上をするために手伝うぞー……あれ?」
「レナ、それでは逆ですよ。まあ返上する名誉が……失礼」
 如月 玲奈(きさらぎ・れいな)の気合の空回りに、レーヴェ・アストレイ(れーう゛ぇ・あすとれい)が訂正を入れる。
「そうだっけー?」
 朗らかに笑いながら、如月玲奈は首を傾げた。
「前半はある意味間違っていないような気もしますね」
 苦笑するレーヴェ・アストレイ。これまでの起木保の行動からみると、汚名をさらに塗りたくる結果になりかねない。
 話を続けていると、交戦を続ける二体のゴーレムが目に入った。
「ゴーレム発見っ! 秘薬を使っちゃうよ!」
 楽しげに告げた如月玲奈は【ギャザリングヘクス】を使用。魔女の大窯で煮立ったスープが、喉を滑り降りる。
「薬ではなくスープですが……まあ、似たようなものですね」
 柔らかく訂正しつつ、レーヴェ・アストレイが【博識】を使用。動きまわる銀のゴーレムの動きを見極める。
「あのあたりですね……」
 納得したように頷いて、レーヴェ・アストレイは如月玲奈を振りかえった。
「レナ、特別授業の実践編です。天井に氷術を使ってください。使うのは……あの岩の手前あたりがいいでしょう」
「氷術?」
「氷柱をいくつか作ってください。なるべく、大きめに」
「はーい、先生」
 最奥まで『特別授業』と称して魔法についてあれこれ意見を交わしていた二人は、これまでと同じ調子で頷きあった。
 如月玲奈は【氷術】を連続使用。大きく作りだした氷を、天井の指定された位置へくっつけた。
「上出来です。では、私も」
 歩いて氷の下へやってきた銀のゴーレムの足元へ向け、レーヴェ・アストレイは【氷術】を二発放った。
 強度を増した氷は銀色の足を強制的に止める。
「今です! 氷を落としてください!」
「なるほどね!」
 頷いた如月玲奈は天井の氷柱の根元へ向け【火術】を使用。幾本もの巨大な氷柱が銀のゴーレムへ突き刺さる。
 ゴーレムの巨大な体が急激に冷やされ、その場に固まった。
「ゴーレムの動き封じ、大成功よ!」
 ぱちぱちと手を叩く如月玲奈。レーヴェ・アストレイも彼女に拍手を送った。
「今だ!」
 氷がゴーレムを覆ったことを確認したエヴァルト・マルトリッツが【爆炎波】を銅のゴーレムに浴びせる。急激な温度変化により、ゴーレムの表面にヒビが入る。
「行けっ!」
 ビシッとゴーレムを指してロートラウト・エッカートに合図するエヴァルト・マルトリッツ。頷いた彼女は駈け出した。
「必殺機晶キーック! ただのドロップキックだけどね!」
 走る勢いのまま、ロートラウト・エッカートは腕に向かい、蹴りを繰り出した。
 何ともいえぬ金属音と共に、ゴーレムのヒビが大きくなる。
 畳みかけるように、エヴァルト・マルトリッツが【シャープシューター】を放った。ゴーレムの片腕が、崩れおちる。
「弱体化した今がチャンスです!」
 急激な温度変化により弱体化した銅のゴーレムへ向け、一式隼が薙刀で斬りかかる。
 ユキヒョウ姿のルーシー・ホワイトも爪を立て、銅のゴーレムの脇へ回り、爪を立てて飛びかかる。
 二人の攻撃はゴーレムの金属の体にぶつかり、ヒビを深くさせた。
「手応えありますね。もう一度やってみましょう」
「隼、私も一緒に行くわ!」
 一式隼とルーシー・ホワイトは、それぞれ薙刀と爪をもってゴーレムの腕へ攻撃を仕掛ける。ヒビは更に広がり、崩れおちるのも間近だ。

「ゴーレム、いましたね……」
 遅れてやってきた牛皮消アルコリアは息をつき、手に入れた虹石と共に刀を納めた。
「どうやら銅のゴーレムの方に加勢した方がよさそうですね」
 戦況を判断し、にっこりとシーマ・スプレイグを見た。
「さあシーマちゃん、新装備の試運転を始めましょう」
「……試運転か……」
 レールガンをじっと観察し首を傾げつつも、シーマ・スプレイグが構える。
「えー、目標、敵装甲……補足……軌道予測……修正」
 マニュアル通りに狙いを定め、狙うは銀のゴーレムの胸。
「砕け!」
 銃弾は狙い通り、ゴーレムの胸に当たるが、弾は貫通することなく弾き返された。
「我輩が援護しよう。安心して攻撃を繰り出すのじゃ」
 その背後からランゴバルト・レームが【驚きの歌】を歌う。周囲のメンバーのSPを回復させた。
「効かないのでは意味がありません。得意な方法で攻めましょう」
 牛皮消アルコリアの言葉に、シーマ・スプレイグとランゴバルト・レームが力強く頷いた。
「破壊工作でゴーレムを一網打尽にするか」
 微笑んだシーマ・スプレイグは、一度戦闘範囲内から離れ、メモリプロジェクターを起動させた。
 メモリに入力しておいたシーマ・スプレイグやランゴバルト・レームの映像を再生させる準備を行う。
「アル殿、これを」
 忙しなく動くシーマ・スプレイグを尻目に、ランゴバルト・レームが【パワーブレス】を発動し、牛皮消アルコリアにかけた。
「ありがとうございます」
 ぺこりと頭を下げた牛皮消アルコリアは、妖刀村雨丸を抜いて銅のゴーレムを見遣った。
 同時に映像の準備が整う。
「錆びつきなさい」
 牛皮消アルコリアが牽制に【その身を蝕む妄執】を使用。ゴーレムに幻覚を見せ、攻撃のための隙を作った。
 途端に映像がゴーレムに突っ込むしぐさを見せた。同時にシーマ・スプレイグとランゴバルト・レームは前へ。
「天照らす光よ、戦士達に再び戦う力を」
 ランゴバルト・レームは周囲のメンバーに【リカバリ】をかけた。傷付いた者には【ヒール】をかける。
「ほっほっ、やらせはせぬよ。我輩がいるかぎりのぅっ!」
「援護しましょう」
 牛皮消アルコリアは【ドラゴンアーツ】を使用。遠くから居合切りをゴーレムへぶつける。
 距離を詰めたシーマ・スプレイグはレールガンを、裂けた装甲へつき立てた。
「こちらの方が戦いやすい……火炎弾装填……溶けろ」
 呟いて【爆炎波】を使用。炎の波がゴーレムの体内を迸る。